やくもとうずしおをがっつりと

ほぼ毎日19時更新。「映画鑑賞感想」は配信やDVDなど自宅で見た映画、『映画「タイトル」感想』は映画館で観た映画の感想です。稀に旅日記をやっています。

映画「猿の惑星創世記」を観た感想

 これは来たぞ! 来ましたよ!
 すんげえ面白いです。サルがどのようにしてこの地球を我が物としていくのか、というお話です。舞台は現代のサンフランシスコです。私の今年映画館で観た映画ランキングのトップ争いに食い込んできました。
 その我が物としていく流れ・段階が懇切丁寧に描かれています。それだけではない、主人公シーザーが体験する悲しい出来事を、私は本当に悲しいものとして受け取ることとなりました。
 成長していくシーザーの姿がすんげえかわいいんです。これはもはや感情移入せざるをえません。シーザーのしぐさ、サルとしての動き、それらが面白いのです。前半のシーザーの成長では、劇場内が沸いていましたからね。人間みたいなしぐさをしつつ、それでいてサルの跳躍を見せるのですから。
 この成長が短時間ではっきりと丁寧に描かれているところもまた高い評価をするべき点でしょう。
 さて、この地球は人類のものです。豊かな生命が暮らすとはいえ、現実は人類の惑星です。でも、タイトルは猿の惑星ですから、人類の地球が猿の地球になるのでしょうね。
 そこで、気をつけたいのは、シーザーがどれほど成長して人類のような脳を手に入れようと、人類に勝てるわけがありません。
 シーザーは、研究のために閉じ込められているサルや人々を傷つけてしまったから檻に入れられたサル、動物園のサルをどんなに解放して自由にして群がろうと、人類はそれらを一蹴する力があります。それらサルがシーザーのような頭脳を手に入れても人類には勝ちようがありません。
 しかし、この映画では人類が地球をサルに譲り渡さざるをえない状況に陥ります。それらの場面はヒントのように、作中にちりばめられていて、まるで人類が急激な衰退をするようには見えません。ここがうまいところですな。これについては、最後のスタッフロールまで席を立たないでください。
 人類衰退のきっかけが小道具や脇役たちのちょっとした動作によって表されます。まあ、中盤で「あ、これか」とすぐにわかりますけどね。
 あとは、シーザーが収監される施設がありますけど、そこには悪い男がいるんですよ。こいつが本当に悪い。最高の配役だなと思える男でした。この男の行く末も小道具が示していますので、お見逃しなく。
 サンフランシスコの黄金橋や森や路面電車なども重要な役割を果たしています。この作品は小道具の使い方とサンフランシスコという舞台の使い方がうまいです。そして、サルたちの表情と動き。クライマックス、黄金橋でのサルと人間の対決。そこでのサルの動き方がまたすばらしいですから。
 本当によく練られた映画でしょう。