2023年6月日本公開
監督、脚本:サラ・ポーリー
原作:ミリアム・トウズ
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あらすじ:自給自足の生活をしているとある村では女性がレイプされる事件が続いていた。しかし、女性たちは悪魔の仕業などと言いくるめられていた。ある日、レイプ犯が目撃されたことで村の男が逮捕された。村の男たちは逮捕された男を釈放するために保釈金を集めて村を出ていった。彼らが村へ戻るまでに2日間ある。女性たちはその2日間で、「赦す」「闘う」「逃げる」の3つから選択することにしたのだが、果たして。
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実際にあった事件をもとにした作品だということは知っていましたが、それ以外の情報はまったく入れずに見ました。そしたら、この映画はファンタジーかな? どういう世界観なのかな? といった感じでやや混乱しました。
キリスト教にもカトリックやプロテスタントという派閥があって、プロテスタントの中にもいろいろな派閥があって、そのひとつであるメノナイトが本作の舞台だよということなんですね。見た後で知りました。
アーミッシュはこれまで映画で何度か出てきたことがあるからわかりますが、メノナイトは初めて知った存在です。18世紀ごろの生活を今でも続けていて、行政の介入もなく暮らしている集団なのですね。南米大陸のほぼ中央にあるボリビアのメノナイトで2005年から2009年にかけて実際に起きた事件ということです。
そんなことを知らずに見ていたので、もともと宗教嫌いな私は本作を観ながら(宗教はやっぱり悪だわ)と思っていましたよ。メノナイトのことを知った上で観ていれば見え方が大きく変わったと思います。
前半は、女性がやられていたことがあまりにもひどすぎて話が入ってきませんでした。それもやっぱり事前の知識があればもう少し落ち着いて鑑賞できていました。
キリスト教って、意外と女性を抑圧してきた宗教なんですね。もともと生きていくために生み出された宗教なのであって、2000年前と現代では状況が違うということで、キリスト教は現代社会には合わないということです。
それにしても、本作の女性たちはどの選択をしたとしても地獄しかなさそうです。逃げるのが一番ですが、村の外をまったく知らないのです。外部の人々が助けてあげてほしいと思いましたが、それはそれでまた違うようです。よそ者が助けることは余計なお世話です。彼女たちが自ら思考して助けを求めたときに外部が助けるのは正解ですが、その前に助けてしまうとダメということです。世の中、いろいろと難しいことだらけですね。