やくもとうずしおをがっつりと

「映画鑑賞感想」は配信やDVDなど自宅で見た映画、『映画「タイトル」感想』は映画館で観た映画の感想です。

映画「チェルノブイリ1986」鑑賞感想

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2022年5月日本公開

監督:ダニーラ・コズロフスキー

脚本:アレクセイ・カザコフ、エレナ・イワノワ

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あらすじ:チェルノブイリ原発専従消防士のアレクセイは自身のキャリアアップのためにキエフへ移ることを決めた。しかし、それは恋人のためでもあった。そんな中でチェルノブイリ原発が事故を起こした。アレクセイも原発へ向かう消防団に加わったが、現場へ到着した彼の目の前には地獄が広がっていた。果たして、アレクセイの運命は。

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 冒頭で本作はアレクセイという人物を中心に創作を含んでいるということが説明されます。

 真実を追及しようとしたHBO制作ドラマを意識したのでしょうか。

 本作は、HBOドラマと比べると衝撃的な映像が連続している部分は同じです。最悪の事態が起きていることがはっきりわかります。ただ、原子炉の下にたまっている水を抜こうとするのが本作の主な内容となるのですが、早くしないと欧州全体がたいへんなことになるという危機感があまり伝わってきません。

 危機が迫っているというドキドキがありません。それに、妙なところで市街の除染をしている作業の様子が入ってきたり、編集がちょっとおかしいのかなとも思います。

 でも、それ以外は消防士や市民の視点で悲劇を見ているということでそこまで切迫した状況を伝える必要もないかもしれませんね。

 ロシア映画だけど政府批判はしっかりしているし、製作陣にウクライナ人が含まれていて、現在ロシア政府から睨まれているとのことなので、無事公開されて良かったですな。

映画「チタン」鑑賞感想

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2022年4月日本公開

監督、脚本:ジュリア・デュクルノー

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あらすじ:幼少時の事故で頭部にチタンを埋め込んでいるアレクシアは殺人の衝動を抑えられない日々を送っている。さらに、自動車に異常な執着心を抱いている。一度に大勢を殺害してしまい、指名手配されたアレクシアは別人になりすまして消防士の男と奇妙な同居を始めた。そんな生活の中でアレクシアの体に新たな異常が現れた。アレクシアの運命は。

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 思ってたのと違いました。誰かが「思ってたのと違った」という感想をおっしゃっていましたが、いったい何がどう違うのか楽しみにしていましたが、私も同じ感想になりました。

 面白いのでぜひご覧ください。

 ただし、超グロい映像が展開されます。終始グロくて、つらい鑑賞となります。本当に、正気じゃないですな。まともな映画じゃないです。

映画「アネット」鑑賞感想

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2022年4月日本公開

監督:レオス・カラックス

原案:スパークス、ロン・メイル、ラッセル・メイル

脚本:ロン・マエル

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あらすじ:スタンダップコメディアンのヘンリーとオペラ歌手のアンは結婚し、その間にアネットが生まれた。アンは成功し続ける一方でヘンリーは人気を失っていった。その後、アンは亡くなり、ヘンリーは娘のアネットとふたりとなった。そして、アネットの秘密に気づいたヘンリーは娘を利用とするのだった。

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 スパークスといえばスパークスブラザーズという映画が今年公開されていましたが、見ていません。

 もし死者が出なければごく普通の有名俳優どうしの結婚生活といったところなのですが、いろいろと闇があります。

 なんというか、ファンタジーの部分もあるのですが、あまり受け付けない内容でした。ヘンリーのやっているネタにまったくついていけません。まったく面白くないし、最初は作中の観客が笑っていて突然批判に転じるあたりは理解できませんでした。どちらにせよブラックジョークだと思うのですが。

 結末は唐突でした。

映画「潜水艦クルスクの生存者たち」鑑賞感想

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2022年4月日本公開

監督:トマス・ビンターベア

原作:ロバート・ムーア

脚本:ロバート・ロダット

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あらすじ:2000年、ロシア北方艦隊は大規模な演習を実施した。潜水艦クルスクも118名の乗員を乗せて演習に参加した。ところが、演習用の魚雷が爆発して160mの海底へ沈没してしまう。生き残った23名は艦内の一ヶ所へ閉じこもり、訓練どおりに救出を待った。ロシア海軍上層部は救出しようとするが、財政難による救難艇整備不良や政府の隠蔽体質などもあり救出の目途が立たない。イギリスやノルウェーなどはこの事態を察知しており、救助を申し出た。しかし、ロシア政府は機密漏洩を恐れていた。果たして、23名の運命は。

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 面白かったのでぜひご覧ください。

 時間との勝負、生きるか死ぬかの瀬戸際、とんでもないドキドキです。

 それにしても生存者は23名だったのですね。いろいろな映画で23という数字を見聞きしているような気がします。気のせいでしょうか。

 そして、ロシアが起こしたウクライナ戦争です。なんだかなあ。この映画が製作されたのは2018年なので日本公開はだいぶ遅くなってしまいましたが、いろいろと哀しいことばかりです。

