2020年7月公開、3作同時上映
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「がんばれいわ!!ロボコン ウララ~!恋する汁なしタンタンメン!!の巻」
監督:石田秀範
原作:石ノ森章太郎
脚本:浦沢義雄
音楽:石塚徹、Teje
あらすじ:意思を持った汁なしタンタンメンが世界征服を企み、ロボコンが対処する。
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「スプリンパン まえへすすもう!」
監督、脚本、カメラワーク:井上ジェット
あらすじ:元気で明るい女の子スプリンパンは、ある日不思議な世界「ココナンテ」で愉快なキャラクターと出会う。いっしょにダンスをして楽しい時間を過ごす。
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「人体のサバイバル!」
監督:奈須川充
原作:「科学漫画サバイバル」シリーズ
脚本:村山功
あらすじ:ノウ博士が開発したナノサイズに縮小できる乗り物「ヒポクラテス号」になった少年ジオは、ノウ博士とともに誤ってアマゾンからやってきた少女の体内へ入ってしまう。脱出を試みるが、果たして。
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3作品同時上映でして、ロボコン22分、スプリンパン5分、人体のサバイバル46分の順番です。ロボコンを最後に回したほうがいいのではありませんか。まず、スプリンパンで3作品の主題を明らかにして、人体のサバイバルでまじめにやって、そして、最後にロボコンを見るかどうかの選択肢をこちらに与えてもらうという形にしたほうがいいと思います。
ロボコンについては1974年放送、1999年新シリーズ放送ということで21年ぶりの新作なんですね。74年のほうは見たことがあるかどうかで言えばゼロではなく、99年のほうはわずかに記憶があります。という程度です。
2020年上映作品の中でスマホを落としただけなのにを軽く凌駕する問題作が誕生してしまったようです。そのことをまったく知らず、知ったあとも上映していることを認識していませんでした。映画館のタイムスケジュールでは「人体のサバイバル」しか表示されておらず、ロボコンに目がいかなかったです。でも、ロボコンを念のために見ておきたいなあと上映館を検索していたら、だいたいどの映画館でも流しているではありませんか。
鑑賞しているとき、自分ひとりだけでした。おかげさまでロボコンは前半大爆笑、後半呆然としていました。スプリンパンと人体につきましてはたいへん申し訳ないのですが少しスマホで作品情報を検索しながらの鑑賞となっております。もしも劇場にお子様連れのご家族がいたら、そのご家族の安否を気遣うことになったかもしれません。
ロボコンが汁なしタンタンメンの生みの親になっちゃうわけでして、命を宿したタンタンメンが世界征服を企むというたいへん簡単な物語です。某スマホを落としただけなのにみたいな物語の崩壊した作品ではありません。そのへんはちゃんとしています。
ただ、後半は呆然とするしかありません。持っているスマホを手から落としてしまう感じの呆然です。
ツッコミどころが多すぎますけども、ツッコミを指摘する暇がありません。わずか22分ながら莫大な情報量がありまして、圧倒されてしまいます。いろいろとやらかしている浦沢義雄さんですが、今作においてはどうやら監督やその他スタッフ総出による問題作品作りとなっているようです。浦沢さんだけががんばれいわを産みだしたわけではないということですね。
多くの方がこの作品について批評をしているので、そちらのほうを読んでもらえたらいいんですけども、とにかく、もう本当に、なんだこれ。出ている奴ら全員ヤバいけど、一番ヤバいのはロビンです。前半は超ヤバいけどまだ観れるじゃんと思っていましたが、後半は危険な薬を服用したら世界がこんな感じに見えるんだよということを教えてくれたのかもしれません。
0点が出されたときだけは冷静にツッコミを入れることができたので、自分はなんとかこの作品世界から生還できました。なんで今頃になってタンタンメンの汁をこぼしたことを指摘するんだよ! ふざけんなよ!
ロボコンがお世話になる中華料理店の名前が「全中華」なのはいいですね。どこかのお店に真似てほしいですね。
はい、というわけで、次にスプリンパンなのですが、外見がなかなかファンキーな女の子です。しかもメガネっ娘なので好きな人は好きなんじゃないですか。一見するとがんばれいわの続きを見ているのかもしれないという不安に駆られる作品です。何しろ3Dアニメなのにスプリンパンのお母さんだけ2Dだったり、旅をしているといいつつずっとダンスですし、ファンキーな緑三角形が出てくるのです。でも、監督さん、歌唱や声を担当しているキャストなどは本当にまじめに作っていて、意識の高いものだということです。劇中のダンスもプロダンサーがモーションキャプチャーにより演じているものだそうです。
はい、というわけで、最後に人体のサバイバルなのですが、こちらはまじめな作品です。ちゃんとお子様向け科学アニメとなっています。ポケモンのトレーナーにこんな子いたよねという感じのアマゾン少女が出てくるものの、たいへんまじめです。
アマゾン少女がやたらとおなかを空かせて目を回します。お子様アニメにありがちなおふざけ演出だなと思っていたのですが、これがまさかの重い展開になってしまいます。お子様向けなのだから、博士とジオは人体を探検するだけで終わるのかと思いきや、博士は国の補助金を引き続き受けられるかどうかを決める大切な学会へ、ジオはアマゾン少女の命を助けるために再び探検へ、それぞれ重大な使命を持っていくわけですね。ロボコンのほうも世界征服というめちゃくちゃ重大なものがありましたけども。
ここだけの話ですが、小さくなって少女の体内に入るというのはエロさもあります。でも、そんな卑猥な考えを持っていた自分が恥ずかしくなる物語でした。