やくもとうずしおをがっつりと

ほぼ毎日19時更新。「映画鑑賞感想」は配信やDVDなど自宅で見た映画、『映画「タイトル」感想』は映画館で観た映画の感想です。稀に旅日記をやっています。

映画「真・鮫島事件」鑑賞感想・ネタバレ

ポスター画像

2020年11月公開

監督、脚本:永江二朗

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全編のできるだけ詳しいあらすじ(ネタバレ)

 映画のオープニングは出演者や製作者の名前を出しつつ、「ウミガメのスープ」「キサラギ駅」「猿夢」「八尺様」「コトリバコ」などネットの世界で散見される都市伝説や怪談のタイトルの文字が流れる。

 夜、東京近辺の赤羽クラスの駅前を多くの人が歩いている中を菜奈(武田玲奈)も歩いている。皆がマスクをしている。菜奈は歩きながらスマホで兄に電話をかけた。何時に帰ってくるのかを聴いた。すると今夜は遅くなるとのことだ。菜奈は兄に「帰ってくる前に連絡してほしい。リモート飲み会をするから」と告げると兄は了解した。

 駅前を歩く菜奈はそのままマンションの入り口に着く。エレベーターで上がろうとする。階のボタンを押して、ドアを閉めるボタンを押した。しかし、エレベーターのドアが閉まらない。菜奈は閉まるボタンを連打したがエレベーターに変化はない。何か不穏な雰囲気を感じた菜奈はエレベーターから体を半分出して外の様子を見る。何もない。エレベーターに戻り、閉まるボタンを押した。エレベーターのドアが閉まり、上昇を始めた。エレベーターがひとつひとつ階を上がっていくが、ドアの窓からすべての階に同じ姿の何者かが存在していることに菜奈は気づく。恐怖に襲われて、降りる階に着く。ドアの窓に何者かの姿はなく、ドアは開き、何事も起こらない。

 エレベーターを出て、自室のドアを目指そうとする。しかし、恐怖に襲われたまま身がすくむ。ゆっくりと進みながら、きょろきょろと見回す。少しずつ自室のドアに近づく。背後に髪の長い女性の姿があった。

 鍵を回し、ドアを開いて玄関に飛び込む。ドアを閉めて、覗き窓からドアの外の様子をうかがう。何もいない。

 洗面所で石鹸を使い、入念に手を洗う。

 リビングでPCを開き、リモート飲み会に参加した。すでに始まっていたので途中から入った。彼らは大学の吹奏楽サークルに所属していた。卒業して1年ぶりにリモート飲み会で再会したのだった。

 ノートPCの画面は6分割、菜奈も含めて6人の参加者がいる。コロナの影響で菜奈を含めた5人が就職できておらず1人は音楽教室の先生に内定している状態だという。

 他の者は何かの動画で盛り上がっていた。Youtubeで話題になっているゾゾゾという動画だった。心霊現象が噂される場所へ行って動画を撮影するというのがゾゾゾの基本的なスタイルである。

 その動画を見て「かなり怖かった」という面々。

 ときどき菜奈の背後に謎の人物の姿が映り、菜奈が後ろを見る。何もいない。

 ところで、あゆみの画面だけ暗いままでそのことを指摘すると突然あゆみのアイコンが映し出される。呼び続けると、男の声があゆみの画面から聞こえた。どうやらあゆみの付き合っている男であり、「おまえらか」「おまえらのせいであゆみが」などと言っている。怒りに震える男の姿が映り、死体となったあゆみが映し出された。続いて、あゆみの部屋のドアが叩かれた。男は「誰か来たようだ」と言ってドアを開けると謎の者に引きづりこまれて姿を消した。

