やくもとうずしおをがっつりと

ほぼ毎日19時更新。「映画鑑賞感想」は配信やDVDなど自宅で見た映画、『映画「タイトル」感想』は映画館で観た映画の感想です。稀に旅日記をやっています。

映画「ロボット」を観てきた感想(ネタバレ)


あらすじ:インドの天才工学者バシー(ラジニカーント)は10年に呼ぶ研究の日々を経てチッティ(ラジニカーント、二役)を生み出した。
 あらゆる点で人間以上の能力を持ち、命令に忠実に従うチッティは、人類の未来を切り開く偉大な発明となるはずだった。しかし、人間の感情を理解するように改良されたチッティはバシーの恋人サナ(アイシュワリヤー・ラーイ)に恋をする。
 チッティとバシーはサナをめぐって恋の火花を散らすことになる。板挟みとなったサナは、チッティの思いをきっぱりとはねのける。人間の感情を理解してしまったがためにチッティは深く傷ついた。さらにバシーの怒りを買ったため廃棄処分にされてしまう。
 残骸を回収した悪徳工学者ボーラ博士の手によって冷酷なロボットとしてよみがえったチッティはバシーの目の前でサナを拉致する。追ってくる警官隊を難なく一蹴した。占拠した研究室で自らのレプリカを量産し、ロボット軍を産み出す。
 チッティとロボット軍を止めるため、サナを救うため、バシーは命がけの行動に出る。

 結論から言いますと、面白いです。
 インドのSF映画です。恋愛要素をぶっこんだターミネーターでした。
 主演のラジニカーントはインドではスーパースターらしいです。昔の石原裕次郎くらいだと思います。何しろ、映画の最初で制作会社などのロゴのあと「スーパースター ラジニカーント」と会社のロゴよりでかい文字が並びますから。私はそれで笑ってしまいました。
 女優のほうは、サナ役が美人です。めちゃくちゃ美人だと思います。スタイルもすげえです。そのサナが登場する場面となるとやたらとスローモーションにします。スローといえば、悪役のボーラ博士登場のときもフェイスオフで観たようなスローでの登場をやってくれます。でも、それを何度も繰り返すのです。
 CGなどについては、だいぶがんばっていると思います。チッティが恋愛という心を持つ場面では、内部の回路が花畑のように咲き乱れていきます。この場面が実は一番がんばったんじゃないかと思いました。
 ロボット軍が合体していき球体や巨大なロボットになる場面は実はCGではなく、大勢のスタントを使った特撮らしいですよ。インドならではの力の見せ方だと思います。
 あとは、インド映画ということで、何度かミュージカルシーンがはいってきます。そこは素直に見とれます。大勢のバックダンサーと、チッティとサナのダンスは見ものでした。嫌でもテンションが上がります。
 インド映画の特徴として、やたらとミュージカルシーンが入るため3時間前後と長くなるようです。今回も、インドでの公開は177分です。日本では140分に編集されています。
 映画「ターミネーター」でターミネーターが破壊された目玉を自ら修理する場面がありましたが、それとそっくりの場面がありました。もしかしたら、ほかにもそういう場面があったのかもしれませんが、わかりません。
 さて、ダメなところもありますので、突っ込みますが。
 バシーの目的ですね。チッティを作った目的はなんとインド軍での活用なのだそうです。無敵の戦士として100人分の働きをしてほしいのだそうです。インド軍から依頼されて研究開発してきたわけではありません。さらに、軍での活用が目的であって、金目当てではないそうです。
 軍に採用してもらうためには、誰彼かまわず攻撃してしまうところを直す必要が出てきました。そこで、バシーはチッティに火災現場から住民を救うように命令します。それには成功するんですけどねえ。この成功が軍の採用につながるとは思えないですけど。
 ところで、軍事目的となると、インドがどんな状況なのか思い知らされます。パキスタンや中国との間で緊張状態にあるわけですよね。夫を失った女性が出てきますが、夫は戦死だそうですから。
 さて、火災現場での活躍場面ですが、風呂の途中で火災に巻き込まれた女性を救います。チッティは女性を真っ裸のまま救い出してしまうわけです。インドってそういう場面があってもいいんですね。そこに驚きました。もちろん、全身にモザイクがかかっていましたが。
 チッティの暴走は、実はボーラ博士のせいだったというのは途中で警察も把握したはずなのです。にもかかわらず、映画の最後は、正常に戻ったチッティが裁判でボーラの悪業を映像として流すことによりバシーの無実が晴れるのです。いやいや、おかしいだろ。この裁判は全然必要ないのに。
 そんなチッティも、裁判により廃棄命令が出てしまいます。バシーが破壊しようとしたらチッティが笑顔で自ら破壊しはじめます。チッティともお別れですな。まあまあ良い場面なのかな。そもそもバシーが最初からロボット三原則とやらをチッティに導入しておけばこんなことにはならなかったんですけどね。そもそも、ロボット三原則が導入可能であるにもかかわらず廃棄命令が出たのがおかしいですけどね。もっと良い終わり方があったでしょうに。
 バシーの目的など脚本の細かいところが雑です。でも、圧倒的な熱量でそんなものを一掃してしまいます。こまけえことはいいんだよ!
 アクション場面も、同じようなことを繰り返しているように見えるので、くどいですが、それもどうでもいいんです。インド映画は勢いです。でも、一応、くどいところや雑な脚本も今後は改めていただきたいものですが。
 とはいえ、映画大国インドの力を見せつけられました。