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ほぼ毎日19時更新。「映画鑑賞感想」は配信やDVDなど自宅で見た映画、『映画「タイトル」感想』は映画館で観た映画の感想です。稀に旅日記をやっています。

映画「チャーリー・モルデカイ 華麗なる名画の秘密」(字幕)感想(ネタバレ)


2015年2月日本公開
監督:デヴィッド・コープ
脚本:エリック・アロンソ
製作:ジョニー・デップ
原作:キリル・ボンフィリオリ
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あらすじ:英国でナイトの称号を持つモルデカイ(ジョニー・デップ)は偽物の美術品を売って金を稼いでいた。ある日、オックスフォードでゴヤの幻の名画が盗まれた。捜査を担当しているMI5のマートランド警部補(ユアン・マクレガー)は過去に同級だったモルデカイに捜索を依頼した。
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 嫌な予感はしていたのですが、観てしまいました。
 駄作のにおいが以前からしていたのです。
 でもね、駄作だと思いますよ、これ。ジョニー・デップの独特の演技はうまいです。モルデカイというキャラクターによく合っています。ジャック・スパロウと同じく悪党というか特殊な悪党です。奇怪な悪党をやらせたらジョニー・デップの右に出る者はいないということでしょうか。
 ただ、それ以外の設定や脚本がよろしくないですよ。モルデカイに従う執事のジョックについてなんですが、モルデカイに尽くしています。命を捧げている感じです。にもかかわらず、モルデカイからひどい仕打ちを受けています。そんなジョックがモルデカイに尽くす理由がよくわからないです。守りたくなるようなご主人様なのかな……。
 モルデカイの妻ジョアンナ(グウィネス・バルトロー)は頭の悪い夫とは違って、よくできた頭の良い女性という設定なのですが、いまいちその演出が中途半端でした。見た目は頭良さそうですし、良いところで夫の危機を救うのですが、それは頭を使って考えた末の行動ではないです。オークションの前に電気を消す場面ですけどね。あれはほぼ偶然じゃないですか。
 ジョアンナのことが大好きなマートランドも、捜査官としての能力はどうなのか、いまいちわからないままでしたし。
 冒頭で、腕が燃えたジョックはいつの間にやら火が消えています。そもそも、この映画はほんの1週間のできごとを描いています。
 そんな短い間でジョックは腕や手のひらを撃たれたり、急にバックしてきた車にろっ骨を折られています。だけど、ピンピンしています。よほど丈夫な方ですね。
 盗まれたと思われた絵画はモルデカイのロールスロイスの屋根にありました。それを仕組んだのはモルデカイがロールスロイスの修理を依頼した男だったのですが、後からつけたような話でしたし、「そうだったのか」とはなりません。
 そもそも、本物の絵画は実はジョアンナが訪問したボケたおじいちゃんの家にありました。おじいちゃんはジョアンナとの会話で、やたらとトイレに連れていこうとしていました。おじいちゃんはおちんちんを見せたかったのですが、別の何かを見せようとしていたのです。
 ジョアンナは「そうだったのか、てっきりおちんちんを見せたいだけなのかと思っていた」というふうに後で語っていますけど、いやいや、あのときの会話はおちんちんのほかにもっと見せたいものがあったのがわかりますってば。頭がいいはずのジョアンナがその機会を逃してしまうのですから、観てるこっちはイライラですよ。
 全体的にジョニー・デップが空回りした印象しか残らないです。あとはロサンゼルスとロンドンの間を飛んだヴァージンアトランティックかな。モスクワからロンドンに飛んだときはどの航空会社を利用したのでしょうかね。
 勢いよくゲロを吐く映画に駄作無しといいますが、この映画の場合本当に美しいゲロの吐き方をしてくれました。しかし、駄作でした。(17)