 混乱しはじめる5人。

 あゆみを含めた3人が昨日肝試しに行っていた。それが原因であゆみが死んだということを語り始める。肝試しにために入った廃アパートの部屋であゆみが幽霊を見たと言い、その後様子がおかしくなっていたらしい。その中で「鮫島事件」の名前が出る。肝試しに行っていない菜奈を含めた3人は鮫島事件とは何なのかを聞き出そうとする。

 鮫島事件とは……鮫島という男が女性を凌辱して惨殺する様子を撮ったスナッフビデオを作っていた。多くの女性が犠牲となっていた。数十人の正義に燃えた者たちが集まり、鮫島を罰しようとした。女性のふりをして千葉県柏市の廃アパートに呼び出す。のこのこと現れた鮫島を彼らはリンチして、やがてそのリンチは彼らにとって快楽へと変わっていく。亡くなった鮫島はその数十人を呪い殺し、廃アパートに大量の死体が転がった。

 あゆみたちはその廃アパートへ肝試しに行き、開けてはいけないドアを開けたために呪われたらしい。その呪いは「鮫島事件」を知り、その名前を口にした菜奈たちにもコロナのように拡散したようだ。

 菜奈たち5人はそれぞれの部屋に閉じ込められた。PCとスマホ以外の電気が切られた。カーテンを開けると濃い霧が漂っている。玄関から出ようとするとドアは開かない。

 あゆみといっしょに廃アパートへ行っていた裕貴が「なんとかする」と言って姿を消す。

 同じくあゆみといっしょに廃アパートへ行っていた鈴が何者かによって襲われて姿を消す。

 あゆみの画面に、あゆみのマンション管理人が現れた。騒々しいので様子を見に来たという。菜奈たちはあゆみの死体がそこにあるから見つけてほしいと訴えたがどこにも死体はない。警察を呼んでほしいと伝えたが、飲み会で酒を飲んでいる彼らがふざけているのだと思った管理人は怒ってその場から出ていった。

 PCの画面から一人ずつ消えていくのだった。

 菜奈はなんとかしようとして、鮫島事件を検索した。SNSへ接続すらできなかったのになぜか検索はできた。廃アパートの内部を探索したことを報告するホームページがあり、そこには16枚の写真があった。16枚目にチェーンのかけられたドアがあった。

 あゆみたちはこのドアを開けて、そのドアが開いたままなので自分たちの呪いが続いているのだと予想した菜奈はドアを閉める方法を考える。

 そこへ菜奈の兄から電話がかかってきた。マンションの下まで帰ってきたという。電話をつないだまま早く部屋に来るように促した。玄関のドアへ駆け寄る菜奈だった。兄の足音が近づき、ドアの開く音がしたが、菜奈が待ち受けるところに兄の姿はなくドアも開かない。電話の向こうでは兄が菜奈の場所を聞いている。

 どうやら世界が違う。

 ビデオ通話に変えて、菜奈と兄がしゃべる。菜奈が異常事態に見舞われていることを兄が理解した。

 菜奈以外に残されている2人が兄に訴えた。「千葉県柏市の白風荘という廃屋のドアを閉めてほしい。そうすれば自分たちは助かる」と何度も訴えた。菜奈は兄を巻き込みたくなくて、2人の訴えを阻止しようとしたが、兄は彼らの言葉を聞き入れて、バイクですぐ柏市の廃屋へ向かうという。

 その間も菜奈たちの周りでは異常事態が続く。

 兄がバイクで柏市の廃屋へ向かう途中突然人が現れて事故を起こしたが、身を起こすとすぐそこに目的の廃屋があった。

 兄がその中へ入る。そこで菜奈はドアを閉めるだけでは呪いが終わらないことに気づく。16枚の写真にある場所を順番にたどらなければドアへ行きつかないのだ。

 兄にそのことを告げると、兄は順番にたどっていく。長い髪の毛が大量にあるベッドや血痕のついた床があった。さらに、そこには傲慢や強欲などの文字が血で書かれていた。七つの大罪だということに気づいた菜奈はそれらの言葉を順番に見ていけばドアにたどりつくことを兄に伝えた。

