あらすじ:オハイオ州の小さな町に住む労働階級の男カーティス・ラフォーシュ (マイケル・シャノン) はあるときから毎晩のように悪夢を見るようになる。トルネードによって世界が破壊される終末の幻想にとり憑かれた彼は、妻サマンサ (ジェシカ・チャステイン) と耳の不自由な6歳の娘ハンナ (トヴァ・ステュアート) に内緒で自宅の裏庭にシェルターを造り始めるが、彼の不可解な行動に不信を募らせる家族、そして幻想はストレスから来る妄想なのかという問題に向き合わなくてはならなくなる。
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彼の悪夢は正夢となるのか、ならないのか。結果的に、現実となりましたけどね。
悪夢の中では黄色いネバネバした雨が降ります。その雨に濡れると人間も動物さえもおかしくなるようです。最初の悪夢では、彼の愛犬が黄色い雨に濡れた瞬間、彼の腕にかみつきます。
悪夢だったはずなのに、彼の腕は1日中痛みました。そのあと、彼は犬を檻に入れてしまい、さらには犬がほしいという兄に預けてしまいます。
そんな感じで、彼の同僚も妻も、彼の悪夢の中で黄色い雨に濡れてカーティスに襲い掛かります。妻を恐れるようになり、親友だった同僚すら上司に頼んで遠ざけてしまいます。
カーティスはカウンセリングを自ら受けます。なぜなら母親も統合失調症ですから。自分も病気なんじゃないか、と疑うわけです。しかし、症状は良くなりません。
白昼夢すら見るようになります。
昼間、激しい雷鳴がひびきます。同僚たちはそれに気づきません。
この映画は、はっきり言ってホラーでした。怖かったです。
カーティスがまともではないのですから。悪夢にうなされて、シェルターを作ったり、愛犬や親友を遠ざけたり。当然、そんなことをしていれば家族や親友の怒りを買います。
追い込まれていくカーティスの姿がサイコスリラーのようであり、彼だけに見える激しい雷や悪夢はホラーでした。雷鳴や、襲ってくる人々に何度驚かされたことか。
しかし、それは現実のものとなりました。嵐がやってきます。
家族とともに莫大な金をかけたシェルターに逃げ込みます。しかし、外が静かになりまして。妻が外に出ようと言います。カーティスはシェルターのドアを恐怖のあまり開けられません。それでも、妻は「開けなければ、あなたは何も良くならない」と。
荒い息をしながらドアを開けたカーティスの前に広がった世界は平穏無事でした。
それから、彼は腕の良い精神科医に診てもらうことになりました。
この映画は、結局彼の精神の病で終わるのです。
ところが、ところが。
悪夢どおりの嵐がやってきます。黄色い雨が降ります。
呆然とするカーティスたち、そこで映画は本当に終わります。
私としては、この映画は精神科医に診てもらったところで終わらせておけばよかったかもしれません。そのほうが面白いと思いますが。
悪夢はやっぱり現実となりました、という終わり方は少し不満があります。
意外な展開はなく、ただ淡々と物語が進む映画ではありますが、悪夢=現実という終わり方はいらなかったと思います。
淡々とカーティスの悪夢を見せられるだけで十分に怖かったのですから。