あらすじ:出世して稼いでいる夫と高校生の娘に恵まれ、不自由のない生活を送っているように見える主婦のナミ。ある日、母の入院先で、高校時代の友人チュナと再会する。25年前、ソウルの女子高へ転校したてのナミを、姉御肌のチュナが仲間に入れてくれたのだった。チュナが率いるグループには、二重まぶたに憧れるチャンミ、国語教師の娘なのに口汚いジニ、キレると怖い文学少女のクムオク、ミス・コリアを夢見るポッキ、そして謎めいた美少女のスジがいた。個性豊かな7人のメンバーは、友情の証としてグループを“サニー”と名付け、ずっと一緒にいようと誓う。しかし、ある事件がきっかけで離ればなれになってしまう。あれから25年。病に冒され、また仲間に会いたいというチュナのため、ナミは残りのメンバーを捜し始める。それはナミにとって、夢を抱き、輝いていた日々を取り戻していく旅でもあった。
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泣きそうになりました。
これの男版があったら間違いなく号泣しています。
田舎から出てきて、訛りがあるナミはソウルの女子高でいじめられるかなと思いきや、仲間ができます。なんせ、訛りとファッション以外は、いい子ですからね、ナミ。そりゃあ、仲間に迎え入れられて当然ですよ。
映画は、高校時代の彼女たちと、現代の彼女たちが交互に描かれていきます。
場面のつなぎ方、場面転換が天才的です。話の運びがあまりにもスムーズです。
80年代、独裁政権から民主化へ大きく変革していこうとする韓国と、現代の韓国の対比でもあります。成長していく、民主化という夢を見る時代と、成熟して夢のない現代の対比かなと思いました。
大人になった自分たちを夢見る少女たちと、現実に翻弄される成長した彼女たちですから。
さて、細かいところですが。
スジがナミのことをなかなか受け入れませんでした。
そこで、ナミがスジに対して受け入れるように訴えるのです。積極的に行動に出るんですね。訴えられたほうのスジですが、ナミを仲間と思わない理由が子供ぽいものでした。
謎めいた、サニーから常に一歩身を引いているスジは、実は普通の女の子だったわけですね。なんせ、義母と同じ訛りだからムカついていただけですからね。このあとからは、スジもナミのことを受け入れますし。
それにしても、スジがかわいいですけど。
そんなサニーの7人ですが、なぜ25年もの空白ができてしまうのか。それは、スジに起きた事件が原因でした。サニーと常に戦争女体にある別のグループのリーダーがシンナー中毒です。リーダーが暴れて、スジの大切な美しい顔に大きな傷をつけてしまうのです。そのため、サニーは皆、退学させられてしまうのですね。離れ離れになるのです。
映画は、コメディでして、けっこうハチャメチャな演出もあります。しかし、離れ離れになった原因や、大人になった7人の現実など、苦いことも多いのです。
甘いばかりの映画ではないというわけですよ。
苦しい現代に生きる大人のサニー7人、それは結局、チュナによって救われます。チュナは、ガンで作中、サニー全員が再会する前に死にます。
そのチュナが死んだあと、遺言によって6人を救うのです。救う場面は、あまりにも映画的です。大きな財産を残して、それを分け与えるという結末なのですから。甘すぎるし、結局は金だなあ、と思うのですが、そこはそれ。某ラッパーのサニー評と同じことを言ってしまいますけど、これくらいの救いがあっても良いと思いますよ。
やっぱり、私としては、映画や小説などフィクションで夢を見て楽しみたいのです。だから、こんな救いのある結末も良いのです。
この映画が男版だったら、おそらく今年の1位にしていたかもしれない良作です。
クムオクとポッキのキャラがやや薄いのが難点ですけどね。
それにしても、韓国映画は毎度毎度、キャスティングも天才的です。よくもまあ、ここまでキャラに合った顔を見つけてくるなあ、と思います。
さて、話は変わりますが。
作中で、大人になったナミの家族がレクサスに乗っていました。
韓国映画で、日本車をまったくと言っていいほど、いや、まったく見たことがありません。しかし、この映画で初めて日本車を見ました。めちゃくちゃうれしかったです。
トヨタがスポンサーになっていましたし。
せめて映画の中だけでも友情は永遠であってほしいし、映画は非現実なのですから、救いの結末があってほしいですし、そんな非現実を見せてくれた、しかも日本車を見れた『サニー』に感謝です。