2021年8月日本公開
監督:イ・ヘジュン、キム・ビョンソ
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あらすじ:北朝鮮が核廃棄を決めて、米国がその核弾頭を回収しようとしていた頃、中国と北朝鮮の国境にある白頭山が噴火した。ピョンヤンやソウルで次々と建物が倒壊し、巨大な地割れが発生した。カン・ボンネ教授はこのあとさらに3回起こる噴火の最後を弱める方法を提案して、韓国軍の工兵が北朝鮮へ潜入したのだった。廃棄されようとする核弾頭を奪って、白頭山の地下深くにある坑道で爆発させる作戦だった。そのため北の工作員リ・ジュンビョンと合流して白頭山へ向かおうとするのだったが……。
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核爆弾を使っちゃうのかよ!
他に何か方法はなかったのですか。核爆弾を使う以外の脚本にできなかったのですか。核の兵器利用反対!
はい、というわけで、白頭山とソウルは直線距離でちょうど500kmです。作中一回目の噴火でマグニチュード8.7の地震が起きました。白頭山を震源とするマグニチュード8.7の地震でソウルが崩壊??? はい、科学考証がめちゃくちゃです。
東日本大震災はマグニチュード9でした。マグニチュード8.7の10倍くらい強い地震です。震源から仙台まで直線距離で200kmほどです。揺れによる被害は出ましたが、高層ビルが倒壊したり地割れが起きるほどではありませんでした。
ところが、作中ではソウルがたいへんなことになりましたよ。次々とビルが崩壊して、道路が割れてトラックが地中に飲み込まれていきました。震源から500km離れているにもかかわらずです。こんなのありえないんですよ。
作中では揺れによる被害が強調されていますが、白頭山が本気で噴火した場合、地球規模の環境変動が起こると言われています。日本でも農作物や航空や人間の呼吸に影響が出ると言われていてかなりヤバい火山です。
というわけで、噴火したら大地震が起きるなんてことは、他の火山でもあまりないことですし、マグニチュード8.7の地震が500km離れたところで起きたとしても全然心配ありません。
だいたい、本当にこの規模の地震が白頭山で起きたら中国のほうがたいへんなことになります。中国東北部のハルビンや長春などで甚大な被害が出るでしょう。
といった具合で、地震の考証がひどい映画です。
それだけではなくて、崩壊する橋から逃げるときもわけわからん行動をしているし、一事が万事ひどい映画です。
それよりも、主人公の妻が妊娠しています。ところが、セリフで妻が夫を「兄さん」と呼ぶ場面がありました。兄と妹の関係だったのですか。ということは、この男が親ではないということですか。ところがところが、そのあとやっぱり夫婦だということがわかりました。セリフの字幕が間違えているのでしょうか。
せっかく北朝鮮が核廃棄したのに……ひどい映画でした。