やくもとうずしおをがっつりと

ほぼ毎日19時更新。「映画鑑賞感想」は配信やDVDなど自宅で見た映画、『映画「タイトル」感想』は映画館で観た映画の感想です。稀に旅日記をやっています。

映画「ラストマイル」鑑賞感想

ポスター画像

2024年8月公開

監督:塚原あゆ子

脚本:野木亜紀子

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あらすじ:世界的なネット小売業者デイリーファーストが東京都西部に設置した流通倉庫から出荷された商品が爆発した。1件で死者が出て、他2件でも負傷者が出た。この日にセンター長として就任した舟渡エレナは部下の梨本とともに流通を止めずに次の爆発を回避しようと奔走する。大手物流の羊急便に責任転嫁して逃れようとするなど、舟渡はあらゆる手段を講じるが、果たして。

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 MIU404などのドラマはすべて未視聴です。

 テレビ局のドラマから始まった映画ということでそもそも見るつもりはなかったのですが、良い評判があふれていました。これは観なければいけないと思いつつ、テレビ局の映画なのでボロクソにけなすつもりで観たのですが、たいへん面白かったです。

 どこかにきっと明らかなツッコミどころがあるに違いないと粗探ししました。悪い点は見つけられませんでした。あえて言うなら、米国からX線装置を運んできたDHLの貨物機が米国籍ではなく英国籍だったというくらいです。DHLは実在する世界的な物流大手ですが、この映画はそれ以外にも多摩モノレールとその駅や車内のモニターが実在するそのままを使用していました。多摩モノレールシンゴジラでも撮影協力していましたし、なかなかやりますな。

 英国籍のDHL機が米国から日本へ飛ぶことはあるのでしょうか。

 伏線や爆発の演出、オープニング映像、疑わしい人物の演出、満島ひかりの演技などなど見事でした。死者を出した爆弾とそれ以外の爆弾の演出も異なっていますし、何度見ても楽しめるのではないでしょうか。安易なハッピーエンドにはならないほろ苦い終わり方も見事です。テレビ局もたまにはやるやんけ。つーか、やればできるやんけ。

 ドラマを見ていなければわからない場面もありませんでした。彼らはそういうドラマのそういう感じの人物なんだろうなとすぐに理解できる演出もありましたし、ドラマを全然知らないやつでも問題ありません。

 さて、ノマドランドという映画をご存じでしょうか。米国のアマゾン倉庫も舞台になっていてそこで働く人々を描いている作品です。米国だけどかなりの貧困です。ぜひノマドランドと合わせてご覧いただきたいです。

 そして、物流です。物流なめんなよって感じです。私も物流には係わっていました。日本経済を支えているんだぞという自負はありました。ただ、顧客である荷主から厳しい条件を叩きつけられて安い運賃で荷物を運ぶのはなかなかつらいものがあります。

 ラストマイルでは一般市民が爆発に巻き込まれます。我々一般市民も物流の劣悪な状況を知らずに日々ネットで商品をポチっています。だから作中で爆弾を送り付けられる対象となるわけです。せめて再配達にならない努力はしていただきたいです。私は営業所止にしています。

 物流だけではない、旅客輸送もたいへん厳しい状況です。輸送の業界を題材にした今作はなかなか良い娯楽作です。

 物流なめんなよ。