やくもとうずしおをがっつりと

ほぼ毎日19時更新。「映画鑑賞感想」は配信やDVDなど自宅で見た映画、『映画「タイトル」感想』は映画館で観た映画の感想です。稀に旅日記をやっています。

映画「アクシデント」を観た感想(ややネタバレ)

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 この映画は、みんな大好き、ジョニートー監督作品です。な、そうだろ、好きだよな。
 私も好きとか言いつつ実際は「冷たい雨に撃て、約束の銃弾を」と「エグザイル/絆」くらいしか高い評価をしていないのですが。まだ観ていない作品も多いですし。
 あらすじ:人殺しの依頼を受けて完璧な暗殺をやってのける4人組(ブレイン、ふとっちょ、女、オヤジ)。ある日請け負った暗殺では事故に見せかけるため雨を待った。その雨が時間通りに降った日、暗殺に成功するも、ラムシュー演じるふとっちょがバスに轢かれて死んだ。暗殺集団のリーダーであるブレインは、自分たちもほかの暗殺集団に狙われていると疑心暗鬼に陥っていき・・・
 ジョニートーの作品というのは、映画的なウソが多いですが、それはきれいな、美しい、かっこいい映像に仕上げるための手段として敢えてやっていると思われます。エグザイルのときの銃撃戦とか現実味がないですけどめちゃくちゃかっこいいですから。
 映画的ウソというのは、現実ではやらないような銃の撃ち方、動作を美しいもしくはかっこいい映像を作るために敢えてやることです・・・ですよね?
 それで、このアクシデントでもその映画的ウソというのが山盛りてんこもりでした。
 内容が、絶対にバレない殺人を遂行するという目的を持った集団の話ですから。警察が、これは偶然の事故だと判断する暗殺をやらなければならないのですから、それはそれは映画的ウソばかりだと思います。
 ブレインたちが映画冒頭でやってのけた暗殺は、女が運転していた車をパンクさせて道路を塞ぐ、その後ろを車で来た標的を足止め、その間にこれから標的が通るであろう場所に細工、そこを標的が車で通ると垂れ幕がビルから落ちてきてフロントガラスを塞ぎ、標的は怒って車外に出て、その垂れ幕を取り除こうとする。垂れ幕がビルのガラスに引っかかり、ガラスが割れて大量のガラスが標的に降り注ぎ、死亡。
 ふとっちょが細工しているところをオヤジが風船を使って監視カメラを塞ぎ、といったところでした。
 どれかひとつでも予定通りにならなければ、たとえば車に落ちた垂れ幕をほかの通行人が取ったり、標的が降ってきたガラスに気づいて逃げたり、無理の多い計画ではあるでしょう。
 こんな感じの暗殺をブレインたちはやっていくんですねえ。
 そのため、アクシデントの映画的ウソには少々厳しいものがあると言わざるをえないです。
 ただ、ブレインは作中での2回目の暗殺計画でバスに轢かれそうになり、そのバスがふとっちょを死なせてしまうのですが、ここからのブレインの疑心暗鬼を注目しておきましょう。
 ブレインの演技です。
 この映画はセリフが少なく、人物の動きだけで何がどうなっているのかを表現しようとしているので、私はそういう映画が好きですよ。映画なんだから、セリフでの説明じゃなくて映像で説明・表現してくれよといつも思いますけど、それができていたので良い評価をしてしまいますよ。
 ブレインの表情の変化です。ずっと険しい表情のままで、だからこそ時折変わる表情が状況の変化をしっかりと教えてくれるのです。それにブレインの動作ですなあ。
 まあ、でも、この映画のオチはさすがに失笑してしまうかもしれません。そのオチのあとのブレインに襲い掛かる事態は見ものです。事故に見せかけた暗殺者:ブレインが迎える事態とは何か。ええと、まあ、どうしよう、以下は重大なネタバレということで。
・・・ラストのネタバレ・・・
 ブレインは保険屋を暗殺するために計画を実行。車を駐車させてその車のフロントガラスに砂をかぶせている。道路工事をしているから、その道路に砂が撒かれるように通気口の向きを変えて砂を広げた。そこへ保険屋が家族連れで登場。
 保険屋が予定の位置に立ったところで砂をかぶった車のエンジンをかけた。ガラスの砂をワイパーが取り除くと日除けに見せかけた反射板が広げられていた。そこに日光が当たり、通過しようとする車の運転手の視界を塞ごうとする、しかし、日光が弱くなってきた。
 なんと、その日は日食で・・・
 というオチなんですけどね。
 この映画はサスペンスとして観てください。