2022年8月公開
監督:三木孝浩
脚本:金子ありさ
原作:デボラ・インストール「ロボット・イン・ザ・ガーデン」
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あらすじ:2040年ごろの近未来、北海道。社会はあらゆる場面でロボットが活躍していている。研修医の春日井健は突然の患者に対応できなかったことがショックで医者をやめてしまった。その後親の遺産で長い間遊んで暮らしている。家事すらしていないので弁護士の妻から毎日咎められている。ある日、庭にガラクタのようなロボットが現れた。しゃべるタイプのそれは健に懐いてしまい、離れようとせず、名前を尋ねるとタングと名乗った。
その後、病院の面接を無断で受けなかったことが妻にバレて健は自宅を追い出され、タングといっしょに旅に出た。健はタングを製造メーカーに渡して新品と交換してもらおうと、北海道から福岡へ向かった。だが、福岡の本社でタングの引き取りを拒否された。
本社で出会ったイケメンがタングに興味を示した。なぜならタングは好奇心などを持っているようだったからだ。もしかしたらすごいロボットなのかもしれない。
中国のシンセンにいる大槻というロボットの専門家をイケメンから紹介されたが、いきなり中国へ行くわけにもいかない。だが、タングは健に懐いたままだ。そんなタングに少し心を開いた健はシンセンへ飛んだ。
シンセンで大槻と出会った。タングはまだ存在しないはずの人間並みの知能を持ったロボットなのかもしれない、と大槻は言う。そこでいきなりタングが連れ去られてしまった。誘拐犯は加藤というロボット専門家だった。タングは馬場という人物が開発したものだという。タングは一部が故障しているようで、開発者の馬場に直してもらうことにしたが、加藤のところから逃げ出した健とタングは馬場に会うこととなった。
沖縄の宮古島にいる馬場と出会ったが、馬場はタングの人工知能以外にいっさい興味がなく、健とタングの友情を破壊してでも人工知能を我が物にしようとした。狂気の馬場からタングを取り戻すことに成功した健は北海道に戻って、妻との生活を大切にし、医者として再起を図ることを決意するのだった。
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皆さんは本作品をご覧にならないのでしょうね。
1年近く前からミニオンズみたいな予告が流れていたので、だいぶ力が入った作品だったのでしょう。
本編映像を使った予告が始まると、あれ? この映画、もしかして良作かもしれないと思うようになりました。だけど、やっぱりそんなわけはありませんでした。
最初の数分は、この世界がどんなものなのかわかりやすい映像で見せてくれて、まさか本当に良作なのかと思いましたが、それも5分くらい経てば期待は打ち砕かれました。
CGなどはよくできていると思います。タングのキャラクターもかわいく見せてくれます。あと、大槻というキャラがかなり良くて、こういう科学者は本当にいそうだなと思わせてくれました。
それ以外はダメです。
ただし、タングを開発した馬場の言っていることには共感しました。人間並みの高度な人工知能が人間の代わりにあらゆる仕事をしてくれて貧困や飢餓や戦争をなくしてくれる、理想の社会を作ってくれるというのは本当に共感します。私の大好きな某作品でも超高度な人工知能によって豊かな人間社会が実現されています。馬場のやり方は、手段を選ばない酷なものですが、目指している先は豊かな人間社会なのです。だったらいいじゃん。
本作品で悪者のはずの馬場に共感できてしまったらダメでしょう。健は馬場の言ったことにまったく回答せず、倒しただけでした。
いろいろとダメなところのある本作品ですが、どうせ解説動画などが指摘するでしょうから、私は他の方が指摘しないようなところを突いておきますね。
札幌空港から福岡へ飛行機で飛ぶとき、札幌空港のターミナル内で「大館能代空港」の名前が出ていました。そんなレアな空港を正式名称で出しておきながらなぜ札幌空港ですか。札幌の空港といえば新千歳空港もしくは丘珠空港ですが。あと、機内のモニターで日本の地名が出ていましたが、出発地の札幌の代わりにホクトが表示されていましたが、それはなぜですかね。やってることがちぐはぐです。
あと、他に気になるのは、これみよがしに宇宙ゴミの増加による宇宙環境の悪化を伝えるニュース映像が流れていて、中国のシンセンは宇宙開発の先端を行く地だというセリフもありました。この作品は宇宙開発につながる壮大なものかしらと思いきやそんなことはいっさいありませんでした。何だったのでしょうか。
研修医とはいえ健が頭悪すぎるし……いきなり中国へ飛んだのは、パスポート持ってたのかなと思うし……いろいろツッコミどころが多すぎます。二宮和也を好きな方が見ればいいんじゃないですかね。ところで、医者と弁護士の結婚って生活がめちゃくちゃすれ違いそうですね。