やくもとうずしおをがっつりと

ほぼ毎日19時更新。「映画鑑賞感想」は配信やDVDなど自宅で見た映画、『映画「タイトル」感想』は映画館で観た映画の感想です。稀に旅日記をやっています。

映画「ダークナイト ライジング」を観てきた感想(ややネタバレ)


あらすじ:ダークナイト(=バットマン)が夜の闇に消え、一瞬にしてヒーローから逃亡者となってしまったあの夜から8年過ぎた。検事ハービー・デントの死の責任を一身に背負ったダークナイトはゴードン市警本部長とともに目指した大義のためにすべてを犠牲にした。その嘘はしばらくの間、うまくいった。犯罪防止のために制定されたデント法の重圧を受け、ゴッサムシティの犯罪活動がことごとく潰されたからだ。
 そんな中、ひとりの狡猾な泥棒の登場をきっかけに一時の平和が終わる。猫のようなしなやかさをもつ怪盗は、その犯罪の真意が謎だった。しかし、ゴッサムシティとダークナイトにとっての真の脅威は覆面テロリスト、ベインの出現だ。ゴッサムを恐怖に陥れるベインによって、ブルース・ウェインは自ら課した『潜伏期間』を切り上げざるを得なくなる。そして再びケープとマスクを身にまとうのだが、ダークナイトでさえもベインを倒すことはできないかもしれない。

 今年最大の注目作、いよいよ公開です。今年映画館で観た映画70本目となりました。最大の注目という言葉は以前にも使ったような気がしますけど。
 結論から言うと、熱いエンディングに目頭も熱くなりました。作中で、バットマンキャットウーマンに対して「ロビンフット気取りか」という場面がありますが、ロビンという単語に反応しました。すると、なんと、エンディングであのロビンの誕生をほのめかすわけです。ゴードンから「熱いやつが必要だ」ということで制服警官だったブレイクが刑事に抜擢されましたが、そのブレイクの本名は実はロビンだったということ、さらに、バットマンの洞窟へ潜りこむエンディングには気持ちが高ぶりました。もしかして、三部作完結とか言いながら、バットマン&ロビンが数年後にあるんじゃないですか?
 それにしてもこの映画はかなり長いです。2時間50分あります。でも、時間の長さを感じさせない物語の運び方には拍手です。常に集中して観ていられるのですから、すごいですよ。ただ、それは場面がめまぐるしく変わることで長尺をもたせたともいえるので、難しいところではあります。
 あと、アクションというよりもサスペンス色のある映画とも言えませんか。謎を追う感じがします。
 さて、この映画で最も気になるところは、前作のダークナイトを超えたかどうかという点です。前評判どおり、超えていないわけで、ならばどこまで近づいたのかというのが気になります。
 ジョーカーとベインの比較となるでしょうね。ジョーカーはどうしても心に焼き付く史上最悪の敵、一方ベインはおそらくすぐに忘れ去られる敵だと思います。
 ベインってめちゃくちゃ強いんですよ。原作ではバットマンの背骨を折って半身不随にしてしまいます。それで、今作でもベインはバットマンを半身不随に近い状態にしてしまいます。戦闘能力としてはバットマン史上最強でしょう。でも、果たして我々の記憶に残るかどうか怪しいです。バットマンとベインの決着が味気ないですし。ベインの口についているマスクを破壊すれば弱るのを利用して、マスクを殴るのですが、正直つまんないです。ベインはとても悲しい人物でもありましたが、もうちょっとバットマンにはうまい倒し方を取ってほしかったと思います。
 あとは、バットマンの活動を再開する前のブルースですが、杖をつくという痛々しい姿になっています。医者からも関節に軟骨がなくなっているとか身体がボロボロであることを告げられたり、そこからどうやってバットマンになるのだろうと思いましたよ。ちょっと無理があるかなと思いました。無理やり脚が動くようにしていましたし。そんな状態でベインという最強の敵と戦うにはあまりにも非力です。
 バットマンがそういう状態だから、最強であるはずのベインの強さがいまいち伝わりにくいです。それに、バットマンの格闘もベインが言うとおり「がむしゃら」です。センスがありません。
 そんなブルースが哀れに思えたりしました。最後まで彼は人々のために犠牲になり続けました。そこまでされると本当にゴッサムの希望となるのか心配です。
 ベインと某女性の大復讐劇でもあった今作、何しろジョーカーがすごすぎた前作を超えられない、また、ジョーカーがすごすぎて、それが今作での痛々しいブルースを生み出してしまった結果なのではないでしょうか。
 ライジング、そのタイトルの意味も含めて、前作からどこまで登ることができたのか、みなさんもぜひご覧ください。