やくもとうずしおをがっつりと

ほぼ毎日19時更新。「映画鑑賞感想」は配信やDVDなど自宅で見た映画、『映画「タイトル」感想』は映画館で観た映画の感想です。稀に旅日記をやっています。

映画「ザ・クリエイター 創造者」鑑賞感想

ポスター画像

2023年10月日本公開

監督、原案:ギャレス・エドワーズ

脚本:ギャレス・エドワーズクリス・ワイツ

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あらすじ:ロサンゼルスでAIが核爆発を起こした。それから10年後、米国の軍人であるジョシュアはニアマータと呼ばれるAI開発者を発見するためニューアジアに潜伏していた。AIを排除したい米国は1兆ドルという途方もない金額で建造された大気圏外移動要塞:ノマドでAIを保護したいニューアジアを監視するだけに留まらずAI開発拠点を攻撃していた。マヤという東アジア系女性と付き合ってニアマータに接触を試みたが、米国はジョシュアとマヤが潜伏する地を襲撃してふたりは離れ離れになり、マヤは死んだと思われた。それから5年後、マヤが生存しているという情報を得たジョシュアは軍の命令で再びニューアジアへ向かった。新たな作戦はニアマータ発見のみならず新たに開発されたAI兵器の破壊を目指していたが、ジョシュアが見つけた兵器は少女の姿をしたAIだった。ジョシュアはそのAIにアルフィという名前をつけて、ニューアジア内を逃亡することになったのだが、果たしてマヤと再会できるのか。ニアマータの正体とは。

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 面白かったです。「ザ・クリエイター 創造者」というタイトルですが、また邦題にクソみたいな副題をつけたのかと思いきやまさかの原題です。創造者も含めて原題です。信じられないことですが、本当です。もともと予定していたタイトルは「トゥルーラブ」だったようですが。ただ、タイトルとスタッフロールの日本語部分の文字フォントがねぇ……どうなんですかねぇ……あちらの皆さんにはこのフォントがかっこよく見えるんですか。

 ベトナム戦争映画をSFにしたような内容で、ベトコンのように抵抗するAIを米軍の未来兵器が破壊していきます。東南アジアの田園風景が爆炎に飲まれていきます。

 アバター、チャッピー、インデペンデンスデイなどで観たことのある絵が続きますが、これはこれで新しいかなと思います。

 ニューアジアは東アジアと東南アジアを混ぜたような風景なのですが、2060年以降の混乱から新たに生まれたニューアジアという国なので、日本の描き方が変だぞという批判はできません。至るところにおかしな日本語が使われているんですけどね。ちなみに龍角散は健在のようです。

 アルフィを連れてニアマータを探すジョシュアなんですが、移動した距離はおそらく100キロ程度ですよね。そんな狭い範囲に渋谷やハロン湾チベットなどがありました。海からヒマラヤみたいな高山が見えていました。作中ではっきりと出た地名はロサンゼルスのみで、それ以外は聞いたことのある地名は出てきませんでした。変てこりんな東南アジア、東アジアが描かれていますが、最も気になったのは水田で育てられていた作物がトウモロコシだったことです。稲じゃねえのかよ。8000万ドルという低予算だったために実際の水田で撮影することはできなかったのでしょうね。

 モニターで流れている映像が1960年代のような古さがあったのはなぜなのでしょうね。1957年に日本で放送されていたスーパージャイアンツという特撮が流れていたのですが、それにしても2060年以降の未来なのに監視映像などが白黒ぎみの古いものでした。ちなみにソフトバンクオリックスの試合が流れている場面もあったらしいですが、まったくわかりませんでした。

 作中でとんでもない活躍をみせた犬と猿は、いったいどういうことですか。奴らも進化したということですか。投げ込まれた爆弾を犬が拾って、投げたAIの部隊へ届ける、そのあと犬は爆弾から遠ざかりAI部隊は爆散するという衝撃的な絵、かなり笑わせていただきました。

 クライマックスでの再会は、泣けるのですが、冷静になってみると所詮人間のエゴで無理やり再会させられたようなものでしょう。

 AIはヒトと異なる種族として生存権を得る物語なのですが、そのAIも結局は人間と同じ価値観で生きていこうとしているので、そういうところはこの映画の想像力の限界なのかなと思いました。一方でAIに反乱を起こされたのは、人間の技術がまだまだ未熟だということです。そのあたりをバシッと管理できる技術も育てないといけませんよ。

 ニューアジアの政治体制も民衆にやや圧政を敷いているような部分もありますし、この映画にユートピアはありませんでした。でも、この映画のアメリカは極悪非道です。ちょっと悪すぎます。虐殺しすぎです。米軍のノマドがAI基地に撃ち込んでいたミサイルが核兵器だったというのも酷すぎます。

 簡単に侵入を許すザル警備はいい加減なんとかしてほしい場面があったり、脚本にも難ありなのですが、なんだかよくわからない面白さがありました。

 最後に、米軍の司令官がめっちゃイケボでした。