やくもとうずしおをがっつりと

ほぼ毎日19時更新。「映画鑑賞感想」は配信やDVDなど自宅で見た映画、『映画「タイトル」感想』は映画館で観た映画の感想です。稀に旅日記をやっています。

映画「ブラックボックス 音声分析捜査」鑑賞感想

ポスター画像

2022年1月日本公開

監督:ヤン・ゴズラン

脚本:ヤン・ゴズラン、シモン・ムタイルー、二コラ・ブーベ=ルブラー

・・・

あらすじ:フランス民間航空事故調査局BEAの音声分析官マシューは、ヘリコプターの事故を上司のポロックと調査していた。着陸しようとしして事故を起こした様子をスマホで撮った動画の音声のみで1730回転であるべきところを1680回転だと言うほど彼は天才だ。ある日、ドバイ発パリ・シャルル・ド・ゴール行ヨーロピアン航空24便がアルプス山中に墜落した。機種はアトリアン800型機という最新鋭大型旅客機だった。316人の乗員乗客が死亡した。優秀すぎたマシューをポロックは捜査からはずしてブラックボックスを調査したのだが、テロリストが操縦席へ侵入したと判明して司法機関へ調査が移ろうとしていた。ところが、ポロックが行方不明となり、BEA局長はマシューを捜査担当に据えた。乗客の遺族が提出した留守番電話の音声をマシューが調べたところ、おかしな点が見つかった。そこから事故に係わる航空機メーカーのアトリアン、航空機の最新の保安設備を作っているメーカーのペガサス、航空会社のヨーロピアン、新型航空機の安全認証を行っている調査機関などなど航空業界全体を巻き込む陰謀へとマシューは踏み込んでいくのだった。

・・・

 めっちゃ面白いのでぜひご覧ください。

 航空機の事故調査ドキュメンタリー「メーデー」をご覧になっている方々ならきっと好きになってもらえるでしょう。

 マシューが気持ち悪いくらいヤバい耳の持ち主です。耳が優秀すぎて、人ごみの騒音で倒れそうになるほどです。そんな彼が事故の真相を暴くことはできるのか、という作品でございます。

 彼の耳が生かされるのは、録音されている音声の分析だけではありません。後半のとある場面で、森の枝が発する音や忍び寄る人物の音にも反応するので、この映画はお見事です。

 真相にはなかなかたどりつけません。そのせいで、マシューは付き合っていた女性を結果的に陥れることもありました。その女性は新型機の安全を確認して製造許可を出す機関の職員です。

 他にも、航空会社の操縦士にストーカーまがいなことまでやってしまいます。天才の彼にもミスがあって誤った調査結果を出した過去もありました。そういうのが重なりまして、マシューの言っている陰謀は全く存在しなくて彼の脳内が作り出した妄想なんじゃないか……と見ているこちらも疑うほどです。彼の天才的な耳が、機内の様子を再現してしまうのですが、それも彼の妄想なのかもしれません……。

 そんなわけで、中盤は映画「透明人間」みたいなホラーになることもありました。

 本作はドキドキさせてくれます。事故の真相よりも彼がどうなってしまうのか、不安になります。良い意味でいろいろと不安にさせてくれる作品です。

 とはいえ、あれは結局どうだったのかなという部分も最後まで明かされない点がありまして、完璧な超すごい作品とまでは言えないのですが、かなり面白いのでぜひご覧ください。

 できるだけ音の良い環境でご覧ください。