2017年9月公開
監督、脚本、原案、編集:是枝裕和
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あらすじ:強盗殺人容疑で告発されている三隅に新たな弁護士:重盛が加わった。二転三転する三隅の証言にやがて引き込まれていく重盛は真実を明らかにすることができるのか。果たして真実とは何なのか。
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要するに日本の司法は腐ってやがるということですよ。検察と裁判所はずぶずぶの関係なのはわかっていましたが、弁護士もそれなりに関係してしまっているようです。裁判官にも決められた日程で裁判を処理したら評価につながるということもあるなんて、そんなバカな。ひどいです。何より劇中で出てきた言葉「訴訟経済」がひどすぎます。本来であれば裁判に関係する人々の労力などを軽減しようとする意味で使う言葉なのでしょうが、劇中ではそんな使い方をしていませんでした。明らかに司法側の労力を軽減しようとする意味で使ったと思います。
この映画では、三隅被告が犯人なのかどうか、それははっきり言ってわかりません。ただ、よくよく見ていくと物的証拠がありません。どうやら自白以外に証拠がなさそうです。自白では「やりました」と言っているのですが。
自白だけで有罪になるのだからおそろしい国ですね。和歌山カレー事件も状況証拠のみで死刑判決でした。
さて、三隅被告の二転三転するセリフなのですが、接見する弁護士が「あなたは○○をやりましたか」という聞き方をして「たぶん」とかけっこう曖昧な答え方をしています。具体的な質問をして曖昧な回答をしています。これも重要な注目点なんじゃないかなと思います。「この50万は手付金ですか」「ああ、たぶん」とかそんな感じです。「この50万は何ですか」という聞き方をしたらどうなっていたでしょうか。
裁判が終わったときに見せた咲江の涙は果たして本物なのでしょうか。誰もみんな嘘をついているのではないでしょうか。
日本の司法にメスを入れた作品でした。「それでもボクはやってない」「終の信託」など訴訟を題材にした映画に新たな名作が加わりました。