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ほぼ毎日19時更新。「映画鑑賞感想」は配信やDVDなど自宅で見た映画、『映画「タイトル」感想』は映画館で観た映画の感想です。稀に旅日記をやっています。

映画「ジョジョ・ラビット」鑑賞感想

ポスター画像

2020年1月公開

監督、脚本:タイカ・ワイティティ

原作:クリスティン・ルーネンズ

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あらすじ:第二次大戦中のドイツで暮らす10歳のジョジョは青少年集団「ヒトラーユーゲント」で奮闘しながらナチスヒトラーを敬愛していた。そんな彼は自宅で匿われているユダヤ人の少女の存在を知ってしまう。

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 作中では、「イタリアが降伏した」というセリフが初めのほうにありましたので1943年9月8日ということになります。その前に作中で「我がドイツは敗色濃厚」とも言っていました。え? そうですか? 敗色濃厚といえるのは1944年6月6日のノルマンディ上陸作戦以降ではありませんかね。イタリアが降伏する前にドイツ本国でも「ヤバい、負けそう」という空気があったのでしょうか。

 はい、というわけで、ナチ大好き少年とユダヤ少女の物語です。

 序盤で少年が総統のことを尊敬している様子が語られます。ナチ好きすぎる様子の少年がウザいやつです。とはいえ、まだ10歳ですから、わけもわからず敬愛してしまっている、厨二病のような感じなのですよ。周りの人たちからすれば「馬鹿みたい」と思えてしまうわけです。少年自身もヒトラーユーゲントとしての重責を負わされてもそれを遂行できなかったりするわけです。まだまだ子供です。

 やっぱり子供は子供なんだ、でも、相手が忌むべきユダヤ人であってもなんだか好きになってしまって、子供ながらにユダヤ人少女を守っていくんですなあ。序盤とちがって何やら大人びていました。

 そして、少年のお母さんの靴ですね。靴です。お母さんの靴に注目していてくださいね。そんなお母さんのキャラも最高ですけどね。

 さらに、連合軍が彼らの街に近づいてきます。いや、近づいてくるという描写もありませんし、敗色濃厚というのもセリフとちょっとした演出くらいでしかわかりません。でも、そういうのがちょっとした演出ではっきりとわかります。そういうところがすごくて、お母さんの靴もそうです。そもそも、作品全体が少年の視点のみなので、街の外などなどは出てきません。お母さんが外出先で何をしているのかもいっさい描かれていません。よくできてるなあと思います。

 それで、この連合軍が近づいてくる件なんですが、少年の街がどうか西側によって占領されますようにと私は願いました。東側だったらこれから先たいへんなことになるじゃないですか。それがわかっているから、西側でありますようにと願うわけです。結果的に米軍様のご登場でした。白い星マークの戦車もいました。あの白い星マークを狙って戦車砲をぶっこんだら破壊できるらしいですよ。それにしても少年の街に携帯ロケットランチャーが溢れていました。さすがナチです。

 そんな少年と少女の行く末に大きくかかわるのが、サムロックウェルが演じる大尉なのですね。もう、最高ですね、ジョジョ・ラビットの大尉は。序盤のヒトラーユーゲントで教官を務める大尉ですが、「子守をしないといけない」とか言いつつその大尉が楽しんでいる節もあります。そして、少年宅にやってきた黒服たちと偶然居合わせた大尉、さらに、最後の大尉です。

 サム・ロックウェルって、スリービルボードのときに私の中で急激に株を上げました。そのあとのジョジョ・ラビットです。ジョジョラビットのあとに私はすぐリチャードジュエルも鑑賞していましてその作中でもサム・ロックウェルが大活躍ですよ。

 サム・ロックウェル最高!

 バイスのジョージWブッシュでもあまりのそっくりぶりに笑いましたけども。そういえば、ジョジョラビットに出てくる人たちは皆魅力的です。

 作中で日本がほんの少しセリフに出てきましたけど、それにしても、占領される前のドイツというか少年たちが過ごした街がすごく裕福だなあと思うわけです。飯はちょっと足りていない様子でしたが、プールもありますし、飯以外でも不足ぎみのものもありましたが、日本に比べたらめちゃくちゃ豊かだなあと思いました。

 当時の日独にこれほど生活レベルの差があったなんて。ドイツでもやっていたんですね、金属接収。その金属を集めていたのが少年でしたが、被り物をして金属回収していました。被り物ですよ。これは本当に当時やっていたのですか。日本とちがってあちらさんはそんなに精神的にも余裕があったというのですか。なんかもうやってらんないですよ。

 というわけで、少年の街が占領されたのは1945年5月1日から8日の間ということがわかりますので我々日本の降伏は3か月後でした。やれやれ。