やくもとうずしおをがっつりと

ほぼ毎日19時更新。「映画鑑賞感想」は配信やDVDなど自宅で見た映画、『映画「タイトル」感想』は映画館で観た映画の感想です。稀に旅日記をやっています。

映画「おとなのけんか」を観てきた感想(ネタバレ)


あらすじ:カウワン夫妻の息子ザカリーがロングストリート夫妻の息子イーサンに大けがを負わせた。そこで、ロングストリート夫妻の自宅で両夫妻の話し合いがもたれることとなった。しかし、その話し合いは泥沼、大人たちが本性をあらわにしていく。

 映画は79分というたいへん短いものとなっています。しかも、作中の時間の流れもほぼ79分になっています。
 私としてはわずか79分に抑えたというだけでものすごく高い評価をしますよ。短い映画でも悪いものはありますけども。短い映画が好きです。
 さて、この映画は短いだけでなく、ゲラゲラ笑えます。
 カウワン妻(ケイトウィンスレット)がゲロを勢いよく吐きますし。ロングストリート妻(ジョディフォスター)が大泣きしますし。カウワン夫(クリストフヴァルツ)が床にへたれこみますし。
 子供どうしのけんかに大人が介入します。けんかしている最中に、一方が手術を必要とするほどのけがをしてしまうので、大人が介入したのは仕方のないことだと思いますが。しかし。
 その話し合いが、大人どうしの罵り合いに発展してしまうわけです。観ていて楽しいですよ。
 カウワン夫は弁護士です。どうやら製薬会社が訴えられていてその弁護をしているようですが、その係争の電話が彼の携帯電話にどんどんかかってくるのです。それもすごく良いタイミングで。
 映画では話し合いがほぼ丸くおさまったところから始まりますが、そこへカウワン夫の携帯電話が鳴って、彼はその電話に出ます。まず出てしまうことがダメですけど、通話中の態度も悪いし、観ているこっちは笑うしかないです。
 ケイトウィンスレットの酔いつぶれっぷり、ゲロの吐きっぷりはかなりの見せ場だと思います。きれいな女性なのにヨゴレていくという。ジョディフォスターが青筋立てて怒るのも最高です。クリストフヴァルツがずっとクールで来たのに最後のへたれっぷりもなかなかのものですし、ジョンCライリーのテキトーぶりも展開を面白くするためによく機能していました。
 せっかく丸くおさまりかけた話し合いはこじれていき、揚句の果てに四人とも酒で酔ってしまうのです。最高のサイテーですよ。
 最後のスタッフロールでは子供どうしが仲良くしている様子が見えます。スタッフロールまで笑えてしまうのです。結局、子供どうしで解決できてしまっているのですから。
 はっきり言って中身のない映画です。大人の本性が見えてしまうだけの映画です。コメディですね。コントを観ているようなものです。
 しかし、ニューヨークが舞台なのに、撮影はすべてパリで行われたというのがすごいところです。何しろ、監督がアメリカ合衆国に入国すると逮捕されてしまいますから、米国で撮影することができません。にもかかわらず米国が舞台で米国人を出す映画を撮ろうとするその根性に恐れ入ります。
 79分はかなり短いですが、私の感覚としては少し長く感じました。短いのに長く感じるのはお得ですね。