2024年5月公開
監督:山下敦弘
脚本:中田夢花
原作:中田夢花、村端賢志(徳島市立高校演劇部)
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あらすじ:高校2年のココロとミクは体育の授業を休んだ分として補習を受けるように指示されて夏休みに入った7月終わりにプールへやってきた。水のないプールの掃除が補習の内容だった。水泳部のチヅルもプールに来ていて、後から水泳部元部長のユイもチヅルの様子を見に来た。水のないプールで、補習を指示した山本との対立や彼女たちの悩みが交錯していく。
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徳島市立高校演劇部の舞台が映画化されました。
この映画の存在をまったく知らず、徳島の知人から教えてもらいました。
まず、申し上げたいのは、映画館の客入りです。なんと、私ひとりでしたよ。どこの映画館とは申しませんけども。徳島県内の劇場ですけども。なんしょん、徳島人のみんな、ほんまになんしょん。5月30日で上映が終わってもたけん、もう見に行けんよ。
男女の性差について悩む彼女たちと先生がお互いに意見をぶつけ合う内容なのですが、高校生が作った舞台を映画化したものなので作中のセリフがまさに高校生です。若い子たちの荒々しい意見で戦う映画になっていました。中田夢花さんと宇多丸さんがラジオで対談しているのですが、高校生だからこそ製作できた舞台だとおっしゃっていましたが本当にそのとおりです。人生の中の短い時間を切り取った作品になっていると思います。
4人の高校生と1人の先生が会話していきます。それぞれが至極真っ当なことを言っていまして、どれが正しいとか間違っているとかはなかったと思います。
同じ県内の高校に通っていた私としては、この子たちは意見がしっかりしていてすごいなあ、と圧倒されました。私の高校の先生が「よその学校の子ははるかにしっかりしてる」みたいなことを言っていました。こういうことだったんですね。シュン……となります。
あえて指摘するなら、先生の描写です。作中の先生は理不尽な指示をして生徒と対立して、プールから離れて裏で隠れて煙草を吸っていました。それだとただの人間になってしまうんですよ。先生も人間だからとするならそのままでいいかもしれないけど、この先生は友人から「先生らしくなった」と言われる場面がありました。だからこそ、砂でいっぱいになったバケツを見て掃除をした生徒たちを評価する場面がほしかったです。ちゃんと先生らしさを見せてから終わってほしかったです。そのような場面がないのは明らかに意図したものがあるのでしょうけども。
中田さんは脚本についてボコボコに叩かれたとおっしゃっているので、これくらいの指摘は受けたのでしょう。
いや、でも本当にすごいですよね。こんな作品を作れるんだからね。山下敦弘監督が映画化したこともすごいですよね。中田さんには日本の脚本家を引っ張る存在になってほしいなあと思います。
もうひとつ指摘したかった点はあるのですが、それについては、実はこの舞台が映像化されるのは2度目なんですね。1度目の映像化はYOUTUBEで公開されていますので是非ご覧ください。それを観ると、もうひとつの指摘したかった部分が意味を為さないのかしらと思いましたので言わずに置きます。
撮影地が足利だったのは残念です。