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ほぼ毎日19時更新。「映画鑑賞感想」は配信やDVDなど自宅で見た映画、『映画「タイトル」感想』は映画館で観た映画の感想です。稀に旅日記をやっています。

映画「スキャナー 記憶のカケラをよむ男」鑑賞感想(ネタバレ)


2016年5月公開
監督:金子修介
脚本:古沢良太
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あらすじ:物から人間の記憶:思念を読み取る能力を持つ仙石は丸山とコンビを組んでそれを芸としていた。しかし、人間の醜い本性ばかりを知ってしまい人間嫌いとなった仙石は姿を消す。ある日、丸山のもとへ失踪した女性を探す依頼が少女によってもたらされた。少女は仙石の能力で見つけてほしいと訴える。嫌がる仙石は失踪者の持ち物に偶然触れてしまい、捜索をはじめる。得た情報を警察に伝えても相手にされない状況で犯人からの妨害も受けつつ捜索は続く。
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 前半はさらさらとテンポよく捜索が続きますが、後半から拷問がはじまりました。実は犯人は警視庁の佐々部刑事でした。何がどうなって佐々部が犯人になったのか、それらの説明があまりにもくどくてくどくてそれが拷問でした。事件が解決したあとの少女の貸切ピアノ演奏会、仙石と丸山の関係修復、マンション屋上での仙石の決意、それらが丁寧すぎてウザいったらないですよ。
 野村萬斎宮迫博之の演技はたいへん良いです。このコンビはまた観たいと思わせます。シリーズ化できるのではないでしょうか。
 ただ、この映画については後半の人物背景説明と伏線回収が丁寧というよりも濃厚すぎて飲み込めないです。60分ドラマに短縮できそうな内容を109分に無理やり長くした感じがします。
 伏線回収はもっと他の演出でなんとかならなかったのでしょうか。パソコンのディスプレイに書いている文章を喫茶店で音読する場面もありましたけど、そんなことはしないでしょう。黙読するでしょう。そういう演出も嫌いです。
 だいたい、佐々部がエリカの兄だったというのも後出しじゃんけんではありませんか。前半でそれを匂わせるヒントはなかったと思うのですが。
 伊藤忍が犯人ではないかとミスリードさせる演出をしておいて、実際に犯人として逮捕されるものの、違いました。伊藤忍にエリカの思念が乗り移って犯行を実行させたということでよかったでしょう。乗り移った状態の伊藤忍を仙石の力で解放させたらそれはそれできれいに終わったと思います。沢村雪絵は死んでいました。死なせることはなかったのではないですか。それによって秋山亜美の今後の人生にかなり重大な荷物を背負わせることになったでしょう。
 こんな脚本は受け付けられないです。もっと違う方法で伏線回収をして、短くまとめてほしいです。同じ場面を繰り返し観させられているような錯覚がありました。
 今作の脚本を褒めている方が多くて困りましたが、仙石丸山コンビは良かったです。本当にそれは同意しますので、今回の私の批判はどうかお許しいただきたいです。