やくもとうずしおをがっつりと

ほぼ毎日19時更新。「映画鑑賞感想」は配信やDVDなど自宅で見た映画、『映画「タイトル」感想』は映画館で観た映画の感想です。稀に旅日記をやっています。

映画「死刑にいたる病」鑑賞感想

ポスター画像

2022年5月公開

監督:白石和彌

原作:櫛木理宇

脚本:高田亮

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あらすじ:23人の高校生と1人の成人女性を殺害した罪で死刑判決を受けた榛村大和が、大学生の筧井雅也に手紙を送った。成人女性殺害だけは冤罪であり調べてほしいというのだ。面会した筧井は担当弁護士の事務所へ赴き裁判資料を調べ始めた。成人女性を殺した真犯人に迫っていき、さらに彼自身と榛村のつながりも浮かび上がってくる。

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 かなりグロい映像が多めです。ご注意ください。人間の体のとある部分が美しく舞います。

 白石監督作品「凶悪」の二番煎じと言えなくもない感じはあります。問題のある家庭環境で育っている筧井雅也が壊れていく様子、面会を重ねて事件を調べていくにつれて榛村に壊されていく様子は凶悪の記者と似たものがあります。だけど、本作は記憶に残るセリフがありません。エンタメで言えば「凶悪」のほうが面白い作品になっています。

 榛村と出会った人々は皆が彼の人間の良さを口にしています。皆が、残忍な方法で殺害している様子を当然見ていません。普段顔を合わせた時の彼の様子しか知らないわけです。本当にヤバい奴というのは、観客はよくわかっているけれどわずかに引き込まれる部分はあります。観客は24人目の殺害も榛村ではないと確信していきます。

 本当に24人目は冤罪なのでしょうか。

 榛村は周囲の人間を壊していく天才なんですね。物理的に殺害するだけではなく精神的に支配してしまうのですね。

 スタッフロールの直前、最後までしっかりご覧ください。