やくもとうずしおをがっつりと

ほぼ毎日19時更新。「映画鑑賞感想」は配信やDVDなど自宅で見た映画、『映画「タイトル」感想』は映画館で観た映画の感想です。稀に旅日記をやっています。

映画「マシンガンプリーチャー」を観てきた感想


 ペンシルバニア州の男が牧師になり、アフリカスーダンで子供たちを救う実話をもとにした映画です。
 映画はまず男の刑務所出所から始まります。そのあとも男は殺人未遂を犯したり違法薬物をやったり、悪いことをします。殺人未遂のときに冷静になって焦った男は妻の勧めで教会に行き、罪を償います。
 罪を償うと言っても、教会で水に沈められて「あなたは救われた。おめでとう」となるだけですから。また収監されるわけではないのです。そのあたりは気持ち悪いところでした。
 教会に通うようになって、スーダンの内情を知った男はうまく行きはじめた仕事で稼いだ金をガンガン使ってスーダンの子供たちを救います。自らスーダンに乗りこんで、自ら武器・マシンガンを持つのです。このあたりがマシンガンプリーチャーと呼ばれる所以です。
 それで、自ら武器を持って子供たちに害を与える者たちと戦うとなると、当然死人を出します。相手を殺すわけです。そのやり方が正しいかどうかはさておき、現実にそのやり方によって子供たちが救われているという点は無視できません。
 この映画を観ていて、キリスト教こそ正しい、それ以外は悪だという作品なのかもしれないと思っていました。しかし、途中から主人公はキリスト教とかそんなものとは関係無しに、神は救ってくれないから自分でがんばる、という感じになってきたので、私は「まあ、いいか」と思うようになりました。
 ただ、主人公は自分の家族も犠牲にしてしまいます。アメリカに戻ると金持ちや銀行を回って資金集め、家族からも金を奪うほどの状態でした。アフリカで自らマシンガンを持って戦っていたらアメリカに戻って無茶な相手を恫喝するほどの資金集めに奔走するのも無理はないでしょうな。ここまで来たらもはや狂っているとしか言いようがありません。
 男がうまくいかなくて電話で妻に泣き言を言う場面がありました。男はスーダンからアメリカの妻に電話をかけています。そのとき妻はちょうどスーパーマーケットにいます。商品であふれかえっている整然としたスーパーマーケットで妻は男に対して「あきらめたらだめだよ」と言いますが、なんという説得力の無い場面だったことか。笑ってしまいました。
 あとは、男の娘が少々わがままかなと思います。豊かなアメリカ育ちだからこそ、スーダンの子供たちとの対比かもしれません。男は長い間スーダンで過ごします。その間は男の友人が男の自宅で娘や妻といっしょに過ごしています。そのとき、娘が友人に対してけっこう冷たいんですよ。「お父さんだったらこうするああする」という感じで。友人がかわいそうでした。この友人が最後は死んでしまいますが、ますますかわいそうです。牧師にも友人が死ぬ原因はあったと思いますけど、もうちょっとこの友人を大切にしてあげてほしかったです。
 とにかく、この映画に関しては、現実に何をしたか、どんな結果を出したか、そこだけに注目するべきでしょう。
 男は牧師になる前はめちゃくちゃ悪かったですが、それはそれ、牧師になったあとにスーダンでやったことはまた別のこととして捉えるべきです。
 マシンガンで子供たちを救うやり方が正しいかどうかではなく、子供たちが実際に救われたという点を大切にしましょう、ということですね。
 スーダンで軍人ではない民間人が人殺しをやっているけど、その点もおそらく不問なのでしょう。