宇多丸さんムービーウォッチメン「アイリッシュマン」評について
ネット配信でやっているから、今から登録してでも鑑賞しろとおっしゃるのですか。それってネット配信に敗北することとなります。ネット配信によって映画館が観客を減らして映画館で上映される作品が減ることにつながりませんか。ネット配信に屈してはいけないのではありませんか。
12月13日18時からTBSラジオで放送していた宇多丸さんのラジオ番組「アフターシックスジャンクション」のコーナーにムービーウォッチメンというものがあります。
そのムービーウォッチメンとは、宇多丸さんがガチャで当たった映画を自腹を払って鑑賞して評価するというコーナーです。
そのコーナーが今回扱った映画はマーティンスコセッシ監督作「アイリッシュマン」でした。このアイリッシュマンという作品の関係でMCUに対してあーだこーだ言っていたこともあるスコセッシ監督です。宇多丸さんはガチャでアイリッシュマンを当てた瞬間に「めんどくさい」とおっしゃっていたので、こいつは面白い評を聴くことができるだろうと思っていました。MCUと絡めたお話をするのかなと思いました。
というわけで、聴いてみますと、イラッとしました。
このアイリッシュマン評の冒頭で、視聴者から送られた感想がだいぶ少なかったということで「だから苦言を呈したくなる気持ちがわかる」という発言がありました。NETFLIXに登録してでも見るべきだとおっしゃるわけですよ。我々一般大衆に対する苦言でしょうか。これがダメでした。
このアイリッシュマンはNETFLIX限定配信なんですよ。映画館で上映していません。その映画館で上映していないことでスコセッシ監督はMCUの名前を挙げてお怒りとなったわけですが。
私からすればNETFLIXだからこそ見ないよ!っていう話ですよ。
ネット配信といえばほかにアマプラとかいろいろあるわけじゃないですか。そうすると、ここのところそういうネット配信業者が作品の囲い込み、視聴者の囲い込みを狙って限定配信となっているじゃないですか。NETFLIXだけ登録しておけばすべての作品が見られるというわけではありません。以前はiPhoneを扱っていた通信会社がソフトバンクだけだったように。作品を観ようとするにはNETFLIXのような世界的企業に月額を払うという形になっているわけです。結局は大企業のいいなりとも言えるわけです。
ネット配信ということはスマホで見るわけですよね。そんな小さな画面で鑑賞して本当に楽しくなりますかって話ですよ。機器をそろえてテレビと接続できるのでしょうけど、家の小さなテレビで見て楽しめるのですかという話ですよ。
ネット配信ということはスマホでどこでも見られるということですが、そもそも自宅のネット回線すら安定していないのに、外のスマホの回線なんてなおさら安定していないじゃないですか。自宅であっても防音ではありませんし、小さな音で見るでしょうし、外から聞こえてくる自動車の走行音もあるでしょう。この文を書いているときは風の音がすごく大きくてうるさくなっていますよ。不安定で、しかも外という騒音だのなんだの邪魔が入りそうな環境で作品を楽しむことができますか。自宅や外なら自由にいつでも見られるというのは本当でしょうか。映画館だって見たい作品の上映時間を選ぶことができますが、自宅や外であっても鑑賞可能な時間は限られるためにぶつぎり鑑賞となったりしませんか。自宅での鑑賞であってもどの時間にゆっくり見られるのか、選ぶ必要があるのは同じだと思います。
映画はやっぱり映画館なんですよ。映画館だと、まわりの客が私語するかもしれない、ビニル袋くしゃくしゃ、咳払いなどなどの邪魔をしてくる可能性はあります。でも、自宅などで見るよりもはるかに邪魔が少なくて、何より音響設備や大きな画面があるのです。少ない邪魔と最高の環境です。映画館であってもユナイテッドとかイオンとかサンシャインとか東宝とかありますし、配給会社の意向で作品が見られるものは限られますが、ネット配信とちがって1度きりの鑑賞ですから映画館を選ぶことができます。田舎だったらそもそも映画館がないとおっしゃいますけども、ある程度遠出をすればなにかしらの映画館があるでしょうよ。北海道や沖縄や離島でもない限り、車で数時間走ればたいがいの映画館に到達できますけどね。
