やくもとうずしおをがっつりと

ほぼ毎日19時更新。「映画鑑賞感想」は配信やDVDなど自宅で見た映画、『映画「タイトル」感想』は映画館で観た映画の感想です。稀に旅日記をやっています。

映画「魔女の宅急便」を観た感想(ネタバレあり)


2014年3月1日公開。
監督:清水崇
脚本:奥寺佐渡子・清水崇
原作:角野栄子魔女の宅急便
・・・
 魔女の存在が信じられている世界。13歳になった少女:キキは魔女になることを選び、親元を離れて修行に出た。魔女の住んでいない街を見つけて1年間暮らすことになった。飛ぶこと以外できないキキは黒猫のジジと共に「お届け屋」を始めるが。
・・・
 クロネコヤマトの宅急便〜、一歩前へ!
 というわけで、アニメのほうの魔女の宅急便と提携したヤマト運輸は大いに名前を売って、大勝利したと思います。
 先に褒めておきますね。まず、撮影で使われた小豆島が美しいです。寒霞渓とか。どうしてこの島はこれほどまでに画面で映えるかな。うらやましいですよ。
 小豆島とあまり関係のないジャンボフェリーがちゃっかり映りこんでいるのはちょっと笑いましたけど。
 あと、キキを演じた小芝風花がうまいと思います。尾野真千子も良かったですねえ。
 さて。
 嫌な予感しかしていなかったですが、監督の名前だけを信じて鑑賞することにしました。「あれ? 意外と観れる映画になってるじゃん」と思ったのですが、クライマックスがダメだと思うんですよ。
 ここから先はネタバレ注意です。
 動物園のカバの子供が体調悪くてすぐに獣医に診せたい。しかし、獣医は離れた島にいる。しかも、嵐で船を出せない。
 そこで、お届け屋のキキに助けを求めたのでした。
 飼育員ナヅルはキキのせいで動物たちがおかしくなったと信じていてキキに依頼することを拒絶、自らが船でカバを連れていこうと進言します。
 しかし園長が「この嵐の中君を行かせるのは危険だ。ダメ!」みたいなことを言って、「だから、お届け屋のキキになんとか運んでもらいたい」という。
 はあ?
 いや、意味わかんないです。激しい風雨だから部下を行かせたくない、でも13歳の少女に飛んでもらって運んでほしい。
 はあ?
 そのおかしさに誰もツッコミを入れません。キキはナヅルによって呪いを運ぶ魔女とされてしまい、街から干されている状態ですので、この状況でがんばって運んだらまたみんなから頼られる存在になれます。キキは運ぼうとします。
 そして、嵐の中、キキはカバとトンボ(もちろん少年のことですよ)の乗ったゴムボートを運ぶのでした。
 もうね、この絵面がひどいのなんのって。風と雨、雷も鳴っていて、その中を海面すれすれでゴムボートを吊り下げたほうきにまたがる少女。13歳の少女に何させとんねん。拷問です。ていうか、13歳が働くのは禁止じゃなかったですか。
 ところで、カバはけっこう獰猛なはずで、アフリカでは恐れられていると思います。そんな動物を運んでいるのです。それに、とても貴重な動物ですよね。海に落としたら責任はとてつもないですよ。
 だいたい、作中でキキは島中から呪いを運ぶ魔女として避けられますが、そんなことになったら13歳の少女なら鬱だ死のうになりますよ。手首のひとつやふたつ、サクッといくんじゃないですかね。なかなかきつい状況だと思うのですが。
 そもそも、キキの言っていることもおかしな変化がありました。修行に出る前は母から「魔女は、周りの人たちと仲良く、慎ましく、おとなしい暮らしをしないといけない」と説教されるのに対して「それは古い考え方。なんでもやれることはやってみたい」と言います。
 その後、お届け屋を始めてから挫折した後でキキは「みんなの愛情とかもいっしょに運んでいたつもりだったのに」と、人間的な考えをいつの間にやら持っていたわけです。
 ただ、今改めて考えてみると、それは彼女の成長でもあり、母の説教は古いと言った彼女に対して「呪いを運ぶ魔女」というレッテルが貼られたことにつながるのかな、という解釈もできますかね。やっぱり、母の言うことが正しかった、ということなのでしょうかね。
 さて、タカミ・カラというワケアリで歌うことをやめた歌手がいます。カバを運ぶキキを応援するために奮起したタカミさんが家を出て、風雨の中で歌いはじめました。
 タカミ・カラを演じるYURIさんにはたいへん申し訳ないのですが、その絵面もひどいです。
 その絵面とは、オペラの舞台に立って大声量で歌っていそうな立派な体型の女性がけっこう薄めのドレスで歌っています。風と雨です。
 当然、濡れますよね。薄いドレスです。立派な体型の方です。どうですか、想像できますか。
 このような絵を喜ぶ方はなかなか少ないと思います。
 もういいよ。もういいから、皆さんも映画館でぜひご覧ください。