やくもとうずしおをがっつりと

「映画鑑賞感想」は配信やDVDなど自宅で見た映画、『映画「タイトル」感想』は映画館で観た映画の感想です。

映画「カツベン!」鑑賞感想

ポスター画像

2019年12月公開

脚本:片島章三
・・・
あらすじ:関東大震災の後、偽の活動弁士となってヤクザに手を貸してしまった俊太郎はある日どさくさに紛れて逃げた。その先で人手不足の活動写真上映小屋で働きながら住み込むことになった。しかし、ヤクザの手はすでに小屋に伸びていた。
・・・
 無声映画で私の観たことがあるものは、月世界旅行カリガリ博士メトロポリスだけです。それらを除くもので見たことがある最も古い作品は、その後に製作された西部戦線異状なしです。トーキー映画なので現在の映画と同じものですね。西部戦線異状なしは面白いのでぜひご覧ください。メトロポリスが1927年で、米国でアカデミー賞の初回は1929年5月となっています。ただし、アカデミー賞初回の対象は1927年から1928年7月31日までに公開されたものとなっています。
 ということは、この映画の舞台となっているのは作中で「関東大震災から逃げてきた」というセリフがあったので1923年9月以降ということになりますね。トーキー映画の登場が近い時期です。
 活動弁士というものは、日本独特だったようです。もともと落語などの文化があったために定着したのでしょうか。活動弁士はやがて声優の誕生へつながっていくことになる……と聞くと、おお、すごいなあと思います。日本の誇る文化の礎となっていたのです。
 というわけで、無声映画の歴史で大切な部分を描いた本作ですが、作中では日本の無声映画史上で名作とされるものを作った監督による活動弁士批判とも取れるセリフもありました。そのあたりは、活動弁士すごいという一方的な主張だけではありません。正直な作品なので、周防監督のバランスの良さかもしれません。
 ただしですね、本作全体が当時の活動写真の作りをそのままなぞったような仕上がりになっているのではないかと思うわけです。脚本と演出がおかしい、場面のつながりがおかしい、そういう部分がちらほらあるのです。
 さらわれた女の子を救い出した俊太郎が青木館へ急いで向かう途中に、ちがう場面がはさまれたり、なかなか青木館へ向かわなかったり、だらだらしているように感じられました。イライラしました。急がないといけないのはわかっているのに、なんでこんなダラダラしているのか、イライラしました。
 そもそも、さらわれた女の子を部屋から出した場面なんですけどね。俊太郎は部屋のドアを破ろうとする前に別の女性にキスされてしまいます。防ぎようのないキスでした。キスマークがついたのですが、それを見た救われた女の子が怒って平手打ちです。はあ? なんでいきなり平手打ちですか。どうしようもなくついたキスマークなのに、何の弁明も聞かずにいきなり平手打ちって、この女頭おかしいんじゃねえの。自分を助けてくれた相手を叩くなんて、許せません。だめです。許しがたい。この平手打ちで私の怒りが抑えきれず、その後は本当にイライラしっぱなしでした。
 暴力反対!