やくもとうずしおをがっつりと

ほぼ毎日19時更新。「映画鑑賞感想」は配信やDVDなど自宅で見た映画、『映画「タイトル」感想』は映画館で観た映画の感想です。稀に旅日記をやっています。

JR九州乗りつぶしの旅 その14

http://d.hatena.ne.jp/uraomotenoraneko/20140509/1399639540
↑その1
 旅4日目、5月5日、特急はやとの風を降りて吉松駅でしばらくの待ち時間です。
 薄々JR九州はやべえなと思っていました。特急を20分に1本走らせたり、普通列車の本数もそれなりに確保している、近年は観光列車に力を入れている、どこよりも早くななつ星を運行開始、そんなことをやる九州はやべえ、鉄道をあきらめていないなと思っていました。
 数年前に白いかもめに乗ったとき車内のすばらしさに度肝を抜かれたし普通列車でも内装に気を使っているところに感動しました。
 それで今回はJR九州の観光列車に初めて乗ったわけです。隼人から吉松まで乗ってだいぶ心を奪われました。
 このあと吉松駅から肥薩線人吉行「しんぺい」号に乗ります。
 肥薩線鹿児島本線よりも先に開通した路線で当時この路線が鹿児島本線と呼ばれていました。八代から隼人までずっと山間部を縫っていきます。
 その中で吉松〜人吉は特に急峻な区間です。スイッチバックが2箇所、ループが1箇所あります。特殊な構造を3つも短い区間に持つ路線はほかにありません。九州南北を結ぶ重要な路線でしたが、現在では鉄道の三大車窓に入る区間であり観光路線として営業を続けています。
 現在、肥薩線吉松発人吉行「しんぺい」号、人吉発吉松行「いさぶろう」号の観光列車が走っています。建設当時の偉人の名前だそうです。愛称が往復で異なりますが車両は同じです。普通列車なので切符1枚で楽しめます。指定席もありますが、自由席で十分、むしろ自由席のほうが眺めを楽しめます。
 さて、5月5日の天気は雨でした。そのため肥薩線吉松〜人吉の車窓が楽しめないかもしれなかったのです。しかし、私が吉松に着いたとき天候は回復していました。
 吉松駅でしんぺい号に乗車した私は自由席を探しました。3両編成です。各車両には指定席というプレートがついていて、1両だけそのプレートがない車両があったので適当にそのあたりの空いている席に座りました。そしたら、発車前に検札がありました。九州満喫切符1枚を見せたら
車掌「・・・・・・」
私「・・・・・・」
車掌「これだけ?」
私「はい」
車掌「もう1枚ない?」
私「いいえ」(もしかしてここ指定席なのか?)
車掌「ここ指定席ね」
私「あ、そうですか」
 というわけで、座席番号のついていない喫茶店のカウンターにあるような座席に座りました。回転はしません。普通の座席より眺めが良いです。
 客室の乗務員は男1女1でした。3両編成の普通列車にしては乗せすぎですね。さすが観光列車です。これで果たして黒字を出せるのでしょうか、心配です。連休なのに車内は混雑していないのでますます心配です。
 そんなこんなで吉松駅を発車したしんぺい号真幸駅矢岳駅、大畑駅に停まり、22のトンネルを抜けて人吉を目指します。まずは真幸へ。
 吉松〜真幸は太平洋戦争敗戦後の8月22日悲しい事故がありました。戦地から帰還した兵士を大勢、屋根の上まで乗せた客車5両貨車8両を蒸気機関車が引っ張っていました。ところが坂を登りきれずに減速して、ついには停まってしまいます。そのとき列車はトンネルの中だったため機関車の排煙が充満しました。それを逃れようと乗客が降りて歩き始めました。そのとき列車が後退してしまいます。53名が巻き込まれて死にました。
 この列車退行事故が車内放送で案内されました。線路のそばに慰霊碑もありました。悲しすぎでしょう。せっかく生きて帰ったのに。
 ちょっと泣きました。
 そんな悲劇も紹介しつつ、しんぺい号真幸駅に入ります。ところで、録音されている案内放送はぎりぎり聞こえるのですが、女性乗務員の案内放送が「あー、何か放送してるなー」という程度のかすかな声で聞き取れませんでした。改善をお願いします。
 真幸駅では5分の停車です。私は駅舎の外まで出ていきました。そこで気づいたのですが、真幸〜大畑だけの区間ならたぶん切符無しで無賃乗車し放題です。乗客が多くてまぎれこむのは簡単じゃないかなと思います。駅でいちいち改札をできませんし、吉松発車前の検札はありましたがそれ以降は検札がありませんでした。
 駅前には駅舎などなどを観に来ていると思われる車がたくさん停まっていましたし、その車で来ている人がもしかしたら乗り込んでくる可能性もあるかな、と。
 まあ、無賃乗車なんか俺が許さねえけどな。
 さて、真幸駅を発車するところで「ななつ星」と書かれた小さな鉄道用標識がありましたが何を意味するのでしょうか。ななつ星はこの区間を深夜に通過するそうです。
 あとこの駅が宮崎県の駅だということも知りました。この日に南宮崎から隼人まで日豊本線を乗ったとき途中で県境を通過した時点で「祝宮崎県鉄道完乗」だと思ったのですが。
 この駅を出るとすぐにスイッチバックです。去年の篠ノ井線姨捨駅以来のスイッチバックです。ただし、姨捨駅のそれと真幸駅のこれではどうやら違うようです。通過不可能型と通過可能型の2種類があるんですね。
 通過不可能型だと何年か前の木次線以来となります。

↑吉松駅のしんぺい号はやとの風号の色違いという感じ。

真幸駅。良い駅名。

真幸駅。国内で唯一、線路の上で撮影可能な場所。

真幸駅スイッチバック
その15へつづく。