2023年2月公開
監督:熊切和嘉
原案、脚本:岡田道尚
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あらすじ(ネタバレ):大手不動産会社の敏腕営業マンである川村俊介は5年前に社長令嬢と婚約した。結婚式前夜、同僚の女性から相談があるということで渋谷道玄坂の行きつけのバーへ行ってみると彼を祝うサプライズパーティが開かれたのだった。その場で大勢の同僚や上司から祝福されて、最も仲の良い同僚の加瀬からプレゼントももらいつつ、帰宅しようとした。ところが、帰り道で深い穴に落ちてしまう。どうやらマンホールなのだが梯子が壊れていて、右足にも深い傷があり、脱出できなかった。深夜、大勢の同僚に電話をかけて助けを求めようとしたが皆が電話に出ず、5年前に別れた彼女の工藤舞だけが応答してくれた。スマホのGPSによると渋谷の神泉5丁目付近ということで工藤舞が神泉まで来てくれたが蓋の開いているマンホールを見つけられないという。やむをえず渋谷警察署にも電話するが、いつまで経っても警察は到着しなかった。工藤と会話するうちにここが渋谷ではない別の場所だということに気づく。SNSを利用して助けを求めることを思いついた川村は、女だと偽ってアカウントを作成して助けを求めた。男より女のほうが注目されやすいと判断した。短時間で1023人のフォロワーがついた。フォロワーの力で北関東のどこかだということがわかるのだが、穴の中ではガス漏れや汚泥から発生する泡で危険な状態になりつつあった。川村は故意に穴へ落とされたとしてフォロワーが犯人探しをするうちに犯人だと疑われた加瀬が住所を特定され、フォロワーの暴走で重傷を負うのだった。泡の勢いは弱まることなく穴に充満し、川村はガスに火をつけて泡を吹き飛ばすのだった。それがきっかけで穴の奥から死体が出現した。その死体を見た川村はこの穴がどこにあるのか確信した。埼玉県大塚村の廃止された小学校だ。本性を現した川村は工藤舞にひとりで来てもらって脱出しようとした。川村は、実は吉田という男であり、川村俊介を殺害してなりすましていた。穴の死体は吉田が殺害して穴に捨てた本当の川村俊介だった。助けに来た工藤は、そのことに気づいていた折原という女であり、偽の川村を穴に落とした真犯人だった。折原によって脱出に成功した偽の川村は折原を殺そうとしたが暴走していたフォロワーによって再び穴へ落とされてしまうのだった。
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ワンシチュエーション物ということですね。127時間とかCUBEとか名作が生まれやすい設定です。公開から数日が経過しても話題になりませんでしたね。こちらの映画館では公開から6日目でも映画館の席がそれなりに埋まっていました。
女と偽ってSNSを駆使するなど途中まではよかったと思うのですが、川村俊介が本性を現すと物語がトンデモな方向へ転がってしまいました。
川村を演じた中島裕翔はかなり良かったと思います。ジャニーズなのにドロドロのグショグショになりまして、これこそ体当たりの演技になっていました。ちなみに、偽の工藤舞を演じていたのは黒木華でした。作中ではずっと電話でのやりとりのみでしたし、黒木華が出演していることも伏せられていたので、サプライズだったということです。
ところで、どうしても気になったのは、穴の底の岩です。ひとつが水にプカプカと浮いていました。