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ほぼ毎日19時更新。「映画鑑賞感想」は配信やDVDなど自宅で見た映画、『映画「タイトル」感想』は映画館で観た映画の感想です。稀に旅日記をやっています。

映画「シン・エヴァンゲリオン劇場版(反復記号省略)」鑑賞感想(ネタバレ)

ポスター画像

2021年3月公開

総監督、企画、原作、脚本:庵野秀明

監督:鶴巻和哉中山勝一

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あらすじ:前作Qの直後から始まる。アスカによって黒い綾波とシンジは生存者の住む村へ連れてこられた。そこには鈴原トウジや相田がいた。彼らはシンジを温かく迎え入れる。心を閉ざしたままのシンジだったが、きつく当たるアスカや黒い綾波やトウジたちのおかげで彼は父ゲンドウと話すことを決意した。一方で、人類補完計画は最終段階に入る。果たして、世界の行方は……。

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 三石琴乃さんがおっしゃるとおり、タイトルの反復記号が曲者です。

 エヴァについては、95年当時は再放送ならなんとなくほんの少し見た記憶があります。でも、エヴァは見てはいけない、見たらヒトとして終わってしまうという思い込みがありまして視聴をずっと避けてきました。周りの方に「エヴァ見てそう」と言われても全力で否定していました。

 エヴァをちゃんと見たのは2005年頃だったと思います。テレビシリーズと旧劇場版をレンタルしてきました。どんなきっかけだったのかは覚えていません。めちゃくちゃ面白かったです。しかし、アスカというキャラは、本当に嫌いすぎて「あんたバカ?」というセリフがテレビから聴こえてくるたびに、耳をふさいだり頭を抱えたりしながら床をごろごろ転がることもありました。それくらい嫌いでした。そんなアスカの一挙手一投足に苦しみつつ視聴を続けたことを覚えています。画面に向かって「絶対KRす!」と怒鳴りつつ最後まで見ました。そのあと2007年の序公開となりました。

 シン・エヴァ公開に向けて12月末から新劇場版を見直して考察動画を漁りました。中田敦彦エヴァ考察がめちゃくちゃ面白かったのと、おまけの夜という動画の考察がかなりすごいと思います。

 序破Qときて、ついにシンですね。シン公開が延期されたときはだいぶつらかったけど、まさか3月公開などという直近になるとは予想外でした。1年以上の延期も覚悟していたので、そんなに早く見せてもらってもいいのかと思いました。

 本編上映時間は2時間35分なのに映画館の上映時間が2時間55分もありまして、20分もいったい何をするつもりなのかしらと思ったら、他の映画の予告をいつもどおりやったあとは序破Qのおさらいでしたね。破の「行きなさい」からすぐにQの「何もしないで」になったので笑ってしまいました。

 さて、シンエヴァですが、冒頭のパリでの戦いは上がります。アゲアゲです。絵がめちゃくちゃ面白いです。あんなミサイルは思いつきません。

 そのあとトウジたちがいる通称第三村へやってきたシンジたちですが、もうね、本当に、トウジさん、相田さん、委員長さんです。さん付けです。彼らにありがとうを言いたいです。シンジくんに温かく接してくれてありがとう。第三村の場面は泣きました。

 黒い綾波こと黒波の第三村における様子は、なんというか、めちゃくちゃかわいかったです。知りたがりの黒波です。エヴァのキャラでかわいいなんてこれまでこれっぽちも思ったことはなかったですが、ここに来てとうとう自分の股間にズキュンと来るキャラが出てきました。そんな黒波もシンジさんの前でお亡くなりになりましたが、これで良かったんですね。感涙です。

 そのあとアスカが言いました。心を閉ざしたままのシンジくんに正論を浴びせてしまいました。さらに今生の別れをする場面のやりとりもありました。アスカは、世の中のあらゆるキャラの中で最も嫌いですし、Qでの「バカじゃなくてガキね」発言は絶対許さないと思っていたのですが、今回は許してやらんこともないです。私も成長したってことですかね。アスカもようやく成長したってことですよね。

 許さないといえば、葛城の「行きなさい、シンジくん」からの「シンジくんは何もしないで」ですよ。これは裁判を起こして追及し責任を問うべきでしたが、今回のシン・エヴァにおける葛城艦長の贖罪もありまして、許してやらんこともないです。葛城がシンジくんの暴走を招いた罪を認めたわけですし、この女もようやく成長したってことですかね。葛城とゲンドウは子育てに失敗してますけど、なんというか、親になるとか後進を育てるとか、難しいですね。親ってすごいですよ。トウジさんが委員長と結婚して子供を作っていますけど、すごいことです。

 そして、黒波のおかげでシンジくんはシンジさんになりました。シンジさんになったあとのシンジさんはすごくシンジさんでした。敬礼したい気分です。シンジさんになってからも泣きながら見ていました。

 ヴンダーは箱舟という名前のとおり、本当に箱舟だったのですね。あらゆる生物を生かすためにDNAを保管しています。破にあった青い海を取り戻すための施設からつながっています。ということは、加持さんの意思を受け継いでいるわけです。加持さんが土をいじる場面がありましたし、それもこれもすべてはこのヴンダーにつながっていくのでした。もちろん第三村の存在も生命を生かすための箱舟です。