 その間に、リモート飲み会の参加者は菜奈だけとなった。

 突然長い髪の恐ろしい姿をした女性に襲われる兄だったが、その女性から逃げつつ、七つの大罪の文字を見つけていく。やがてドアを見つけて、閉める。

 恐ろしい女性に再び襲われた兄が絶叫する。同時に菜奈の部屋でドアの開く音がして、玄関へ急いでドアを開くと兄が倒れていた。兄もまた菜奈のいる世界へ来てしまったのだった。

 エンドロール。清水理子の歌う「ツグム。」が流れる。

 それが終わると、マンション管理人が電話で話している様子が始まった。菜奈たちは謎の失踪事件に巻き込まれていたことを話している。すると、管理人の部屋のドアが叩かれた。誰か来たようなので電話を切って、ドアを開く。管理人も消えていった。

・・・

 以上、あらすじでした。

 映画が終わり、劇場が明るくなると私の前に座っていた若い男が「もう一生ホラー見ない」と言っていました。

 ちなみに、その若い男は2人組で映画館に来ていました。コロナの影響もありまして、着席できる席はひとつ飛ばしで並んでいる状態です。隣に人が座ることはありません。なので、この2人組も間の席を空けて離れて着席しました。

 ところがですね、予告が終わって暗くなって本編が始まると左の男が右の男の隣の席に移りましてですね、その左の男が右の男の肩に頭を預けたわけですよ。そんなことを目の前でされると映画が私の頭に入ってこなくなります。

 途中で頭を上げるかと思いきや、映画が終わるまでずっと頭を肩に載せたままでした。それはそれでしんどくないですかね。

 おかげさまで上記のあらすじが一部あやふやなところもあります。マンション管理人が登場したのはいつだったかな……鮫島事件の真相はこれで合っているのかな……

 結果的に、その左の男が「もう一生ホラー見ない」と言ったわけです。一生見ないとのことですから、かなり怖い映画なのではありませんかね。知らんけど。

 彼はどうせ樹海村も観るんでしょうけどね。

 ゾゾゾの動画でキャッキャする場面を見せられるとは、予想外でした。ゾゾゾといえば某氏に見てほしいと言われた動画です。見てみると、サムネイルで煽るほどのものはいっさいなくて全然恐くない、出演者がぎゃーぎゃー騒ぐだけのお寒いくだらない動画でした。出演者の演技が生理的に受け付けません。でも、再生数がすんごく多いんですよ。人気があるんですね。この映画の登場人物がゾゾゾを見ていた他の人物に向かって「いい年した奴がオカルト観るな」って言っていましたけど、どうもすみません。オカルトは面白いのでやめられません。

 ところで、本編にあった「誰か来たようだ」は懐かしいですね。私もテレホーダイでネットの世界を楽しんでいました。本編で起きる異常現象のひとつが、テレホーダイ時代のピーガガガの音が流れるというものでした。それも懐かしいですね。

 少し懐かしさを覚える映画です。

 今作の感想記事は鮫島事件ぽくするために「鮫島事件の真相について語ります」みたいな始まり方にしようとしていました。映画のポスターよりも前、最初に悪乗りした文から始めようとしました。でも、お寒いなと考え直してやめちゃいました。

 私にあのノリは無理です。

 映画の冒頭で駅前を行く人々全員がマスクをしていて、「あっ」となりました。この映画の世界はコロナが感染拡大しているんだ……と。菜奈が入念に手を洗って、リモート飲み会に参加して、この映画はまるでコロナ生活を送るための教育ビデオです。

 映画の世界ですらコロナの状況を味わうなんて、本当にごめんです。せめて、映画やドラマなどではコロナのない状況にしておいてほしいものです。現実の延長を味わいたくないんですが。

 はい、というわけで、最後くらいは、あれ? 誰か来たようです。