やくもとうずしおをがっつりと

ほぼ毎日19時更新。「映画鑑賞感想」は配信やDVDなど自宅で見た映画、『映画「タイトル」感想』は映画館で観た映画の感想です。稀に旅日記をやっています。

映画「落下の解剖学」鑑賞感想

ポスター画像

2024年2月日本公開

監督:ジュスティーヌ・トリエ

脚本:ジュスティーヌ・トリエ、アルチュール・アラリ

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あらすじ:フランス、人里離れた雪深い山荘で男が転落死した。妻に殺人容疑がかかった。唯一の証人が11歳の息子なのだが、彼は視覚障害のために何も見えなかった。知り合いの弁護士が助けようとするが、起訴されて裁判が始まってしまうのだった。母と子の運命は。

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 面白かったです。

 フランスは物的証拠が重視されないのですかね。状況証拠だけで有罪にできるということですね。

 あいまいな状況のみで有罪にしようとする検察と警察の横暴をどのようにして防ぐのか、その点に注目していました。しかし、裁判は夫婦間の争いばかりに焦点が当てられてしまいます。そこが重要じゃないですよね。そんなものはどうでもいいのです。物的証拠がありませんからね。検察側が推す動機もあいまいですし、こんなもんは無罪判決が出て当然です。

 夫婦が息子のことで争っていたことが明るみに出ますが、そんなもんは裁判にとって単なるノイズでしかありません。そういうノイズをしっかり排除して、検察側の主張を徹底的に否定しなければいけません。

 この映画は裁判劇ではなかったという方が大勢いらっしゃいますが、全然そんなことありませんよ。裁判劇です。妻を有罪にしようとする検察とマスコミと世の中の人々の悪意がまみれた裁判劇です。検察とマスコミが言っていることに惑わされることなく、有罪になるような確実な証拠があるのかどうかのみを見極めていくべきです。それを試している映画でしょう。

 やった可能性があるから無罪にするのはおかしいという方がいらっしゃいますけど、うちの母ですけど、おまえなあ、明日は我が身やぞ。突然早朝に逮捕されても同じことが言えるんですかって話ですよ。