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ほぼ毎日19時更新。「映画鑑賞感想」は配信やDVDなど自宅で見た映画、『映画「タイトル」感想』は映画館で観た映画の感想です。稀に旅日記をやっています。

映画「キャプテン・フィリップス」(吹替)を観た感想


2013年10月アメリカ公開、同年11月29日日本公開
監督:ポール・グリーングラス
脚本:ビリー・レイ
原作:リチャード・フィリップス、ステファン・タルティ『キャプテンの責務』
製作:スコット・ルーディン、マイケル・デ・ルカ、デイナ・ブルネッティ
製作総指揮:エリ・ブッシュ、グレゴリー・グッドマン、ケヴィン・スペイシー
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 2009年4月、リチャード・フィリップス(トム・ハンクス)はマースク海運コンテナ船「マースク・アラバマ」号でアラビア半島サラーラを出た。ソマリア沖を経由してケニアのモンバサを目指す。積荷には支援食糧も含まれていた。
 一方、アブディワリ・ムセ(バーカッド・アブディ)たちソマリアの漁師は組織から海賊行為を強要されていた。今回も、ノール・ナジェ、ワリド・エルミ、アダン・ビラルと小型船で海へ出た。
 アラバマ号はムセたちの船に追われるも振り切ることに成功した。しかし、翌日再び襲撃されて、ハイジャックされてしまう。
 アラバマ号乗組員の連携によってムセを捕らえたものの、アラバマ号の救命ボートで脱出したムセたちはフィリップスを人質としてしまう。
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 面白かったです。トム・ハンクス主演だから人間臭さだの何だのの主張が展開されるのかと思いきやそんなことはなかったです。淡々と、事件のあらましを追う形の映画でした。フィリップス本人の回想録を基にしているとは知りませんでした。
 冒頭でフィリップスがアメリカを出てサラーラを目指す前に妻と話していた内容はけっこうつらいものがあります。彼らの子供たちの将来を心配する内容でした。自分たちの若い頃は仕事をがんばっていたら今の地位を得られたが、今の子供たちは、激しい競争社会、できるだけ安く早く仕事しなければいけない社会にいてたいへんだというものです。特に、「安く早く」という部分は今の日本がそうですよね。日本は世界との競争というよりも国内の企業どうしの体力削り合いに奔走していて労働者がその状況に振り回されています。
 アメリカでも似たような状況にあって危機感もあるということが分かりました。
 さて、そのことが海賊による襲撃とどのように関係してくるのかということです。
 ムセたちソマリア側の描写も多く、組織がムセたちに海賊行為を繰り返すように強いる場面がありました。これこそがフィリップス夫妻の会話とつながります。「生きる」って何だろうと考えさせられますよ、本当に。
 そんなムセたちの海賊行為も強大な米海軍によって排除されたのです。今の経済社会における私たち、さらにその社会を大きく見るとアメリカなどの大国とソマリアのような荒れた国の関係もありますし、この映画には社会のいろんな状況が収められています。
 それにしても、ムセたちは4人でAK47を所持して、小さなボートで海賊行為を働きました。それに対して、米海軍は駆逐艦2とヘリ空母1、そして海軍のSEALsも投入します。
 ソマリア沖では海賊が頻繁に出没して事件を起こしていますが、アメリカ人が襲撃された場合、米海軍はそこまでやるのだなあと思いました。容赦ないですね。
 では、最後に、映画鑑賞中に私は船酔いしたことを白状します。ほとんどの場面が手持ちカメラによる撮影だったため、酔ってしまいました。揺れる画面が苦手な方はご注意を。
 救命ボートが貨物船から離れたあたりから、何やら体調がおかしいことに気づきました。揺れる画面で酔っているのだとは考えず、熱でも出してしまったかななんて思っていました。映画で酔ったのは久々です。記憶がはっきりしませんが、おそらく去年のメランコリア以来です。
 手持ちカメラが苦手な方も我慢してこの映画を鑑賞することをおすすめします。(306)