やくもとうずしおをがっつりと

ほぼ毎日19時更新。「映画鑑賞感想」は配信やDVDなど自宅で見た映画、『映画「タイトル」感想』は映画館で観た映画の感想です。稀に旅日記をやっています。

映画「アクト・オブ・キリング」感想

2012年イギリス・デンマークノルウェー合作
2014年日本公開
監督:ジョシュア・オッペンハイマー、クリスティーヌ・シン、匿名者
編集:ニールス・ペー・アンデルソン
・・・
 1965年インドネシアで、スカルノ大統領が軍に政権を奪われた。その後、共産主義者などの大量虐殺が行われた。その数は100万人を超えるといわれる。虐殺に係わったアンワル・コンゴ本人などによって当時を再現させようとする、ドキュメンタリー。
・・・
 スカルノ大統領という名前とその座を追われたくらいなら知っていました。でも、まさか大量虐殺があったなんて全然知らなかったです。
 大勢の人々を殺した、今はおじいちゃんとなっているアンワル・コンゴが語るのです。最初のうちは楽しそうに再現しようとします。
 ただ、最終的にはこの作品が虐殺実行者たちを罰する内容となっていました。公開処刑です。
 自分たちの過去を再現していくうちに精神的に追い込まれていく彼らの姿は強烈です。アンワル・コンゴが再現映像をテレビで見直して反省の言葉を語りました。殺された人々の気持ちがわかって苦しいというのです。それに対してジョシュアが、わかっていないと言って追い詰めました。この場面が最もつらい場面でした。
 この場面で、なんと、私はアンワルを許してあげてほしいという気持ちになっていたのです。
 グロい場面はありません。再現のしかたはもちろんお遊戯レベルです。しかし、当時の彼らがやっているし、心のうちを吐露しはじめるものですから、私もやられてしまいました。
 映画を観て気持ち悪くなったのはラース・フォン・トリア監督の「アンチクライスト」以来だと思います。
 MAZDAなどの大企業の宣伝広告が並んだ現在の都市の姿も、我々がこの事件を見て見ぬふりをした結果ですね。
 精神的にきつい映画でした。