前の法王が死去したため、新しい法王を選ぶことになりました。108人の枢機卿らによる選挙の末法王に選ばれたメルヴィル、なんとローマの街に逃げ出してしまうというお話です。
喜劇なのですが、まさかの衝撃的ラストに唖然とします。
まずは選挙のためにある部屋へ入り、外と隔絶された状態で枢機卿たちが投票用紙に誰かの名前を書こうとします。部屋に入る前に報道陣からコメントを求められますが、無言、この演出が何か事件を予感させます。投票用紙を前にして、ひどく悩む枢機卿たち、ペンをコンコンと机に当てます。そして、「どうか、私が選ばれませんように」と祈りを捧げます。
ここから喜劇の始まりです。
バチカンから怒られることはないのだろうか、というくらい心配してしまいました。
さて、新法王となったメルヴィルともうひとり、物語の主軸となる人物がいます。それはメルヴィルを法王として大勢の信者の前に出すため呼ばれた精神科医です。後で知ったのですが、演じているのがこの映画の監督さんなんですね。
精神科医は、バチカンの中に集まっている枢機卿たちの秘密を暴くというか、教会が抱える問題をえぐりだしていきます。枢機卿たちはどいつもこいつも精神的に病んでいらっしゃるわけです。また、聖書の中身を読んで、うつ病独特の症状ばかりが書かれていることを訴えます。
そんな精神科医が枢機卿たちを世界の地域別にわけてバレーボール大会を始めるわけですが、みんな楽しむのですが、それは突然打ち破られます。そこから急転直下、衝撃のラストとなります。精神科医の働きなど何の影響も残すことなく、結局は皆うつ病を抱えたままですよ。そんな状態で、街から無理やり連れ戻されたメルヴィルは、バルコニーで世界に向けて「私は法王を辞退します」と言ってしまうわけですね。
正直、ひどいラストだなと思いました。映画の中で、見つけ出された多くの課題は解決されることなく、最後にメルヴィルが演説で教会やバチカンを破壊しかねない発言をしてしまうわけです。
人間って怖い。そんな映画です。
このラストが来るまでは、だいたい喜劇なんですけど、ラストで奈落へ突き落とされます。落差が大きすぎて、見終わったあとは呆然とします。
それにしても、月曜の昼間に観ましたが、映画館は大勢のご老人であふれかえっていました。夏休みだから若い連中が多いのかと思えばそんなことはありません。このあと、別の映画館に移動してダークナイトライジングを観ましたが、ガラガラでした。