やくもとうずしおをがっつりと

ほぼ毎日19時更新。「映画鑑賞感想」は配信やDVDなど自宅で見た映画、『映画「タイトル」感想』は映画館で観た映画の感想です。稀に旅日記をやっています。

映画「”それ”がいる森」鑑賞感想(詳細なあらすじでネタバレしてます)

ポスター画像

2022年9月公開

監督:中田秀夫

脚本:ブラジリィー・アン・山田大石哲也

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あらすじ:ホストクラブの売上7500万円を盗んだホスト(パンサー尾形)と女が森に札束を埋めたが、ふたりは惨殺された。

 福島市中心部から離れた山奥ののどかな奥宮町でブラッドオレンジを育てている田中淳一は、3年前に東京から単身でやってきた。3年前に何があったのかというと、義父の会社で働いていたのだが、悪化していた業績を立て直したにもかかわらず義父との関係は悪くて追い出された。妻と息子の一也を残してきたが、一也は父との別れ際に「逃げるのか」と暴言を吐いていた。

 とにかく、ブラッドオレンジを育てている淳一だったが、細菌に感染した木々が病気を発症したので知り合いの宇野祥平といっしょに枝の剪定をやっていた。すると、世田谷ナンバーのタクシーが敷地に入ってきた。何事かと思ったら、降りてきたのは一也だった。中学受験勉強の成績が上がらずサッカーをやめて専念したがそれでもだめなので、母から怒鳴られたからウワアアア! となった一也が家出してきたのだった。淳一はタクシーの運転手に「いくらですか」とは聞かずにいきなり万札を運転手に渡した。すると、運転手がお釣りを出してきた。

 母が東京からすっ飛んできたが、一也は淳一といっしょにしばらく生活することになり、母は一也を福島に残して東京へ帰った。翌朝、淳一の作った味噌汁や焼き魚や玉子焼きのごはんを前にあまり箸の進まない一也だった。淳一が「口に合わなかったか。普段は何を食べているんだ」と聞くと、パンやシリアルだという。

 すると、奥宮第二小学校の北見先生が訪ねてきた。一也を学校まで送るのだという。建物は大きいが、生徒の人数が少なく、3年と4年が同じクラスになっている。建物が大きいということは昔は生徒数が多かったのだろう。クラスでは東京から来たイケメンということで一也は女子から人気を得た。だが、一部の男子から嫉妬にも似た悪意を向けられた。

 体育の授業でサッカーをすることになったが、なんと一也は強豪少年チームのレギュラーだったため男子のひどい妨害を難なく乗り越えて活躍した。キーパーをやっているデブから絶大な信頼を得た一也は、その日の帰りに天源森(実際は千貫森という)へ案内された。デブが天源森に秘密基地を作っていた。熊対策の深い落とし穴まで作っていた。男子ふたりはせんべいみたいなかりんとうを食べながらキャッキャウフフして帰宅しようとした。帰り道に、ふたりは銀色の大きな物体を目撃した。高さ5mほど、直径3mほどの上と下が平らな玉子型だった。「自衛隊の新兵器」「新型の爆弾」みたいなことを言いながらふたりは帰宅した。翌日、見たものを学校でみんなに話したが信じてもらえなかった。悪意ある男子が証拠を持ってきたら一也と仲良くすると約束したのでふたりは再び天源森へ入った。銀色の物体は消えていた。すると、デブが角のないチュパカブラみたいなクリーチャーに襲われて姿を消し、一也は転んで頭を打って意識をなくした。淳一がスマホの位置特定アプリで一也を助け出したが、デブは町総出で捜索しても見つからなかった。デブを残して逃げた上に何があったのかいっさいしゃべらない一也は学校で立場を失い、淳一もうっかり怒鳴ってしまった。クリーチャーを見たことを話してもどうせ誰も信じてくれないから何も見ていないことにしていたのだった。

 さらに、冒頭で惨殺された男女がデブ捜索の過程で発見された。警察が動いて、銀色の物体があったと思われる場所から直径3mほどの謎のくぼみが発見された。警察はくぼみを誰かのいたずらとして判断した。

 その後、自宅で勉強していた同じクラスの少女がクリーチャーに襲われて姿を消した。少女自宅庭にあったクリーチャーの足型が警察によって採取されたが、これについてはそれ以降いっさい触れられず、熊によるものだと判断された。町長などなどの判断で熊の駆除が行われたが内容物から人間はいっさい発見されず、人間による犯行だということになった。

 その後も別の少女と母親が車で移動中にクリーチャーを目撃した。これについても以後いっさい触れられない。

 ついに一也は見たものを淳一に打ち明けた。デブが落としたスマホにクリーチャーが映っているかもしれないということで淳一がスマホを探した。一也の手書きの地図のおかげでスマホは見つかり、クリーチャーの映っている画像も見た。さらに、淳一はブラッドオレンジ畑でクリーチャーを目撃したが、襲われそうになった瞬間にクリーチャーはブラッドオレンジに触れると苦しんで逃げた。ちなみに、デブの落としたスマホはデブの母親のものである。

 淳一はスマホの画像を持って、町に捜査本部を置いている警察にクリーチャーの存在を訴えたが相手にされなかった。ネットで検索したら1962年に天源森で小学生ふたりが行方不明になっていて児玉という小学生が目撃していたことを知った。淳一は北見先生にお願いして児玉の住所を調べてもらうことにした。そして、淳一と北見は児玉に会うことになる。児玉の自宅へ行ってみると、あらゆるUFO事件を調べていることがわかった。児玉は、再びUFOが現れて子供たちをさらい、子供の体内にある成長物質を狙っていると断定した。だから大人はその場で殺されるのだという。