 なんだかんだあって、Qから出てきたヴンダー艦橋乗員のピンク髪がシンジさんに怒りをぶつけたりしましたね。破のラストでピンク髪は家族のすべてを失ったからシンジさんを許さないわけです。でも、ピンク髪に発砲されてもシンジさんは父ゲンドウと決着をつけるという固い意思を曲げませんでしたし、葛城が身を挺してシンジさんを守りました。鈴原妹もピンク髪と同じく怒ったけど、葛城の説得もありましてヴンダー乗員からシンジさんは送り出されて再びエヴァに乗りました。

 トウジさんたちのぬくもりに包まれるシンジくんだけでも十分だったのに、シンジさんがゲンドウとお話をしようとするなんて、もう感涙です。

 エヴァ初号機パイロット碇シンジさんに敬礼!

 ヴンダーが2番艦とタイマンを張りました。そのときのBGMが惑星大戦争(1977年公開)です。シンゴジラ宇宙大戦争に匹敵する高揚感がありました。めちゃくちゃ手拍子したい場面となりました。艦と艦の主砲による撃ち合いは最高です。大艦巨砲主義最高ですね。タイマンは葛城艦長のセリフです。

 BGMといえば、シンエヴァ冒頭からヴンダーのタイマン勝負に至るまでのBGMもかなり良かったです。

 ピンチになったので眼帯をはずして自ら使徒になり、事態を収拾しようとするアスカ、彼女はよくがんばりましたね。

 妻と再会したいゲンドウ……それだけのために生きとし生けるものをめちゃくちゃにしやがったクソ親父、髭野郎。でもその妻はエヴァ初号機というかシンジさんの中にいたようです。そのことを知ってゲンドウもようやく考え直しましたね。自らエヴァ13号機に乗り込んだことにより息子さんのエヴァ初号機と親子対決になりましたが、息子さんは会話による対決へと持ち込んだので息子さんの勝利です。人類補完計画は失敗となりました。ゲンドウがついにシンジさんを抱きしめました。

 そのあとは、シンジさんがアスカを救い、いろいろな人たちを救いました。アスカは実は綾波シリーズとは別に生み出されたシリーズだったということでそのアスカも自分自身に決着をつけました。ゲンドウの道具でしかなかったけれど、よくがんばったと思います。

 あとは真希波ですね。彼女の正体は漫画版のマリだったという理解でよろしいでしょうか。その真希波がシンジさんを迎えに行くから待ってろと言って、本当に迎えに来て、最後の最後は山口県宇部新川駅でシンジさんと真希波のニャンニャンする様子で締めくくりです。

 破からQまでの14年間に何があったのか、葛城たちの反乱と加持さんの死、青いスカーフ、その他諸々の謎はちゃんと説明してくれたのでどうかご安心ください。

 シンジさんが、ヴンダーから生み出された新たな槍を使ってすべてのエヴァを葬り去ったのでエヴァンゲリオンは本当に終わりです。本当にさよならしました。

 エヴァ、終わっちゃいましたね。テレビシリーズはリアルタイムでは見なかったけど、見始めたのはかなり遅かったけど、終わっちゃいましたね。

 何はともわれ、何だかんだで誰もシンジさんのことを恨んでいませんでした。恨んでいたけれど、彼の暴走を理解していたわけです。理解していたけど面と向かって許すことができるかと言われたら、許せないのがQだったのですが、とにかく、ありがとう、さよなら、おやすみ、おはようです。

 シンジさんとゲンドウくんの会話で展開される絵面はテレビシリーズ最終話みたいなのであまり好きじゃなかったけど、きれいに終わったからまあいいかという感じです。

 真希波は破製作のときに生まれた新キャラだったのに、その真希波とゴールインしたのはいかがなものかと思わないでもないですが、まあいいか。綾波とアスカはあくまでお人形さんみたいなものだったわけですよ。そんなお人形さんの相手をする暇があったらちゃんとした人間とお付き合いしなさいってことですかね。

 他に疑問点があります。

 冒頭のパリ戦で、第4波を撃退したあと登場するエヴァMark44Bの背景に新宿の高層ビル群が見えていました。あれはどういう意味なのでしょうか。パリと新宿がゲートみたいなものでつながったことによってそれらが見えたということでしょうか。それとも、あれは新宿高層ビル群じゃなくてパリの高層ビル群だったということでしょうか。

 シンジくんが釣りをしていた廃墟のある水辺は第三新東京市でしょうか。芦ノ湖に釣り糸を垂らしていたということでしょうか。そうなると、第三村があるのは静岡県の西端にある新所原という場所なのですが、新所原第三新東京市が1日で歩いていける距離にあるのはおかしいのです。新所原第三新東京市は180km離れています。シンジくんが釣りをしていた水辺は浜名湖だったというのであれば納得できますが。

 終わってしまいました。また何か面白い作品を作ってください、監督さん。