やくもとうずしおをがっつりと

「映画鑑賞感想」は配信やDVDなど自宅で見た映画、『映画「タイトル」感想』は映画館で観た映画の感想です。

映画「パラサイト 半地下の家族」鑑賞感想

ポスター画像

2020年1月公開

監督:ポン・ジュノ

脚本:ポン・ジュノ、ハン・ジヌォン

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あらすじ:事業に失敗した一家の長男がとある一家の豪邸に家庭教師として入り込む。そこから、娘、父、母も素性を隠してその豪邸に出入りするようになるのだが。

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 めちゃくちゃ評価の高い映画は怖いんです。
 もしかしたら、自分にはわからないんじゃないかという恐怖があります。もしわからなかったら自分の頭の悪さを露呈しますから。評価高いやつが来たらほんと怖いんですよ。今作なんか特にそうでして、うちのほうでは上映開始が遅かったのでなおさらです。まだ見てないのに皆様の高い評価がどんどん流れてくるのです。挙げ句の果てにはアカデミー賞ときたもんだ。それが三冠ですよ。そんなのって、ある?
 要するに、ぼくにはわかりませんでした。恐れていたことが起きちゃったわけです。
 面白くなかったわけじゃないんですよ。面白いんですけど、でもそれって北朝鮮のニュースネタが当たったとかそういうところでして。あっちでも北朝鮮のニュースってネタになってんだなー、そりゃそうか。むしろあっちのほうが本場だよな、なんつって。
 においの件は、私も経験がありますなあ。その家独特のやつです。ある親戚の自宅に地下室がありまして、正直臭かったです。幼いときに1回行っただけなのにまだ覚えていました。作中で切り干し大根といっていましたけど、まさにそれです。パク社長に言われてみて、あー、となりました。
 私の先輩がこんなことを言っていました。「金があっても幸せとは限らないが、金がないのは不幸せだ」と。おっしゃるとおりですな!と思っていましたけど、今作なんて特に先述のとおりじゃないですか。作中のセリフ「金はシワを伸ばすアイロンだ」もほんとにそれですよ。

 さて、家主であるパク社長一家は本当にいい人たちですよ。ぼくはいい人たちだなと思います。パク社長が、ソンガンホ父さんの運転する車の後部座席に座っているとき運転の上手さを見るため手に持ったカップで確かめていました。あの場面はパク社長のいい人とはまた違うけどちゃんと相手の能力を見るという点でパク社長はいい人とも言えませんか。車のキーについてはたいへん配慮に欠けたものだと思いますけれど、それ以外で糾弾すべきところはないんじゃないかなー?
 闖入家族の中でも運転手と家政婦に対する態度が大雨のあとからよろしくないように感じられますが、それもあくまで自分たちと彼らの間にある格差に気付いていない、知らないゆえのものでしょう。知らないというのは恐ろしいことですね。闖入といえば、安部公房の闖入者という作品が面白いので読んでみてください。パク社長とその嫁さんによる闖入家族の父母と子の扱いの違いもありますよね。運転手の腕は認めつつも仕事の一線を超えた勤務をさせてみたり、家政婦になんでもかんでもお願いしたり、奴隷じゃないっつーの。だけど、家庭教師の子2人への態度はまた違っていますね。誕生日会に呼んでみたり。気づいていない、知らないゆえのパク社長の行動、でも良き父ではありませんか。でも、その良き父が「愛していますよね」の問いに妙な反応をしたのは結局何だったのですか。パク社長は息子のことは大好きだけど、娘のこととなると無関心なのでしょうか。もしかして男女差別の一端を表しているということですか。
 格差といえば、大雨の中を邸宅から半地下の家まで帰るときの道のりがすごくないですか。作品を凝縮したロケーションがすごくないですか。雨の中を歩く3人も、雨によって低いところへ流されていく父と子2人という感じです。

 この作品がもっとすごいのは、映画を作るときにスタッフと契約を交わしていたそうです。最低賃金と週52時間労働を守るというものだそうです。最低賃金を守るというのはいかがなものかと思いますが、給与をもっと払って差し上げろと思いますが、韓国ではドラマ製作スタッフが自殺したりけっこう劣悪のようです。日本だって、良いものを作るのであれば最低賃金とか週何時間労働だとかそんなものは無視していいし人間を限界までぶち込んでいくことが美徳とされている節があります。安い製作費で良いものを作ることが良いことでありスタッフや出演者はすべてを投げ出して監督や作品のために努力する、それってどうなのよというお話です。労働時間や賃金を守っても良いものを作ることができましたということで、日本はもはや何も言い訳できないのではありませんか。パラサイトの製作裏事情はノーベル平和賞とか経済学賞とか受賞したほうがいいかもしれません。

 さて、本作もダメなところはあると思うんですよ。非の打ち所がないらしいのですが、そうですか? たとえば、モールスを子供が見たにもかかわらず子供は何も行動しなかったですよね。子供はスカウトの知識があってモールス信号を読めるとほのめかしておきながら何も行動しませんでした。クビになったほうの運転手について、心配しておきながらその後何もかかわってこないのも肩すかしでした。

 というわけで、この映画って、そんなにすごいんだなあと、苦悶でございます。まあ、あれだ、徹夜に近い状態で眠い目をこすりながら観たからな。そのせいだわ。ああ、くっそ、無様だ……この映画をわかんないなんて。悔しいです! それと、日本だってこれくらいできらぁ! でもさあ、韓国映画って面白いですよね。ポンジュノ監督じゃないですけど新しき世界とか好きです。母なる証明とオクジャは観ていません。だって母なる証明はなんだかホラーよりも怖そうなんだもん。