映画「ハケンアニメ!」鑑賞感想

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2022年5月公開

監督:吉野耕平

原作:辻村深月

脚本:政池洋佑

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あらすじ:地方公務員を辞めてアニメ業界へ飛び込んだ斎藤瞳は7年目にしてついに監督を任された。大手アニメ制作会社トウケイ動画が威信をかけた夕方5時の枠である。一方で、別のテレビ局もその時間にアニメをぶつけてきた。天才といわれる王子千晴監督を中心としたスタッフによるものだ。王子にあこがれてこの業界にやってきた斎藤だったが、現場は新人監督の斎藤をお飾り程度に考えている。王子も天才と呼ばれている重圧に押し潰されそうだった。果たして、両者のアニメ制作は無事に最終回を迎えるのか。

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 泣きました。

 たいへん楽しませていただきました。

 今までにないものを作ろうとする、まさに胸熱な物語でした。「大河への道」も伊能忠敬を主人公にした大河ドラマを作ろうとする物語でしたので、それが同じ日に公開となるのも何かの縁でございましょうか。

 観ている人々の心に訴えるものを作る、現実に魔法はなくても人々を救う一助となるようなものを作る、すばらしいことです。

 ただ、どうしても気になるのは、制作現場の過酷な労働環境です。本作においても結局は徹夜で制作を続けていきます。良いものを作ろうと一致団結するとしてもやっぱりこのような現場はいかがなものかと思います。

映画「大河への道」鑑賞感想

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2022年5月公開

監督:中西健二

原作:立川志の輔

脚本:森下佳子

企画:中井貴一

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あらすじ:千葉県香取市伊能忠敬の故郷であり、地元では忠敬を「ちゅうけいさん」と親しみを込めて呼んでいる。市役所勤務の池本は千葉県知事の発案である伊能忠敬を主役とした大河ドラマを呼び込むための主任を任せられた。そんな池本は伊能忠敬を尊敬している一人でもある。名脚本家の加藤に脚本を依頼した池本だったが、大きな問題が立ちはだかる。

 時は遡り、1818年に忠敬は亡くなった。地図は完成しておらず、弟子や高橋景保は死罪を覚悟の上で幕府に死を伏せて地図作成を続けた。幕府勘定方の密偵による調査が彼らを危機に陥れるが、地図は完成へと近づいていく。

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 現代と1818年から1821年にかけての江戸時代が交錯する物語です。

 伊能忠敬が地図を完成させる前に亡くなったことは有名な話だと思っていたのですが、作中における現代パートの人物たちはその事実に驚いています。

 地図感性の前に亡くなっているのであれば大河ドラマにできないというわけです。いやいや、そんなことないでしょう。前半を伊能忠敬の半生、後半を高橋景保を中心とした地図製作物語にしたらいいだけじゃないですか。なぜそのような脚本にできなかったのでしょうか。たいへん疑問でございます。

 高橋景保伊能忠敬の死を隠す決意をした百両の件もなかったことになっていますよね。

 ちなみに、5月18日あたりに話題になった三角関数が出てきました。三角関数はとても大切です。

 それよりも本作はもっと大きな問題があります。それは、香取市役所が千葉県知事をボスとしていることです。いやいや、香取市役所のボスは市長であって知事ではありませんよ。地方自治において、市町村と都道府県は上下関係のない同列のものでございますよ。そんなことを無視している本作にがっかりしました。

 現実は市と県に上下関係があるというのであれば、きっとあるのでしょうけど、しょうがないとは思いますが、観客に地方自治を誤解させる内容だと思います。

 知事の再選を願っている池本さんもおかしな話です。再選させるかどうかは県民が決めることですからね。

 大丈夫なんですか、この映画は。

映画「アンラッキー・セックスまたはイカれたポルノ」(監督自己検閲版)鑑賞感想

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2022年5月日本公開

監督、脚本:ラドゥ・ジューデ

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あらすじ:舞台はルーマニアブカレスト。名門中学校で歴史の教員をしているエミは夫とそれはそれは激しいフェラ行為を含むセックスに興じている動画がネットに拡散されてしまった。その件について、生徒の親は当然怒ったのでコロナ禍であるにもかかわらず集会を開いてエミを糾弾するのだった。

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 インフル病みのペトロフ家と違ってたいへんわかりやすい映画でございます。

 エミがブカレストの街を歩いているとき、ところどころで小学生が考えたような卑猥な言葉が出てきたりします。主に広告塔ですが壁の落書きや絵です。直球のエロではなくて、この映画を見ているからこそそういうふうに読んでしまったり見えてしまうものばかりです。

 理解できなかったのは、やたらと交通マナーの悪い車が出てくるのですが、日本だと大半のドライバーがやっていることですが、エミがドライバーに怒りをぶつける場面もありました。これは何を表していたのでしょうか。

 さて、この映画は、ルーマニアの経験した独裁と虐殺、現在でもはびこる差別を批判しています。たいへんわかりやすく批判してくれますので、理解できない方はいないんじゃないかなと思います。作中で詳しく解説してくれるので大丈夫です。

 作中では罵倒の嵐ですが、その点についてはインフル病みのペトロフ家と同じです。

 フェラという行為に愛はないのですか?