2020年12月公開
監督、脚本:福田雄一
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あらすじ:歴史家の蘇我宗光が三国志に大胆で新しい解釈を提案した。それは英雄たちが皆クズで頭が悪いというものだった。では、赤壁の戦いにおいて劉備と孫権は曹操の大軍をどうやって打ち負かしたのか。蘇我宗光の解説を交えながら赤壁の戦いを描く。
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福田雄一監督の新解釈日本史はクソつまらんです。9本ありますが、それぞれの最後に歴史家の解説がありましてそこだけクソじゃないです。新解釈日本史の何がクソかというと、ムロツヨシです。ムロツヨシの演じる織田信長や坂本龍馬にひたすらイライラするだけです。脇の演者もクソつまらんですし。
新解釈日本史の冒頭で史実とは関係ないみたいなことを言いますが、日本史の新解釈というタイトルで何をやってもいいわけではありませんとこの新解釈日本史を見てて思います。
はい、というわけで、新解釈の三國志ですね。低予算の新解釈日本史をお金掛けてみただけの作品なんじゃないかと思ったらまったくそのとおり、お金を掛けただけでした。
役者がまじめにやってないし、笑えません。笑わせたいならまじめに笑わせてほしいのですが。曹操役の小栗旬が曹操のかっこよさを表す場面で瞬きしたのも本当にダメです。手抜きをせずに、ちゃんと演技してほしいですよ。新解釈の宣伝動画によりますと小栗旬はハリウッドを目指しているとのことですが、目指すなら瞬きくらいはちゃんと管理しろ。
許褚の腹踊りだけはクスッとなりましたけど。
佐藤二朗があまりふざけていなかったのは助かりました。ネタがないときの仏という感じでした。
最後の最後に劉備にかっこいいことを言わせても、クソダサいだけでした。途中で糜夫人が井戸に身を投げた場面も、趙雲のせいで身投げしたのですが、それなのにその趙雲を一言責めただけです。命がめちゃくちゃ軽い映画なのに、新解釈は劉備に「民のためだ」と言わせたのです。クッソダサいですよ。しかもスタッフロールが終わったあとにもう一回そのセリフを言わせるのですからダサさ2倍です。
今作における諸葛亮の頭の良さは黄夫人に秘密があります。これは、92年から94年にかけて三部作で製作された勝間田具治監督アニメ映画「三国志」に通じるものがありますね。この三部作での黄夫人の働きがあったからこそ赤壁の戦いは勝利したのでした。そういえば新解釈では10万本の弓を手に入れる場面が絵になってしまいましたね。ズコーです。
アクションの場面も、予告では呂布に大勢の兵士が突撃していって吹き飛ばされますけど呂布がどうやって吹き飛ばしたのか本編ではわかりませんし、それ以外のアクションもカメラが動き回るので何が起きているのかわかりません。いくらコメディだからといってもそういうところはちゃんとしてほしいものです。
これら以外にも劉備が「戦好きの曹操とは違う」とおっしゃるものの、曹操が戦好きとして描かれた場面がありませんし、脚本の不自然な部分も多々あります。
虎牢関で呂布と関羽張飛が戦いますけどその場面の途中でどう見ても圧倒的優勢だった呂布が突然董卓と共に洛陽へ撤退するあたりも三国志を知らない方々にとっては謎の展開になっていることでしょう。
呂布の頭の悪さや、諸葛亮の南蛮征伐などを重点的に描いたほうが福田雄一監督の良さも出たのではないでしょうか。
そもそも私がこの映画に合わないのでした。福田雄一とムロツヨシのノリを理解できないのでした。でも、橋本環奈と山本美月を出したのは英断なので高く評価します。主題歌の福山雅治「革命」も良い歌です。