 さらに、淳一は自分が襲われずに助かったときのことを思い出して、ブラッドオレンジの病気を利用することにした。

 一方、キャンプしていた4人家族が襲われて両親は死んで子供ふたりが行方不明になったという情報が淳一のもとへ入った。警察は、犯人がまだ天源森に潜伏していると判断して授業中の小学校は帰宅せずに待機して犯人を徹底的に捜索することになった。ところが、警察は天源森で全滅した。銀色のUFOは光を発して町の電気をすべて消した。停電した小学校では備え付けのランプを集めて灯りをともそうとしたり、停電の原因を調べようとしたが、小学校の正門に待機していた警察官ふたりも惨殺された。クリーチャー(ていうかエイリアン)3人が小学校にやってきて、待機している子供を狙おうとした。エイリアンを見てびっくりした先生たちは子供たちを体育館へ避難させたが教頭が惨殺された。教頭は一也を冷たく叱責したり北見先生に責任を押し付けようとしたキャラだったが、小学生を体育館に押し込めて自分は外からドアを閉めるという北斗の拳のトキみたいなかっこいいことをしてドアの向こうで惨殺されたのだった。

 教頭の死を窓越しに見た北見先生は他の先生といっしょに子供たちを体育館の倉庫へ押し込めたが、倉庫のドアをエイリアンがノックした。そのあと静まり返ったが突然ドアを思い切り叩き始めた。封鎖したドアが徐々に凹んでいくのだった。その前に、一也をいびっていた男子がひとりでエイリアンと対決しようとした。男子を助けるために一也は体育館を抜け出した。

 淳一はブラッドオレンジの絞り果汁を持って一也を助けに行った。一也は目の前でいじわる男子がエイリアンに飲み込まれる瞬間を見た。淳一が寸でのところで一也と合流して、ブラッドオレンジ果汁の沁みた棒をエイリアンに押し付けたら苦しんで倒れた。だが、エイリアンはすぐに立ち直った。一也と淳一は逃げたが、一也が「また逃げるのか」と怒鳴った。そんな一也を抱きしめて「一也を失いたくない」と言ったら一也はスンとなった。一也はデブの落とし穴へエイリアンを誘い込み、落とすことに成功したが落ちたエイリアンが一也と淳一を飲み込んだ。だが、すぐにエイリアンは苦しんで倒れた。エイリアンのお腹の中からドロドロの状態で出てきた一也と淳一だった。体内でブラッドオレンジ果汁をぶちまけて助かったのだった。エイリアンはようやく死んだ。

 体育館を襲っているエイリアンだったが、北見先生がどうにかこうにかドアを押さえていた。すると、UFOが赤く光った。エイリアンは体育館から退散して、UFOは飛び去った。

 一か月後、小学校では何事もなかったかのようにサッカー大会をやっていた。淳一と妻と一也は3人で福島で暮らすことになった。

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 ここからようやく私の感想です。

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 できるだけ詳細に書いてしまったので長くなりました。ごめんなさい。もし間違っているところがあったらコメントをください。

 ここ5年ほどで、私の生涯ワースト映画は2度も更新されましたが、またしても更新されることになりました。この映画は本当にひどいです。設定、脚本、演出、演技何から何まですべてひどいです。中田秀夫監督はここのところ駄作が続いていますが、とうとう最悪の駄作をやってしまいました。某Youtuberが「この映画は良い反面教師になる。あらすじのどこが悪いのかわからないという方にとってとてもわかりやすい教材になる」とおっしゃっていました。

 入場者特典として、それがいる森への招待状が配られています。こちらが本番であり、楽しい内容ですのでぜひご覧ください。

 中田秀夫監督はホラーより撮りたい作品があるらしいじゃないですか。でも、業界はそれを許さないんですよね。中田秀夫監督はホラーと縁を切りたいからわざと駄作を撮った、もしくは家族を人質に取られてやむを得ず駄作を撮ったかのどちらかです。もしくは製作委員会が極悪非道です。

 まず、申し上げたいのは、エイリアンの化け物が人間を次々と惨殺する映画が大好きです。エイリアンやUFOが出てくる映画が大好きです。なので、日本でもこういう映画をもっと作ってほしいのですが、日本の世間ではおそらくエイリアンやUFO関連の映画は嫌われていると思います。オカルトファンでも心霊は認めるがUFOは認めないという方が大勢います。

 それなのに、この映画は予告で宇宙人やUFOをいっさいにおわせないものを宣伝しましたよね。鑑賞してみたら全然違うというかUFOやエイリアンだったじゃないですか。そういう売り方をされると、UFOなどを嫌っているファンが怒るじゃないですか。そんなものを見たくて映画館へ来たんじゃないんだぞってなります。この映画は、エイリアンやUFOの業界に泥を塗ったも同然です。それが許せません。

 もっと堂々とエイリアンやUFOの映画なんだぞと売り込めばよかったじゃないですか。自信を持って宣伝すればよかったじゃないですか。自信の無さが表れていますよね。それが腹立ちます。

 ちなみに、UFOと初めて会ったのが小学生だったり、母と娘の乗った車がエイリアンとぶつかりそうになったあたりは甲府事件ぽいです。

 いつもだったら他の人にも見てもらって道連れにしたいと思う私ですが今作に限っては見ないでください。

 NOPEと宇宙戦争と「クリーチャーズ 宇宙から来た食人族」という映画3本を足して3で割ったような映画です。ていうか、ほとんど「クリーチャーズ 宇宙から来た食人族」です。この映画でも学生と教師がエイリアンに襲われて食べられます。日本も「クリーチャーズ 宇宙から来た食人族」みたいな映画をたくさん作りましょうよ。誰も見ないと思いますけど。

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