2013年8月公開。監督にゴア・ヴァービンスキー。主演はジョニー・デップとアーミー・ハマー。パイレーツ・オブ・カリビアンの制作陣による。
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コマンチ族のトントは少年時代に白人2人組から懐中時計と交換という条件で銀鉱の場所を教える。銀の場所を秘密にしたい白人2人組はそのコマンチ族の村を全滅させた。それがきっかけでトントは復讐に燃える悪霊ハンターのになった。トントは不思議な白馬シルバーの導きと、自らの聖なる力によって瀕死の男、検事のジョン・リードを甦らせる。
レンジャー部隊の英雄である兄ダンを何者かに殺されたジョンは、兄の敵を探すためにトントと手を組むが、法に基づく正義の執行を求める彼と、復讐のために手段を選ばないトントとは、全くかみ合わないチームだった。
トントの村を全滅させた白人2人組は、実はジョンたちレンジャー部隊を殺した犯人と同一であった。白人の小さな村をコマンチ族に化けて襲撃したその白人は、コマンチ族の土地を奪い、銀鉱へ鉄道を敷設して銀の採掘をしようとしていた。
トントとローン・レンジャーとなったジョンはその白人2人組を倒すため奮闘する。
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スカッと爽快なヒーローアクションを期待していました。ところが、シリアスな復讐劇でした。重い物語です。
最近、twitterで映画評論家の町山さんがワールドウォーZの日本での宣伝のしかたがおかしいというつぶやきをしていましたが、ローン・レンジャーも先住民と白人の対立を描いた重い内容を隠した宣伝の仕方でよろしくないのではないかなと思います。
ローン・レンジャーは1933年にアメリカのラジオドラマで放送されて人気の出たヒーローで、その後日本でもテレビドラマが放送されています。なので、今回はリメイクという形になるでしょう。ローン・レンジャーの誕生を描いています。
今作の冒頭は1933年のサンフランシスコから始まります。金門橋の建設途中のようです。それにしても1933年の時点で巨大な吊り橋を架ける力があったのですね。そんな大国と日本は戦争をしたのですね。1933年を冒頭の舞台に選んだのは、もともとのラジオドラマが放送された年と合わせたのでしょうか。
ただ、今作の実際の舞台は1860年代後半なのですがね。1933年の見世物小屋で老いたトントが少年に語るという設定になっていました。ただ、60年代の時点でけっこうなおっさんになっているから、1933年には100歳超えしているでしょう。
そんな感じで、屋根や木に登る白馬やサソリや肉を食べるウサギが出てくる場面もあり、ちょっとファンタジーです。
今作のローン・レンジャーの宣伝として鉄道アクションを押し出していますが、たしかに、走行中の鉄道車両の外や中でのアクションは必見です。このアクションはクライマックスで披露されますが、トントの暗い過去でへこんだ気持ちを晴れ晴れとさせてくれます。
ウイリアム・テル序曲でテンションが上がります。
さて、ヘレナ・ボナム=カーター演じるレッドも極悪白人に恨みがあるようでした。片足を失っているのですが、その原因が極悪白人なのでしょう。ところが、片足を奪われたそのときの状況がよくわからないまま映画が終わってしまいました。
あと、冒頭でトントはジョンによって牢屋に閉じ込められますがそのあとどうやって出たのかわかりません。
ローン・レンジャーそのものは銃が下手で腕っ節もそれほどではないです。ところが、ラストではムチを使いこなします。いつの間にうまくなったのでしょうか。
そこが不満です。
あと、150分もあるので長く感じられます。短くしてほしいのですが、実際に削ることのできる場面があるのかといえばないと思いました。この長さはしかたがないかもしれません。ちょっと我慢して最後までご覧ください。
本国では興行的に苦戦したようですが、そんなに悪い映画ではないですよ。おすすめです。(216)
ハイヨー! シルバー!