ネット配信でテレビにつなぐなんてするくらいだったら映画館でいいじゃないですか。映画館のほうがはるかに良い環境です。
いやいや! アイリッシュマンは映画館で観ることができないんですよ! 渋谷の映画館で上映しているようですが、私の場合は渋谷まで飛行機に乗って降りて電車などで3時間くらいです。車だと休憩なしで10時間くらいです。さすがに無理だ。
東京の文化集積ってのはすごいなあと思います。世界屈指の文化都市でもあります。その東京に住んじゃえよっていう話ですけど、それはそれでアレなので。
じゃあ、それって、我々大衆、観客が悪いんですかっていう話ですけど、それを上映しない映画館が悪いのであって、こっちは悪くないでしょう。映画館さん、お願いですから上映してください。エンドゲームという長尺は流すくせに、アイリッシュマンはダメなのかよ。そりゃあスコセッシ監督も怒りますわ。
我が家は回線が安定していませんのでネット配信は遠慮します。パソコンも電源入れたらちゃんと起動するまでに1時間近くかかるようになりましたし。ネット配信できるような環境を整えるくらいだったら今までどおり映画館に通います。というわけで、全国の映画館は今からでもアイリッシュマンを上映してください。いや、もうNETFLIXで配信しているから今更アイリッシュマンを映画館で流すのは無理ですよというなら、それもまた映画館がネット配信に敗北したことになります。
とか言いつつですね、来週には「スタンダードだと月額1200円かー。ちょっとやってみますかね」となっていたら二枚舌ということでごめんなさい。
映画「ホテル・ムンバイ」鑑賞感想
2019年9月日本公開
監督:アンソニー・マラス
映画「ルパン三世 the first」鑑賞感想
2019年12月公開
映画「ドクター・スリープ」鑑賞感想
2019年目標達成のお知らせ
2019年の目標として、外食1000軒を目指していましたが、11月30日に達成したことをお知らせします。
誰もお祝いしてくださらないものですから悲しいですけど、達成しました。たかが外食1000軒行ったくらいで逆上せ上がるな、もっとすごいやつはいくらでもいるということですが、達成しました。
映画「ゾンビランド ダブルタップ」(吹替)鑑賞感想
2019年11月公開
監督:ルーベン・フライシャー
脚本:レット・リース、ポール・ワーニック、デイブ・キャラハム
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あらすじ:4人が出会ってから10年、ウィチタとリトルロックが書置きを残して、出ていってしまった。タラハシーとコロンバスが一人で戻ってきたウィチタといっしょにリトルロックを探すため旅に出る。
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頭をからっぽにして見ることのできる映画というわけで、やっぱり楽しい作品です。それにしてもウィチタが年を取ったなあと思います。何しろ10年ですもんね。この10年間でウィチタを演じるエマストーンは大女優になっちゃいました。そのエマストーンが10年過ぎたらまたこのメンバーでゾンビランドをやりたいと言っていたそうです。そのおかげでダブルタップが実現したようですね。ありがとう、エマストーン。
今回は、銃だけがゾンビに対抗する手段ではありませんよということで、クライマックスでゾンビをどうやって倒していくのか良い見ものになりました。人類はひたすら駆逐されていくだけのゾンビ映画が多い中で希望を見せてくれました。
タラハシーがビーストを駆る場面は観たかったなあと思います。結局ビーストが活躍する場面はありませんでした。ビーストがかわいそうです。あと、ピサの斜塔の末路は笑うけど、大切な文化財が……。まあ、こんな世界では文化財も何も意味がないでしょうけどね。ホワイトハウスの中もあんな感じですし。