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ほぼ毎日19時更新。「映画鑑賞感想」は配信やDVDなど自宅で見た映画、『映画「タイトル」感想』は映画館で観た映画の感想です。稀に旅日記をやっています。

映画「ジョーカー・ゲーム」感想(ネタバレ)


2015年1月公開
監督:入江悠
脚本:渡辺雄介
原作:柳広司ジョーカー・ゲーム
音楽:岩崎太整
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あらすじ:日中戦争時代の日本、過酷で無意味とも思える訓練の最中で仲間をかばって上官を殺してしまった嘉藤次郎(亀梨和也)は死刑となった。しかし、陸軍参謀本部の反対を押し切って設立された諜報機関を率いる結城(伊勢谷友介)に助けられた。スパイとして卓越した能力を持つ嘉藤はさっそくブラックノートと呼ばれる新型爆弾の設計図を奪う任務についた。中国大陸の南にある海南島で彼はリン(深田恭子)に出会い、各国諜報部や日本陸軍ともブラックノートの争奪戦に参加する。
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 まったく観る予定がなかったのですが、土壇場で入江悠監督だと知りましてねえ。急きょ観ました。亀梨和也主演で、テレビ屋の映画ですから、ロクな作品じゃないだろうと思っていたのです。ただ、そこに入江悠監督が入ってくるとなると、果たして作品はどうなるのか、観るまでは不安でした。
 まずは脚本の渡辺雄介について、町山智浩と共同で実写映画進撃の巨人の脚本を担当していますね。あとは、20世紀少年、実写映画ガッチャマン、MONSTERZなどを担当しています……ロクな作品がないじゃないですか……。テレビドラマの脚本をたくさんやってますね。STや神の雫や相棒7などなど。基本的にドラマ脚本のほうが得意な方ですかね。
 原作は未読ですが、吉川英治文学新人賞、2008年度このミス2位などなどに輝いています。ただ、原作とはだいぶ違うようですね。
 監督については言わずと知れたサイタマノラッパーシリーズですよ。
 さて、この作品についてです。まず嘉藤(この名前になるのは諜報機関に入ってからですけどね)はどうしてすごい能力を持っているのでしょうか。説明がないのです。一瞬でお着替え、何気なく歩いた階段の段数を記憶しているなど見たものは何でも記憶してしまう、格闘術を持っているなどなど。続編がありそうな終わり方だったので次作で嘉藤の過去に触れるかもしれませんね。
 これらの能力がありながら、あとでおかしなことがあります。英国諜報部に捕まって、脱出するとき建物の地図を奪います。奪う必要があったのでしょうか。見たら記憶してしまう能力をそこで生かせないのでしょうか。あと、諜報機関に入隊したときの訓練で英語も習得していましたが、なぜ偽のブラックノートをすぐに偽だと気付かなかったのでしょう。
 英国諜報部の建物から脱出しようとして時計台の頂上で嘉藤は追い詰められました。そのとき英国諜報部の一番えらい車イスの司令官が追い詰めた嘉藤を銃でなかなか撃たないのです。さっさと撃ってしまえよ、何をちんたらニヤニヤしてんだよ。この場面が鈍重でした。なんとかしてほしいです。
 ブラックノートを米国大使館から盗んだあとで派手な逃走劇があります。屋根づたいに逃げつつ追っ手と格闘します。その場面が見づらいです。やたらと編集されていました。長回しなどできなかったのでしょうか。
 写真屋に扮装した嘉藤がリンを撮影する場面があります。カラー写真でした。当時はカラー写真なんてなかっただろ!と思いきや1904年あたりには既にあったのですね。失礼しました。
 あとは、諜報機関をつぶしたくて仕方ない陸軍の武野大佐連中が、入手に成功して分析された新型爆弾について報告を受ける場面があります。そのとき新型爆弾の製造費用があまりにも莫大な点について、「この金額があれば巨大戦艦が何隻もできる」と言って怒っていました。戦艦? 陸軍なのになぜそこで戦艦を例えに使うのでしょうか。こういうところもおかしいなと思うわけですよ。当時の陸海軍は仲が悪かったでしょうに。
 というわけで、気になる場面がたくさんありました。やはり入江悠監督であったとしても無理があったのでしょうかね。それとも入江悠監督の腕は実はこの程度だったのでしょうか。アクションでの編集の多さは、サイタマノラッパーのときも少しあったような気がしますけど、今回は目に余ります。
 でも、良いところだってありましたよ。深田恭子がとても良かったです。スパイなのにアクションが鈍重なのは置いておきましょう。英国諜報部から脱出するときの黒い衣装が良いです。拷問を受けていた部屋になぜか女物の黒いぴっちりスーツがあって、それを着て脱出しようとします。なぜその服があったのかは謎ということで、やっぱり深田恭子はええ感じですわ。1997年くらいだったかな、テレビで初めて観たときは死ぬほどかわいいなと思っていたし、去年の超高速参勤交代も良かったです。
 以上、ジョーカー・ゲームでした。(16)