やくもとうずしおをがっつりと

ほぼ毎日19時更新。「映画鑑賞感想」は配信やDVDなど自宅で見た映画、『映画「タイトル」感想』は映画館で観た映画の感想です。稀に旅日記をやっています。

映画「SRサイタマノラッパー2 女子ラッパー☆傷だらけのライム」DVDを観た感想

 埼玉を舞台とした前作サイタマノラッパーでは号泣させていただきました、その続編となります。2010年6月公開の作品です。監督は今や超期待の入江悠さんです。今回は群馬を舞台としました。高校時代に結成された女子5人のグループ『B-hack』、それから10年近く時が流れてヒップホップを再びやってみようと集まった彼女たち、しかし、そこには苦難ばかりが待ち受けていた……、ということですな。
 これを観る前に入江監督作「劇場版神聖かまってちゃん」を映画館で見ておりまして、それに比べるとやや金がかかってない感じがするなあ、今作からかまってちゃんまでに監督のほうで資金が集まるようになったのかなあ、というところです。
 さて、感想ですが。前作サイタマノラッパーではIKKUやTOMに自分をがっつりと重ね合わせてしまいまして映画の中へどっぷりと引き込まれて抜け出せなくなり、最後には本当に号泣しました。それが今作SR2では無かったです。自分が重なるところがないなあ、と。その原因は、1点目として5人中4人の抱える問題があまりにもでかすぎるというところ。2点目として、5人が女性だというところです。中絶とか2000万の借金とか選挙落選とか、重すぎます。私の人生がそんな重すぎるものと重なりません。そのために、今作では引いてしまったかな。こんなに重いものを背負ってしまうと夢を追うどころではなくなるでしょう。一度落ちたら抜け出せないところに落ちていると思いました。できれば、彼女たちの落ちたところから抜け出していく一筋の光があれば良かったのですが。「諦めない」という気持ちだけで映画は終わっていますが、そりゃあ、まあ、諦めないことは大切ですけど、諦めない、そして、そこから抜け出すための具体的な道筋が少しでも見えていたらまだ観ている私も明るい気持ちになれたでしょう。観ている私としては、こういう映画に救われたいなあという期待もありますので。じゃあ、前作SRで私は救われたのかというと、そうでもないんですけどね。あとは、こんにゃくと旅館以外に群馬らしさがなかったです。なんと、撮影はすべて埼玉県内で行ったということで驚いています。川は群馬らしいけど、赤城とか谷川岳とかそれっぽい山も絡んでほしかったです。
 救われた、諦めないという部分では、結局アユムだけがそんなに苦境でもないのですよねえ。ほかの4人に比べるとねえ。ほかの4人も大借金とか中絶とかそこまでの重荷を背負ってほしくなかったのですけどねえ。その4人の中の2人がなぜかアユムを救おうとするところはよく考えるとおかしいですな。アユムのことをうらやむ場面があってもいいんじゃないでしょうか。
 アユムとミッツがはまり役ですな。顔が作中の役に良くはまっています。あとは、IKKUとTOMがけっこう出番が多くてうれしかったです。彼女たちが「諦めない」ように誘導するところまで行くとはねえ。こんな感じで、IKKUとTOMが残り45都道府県のラッパーの遺伝子を救ってくれたらうれしい限りです。まあ、なんか、まだ続編がありそうな感じですね。栃木へ行きそうな感じですね。期待していいんでしょうか。期待してしまいますよ、入江監督には。