やくもとうずしおをがっつりと

ほぼ毎日19時更新。「映画鑑賞感想」は配信やDVDなど自宅で見た映画、『映画「タイトル」感想』は映画館で観た映画の感想です。稀に旅日記をやっています。

映画「野球少女」鑑賞感想

ポスター画像

2021年3月日本公開

監督、脚本:チェ・ユンテ

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あらすじ:世界でも数人しかいないと言われた天才野球少女チュ・スインが韓国プロ野球に入ることはできなかった。周りの大人たちは彼女に夢をあきらめろという。しかし、彼女は決してあきらめなかった。そんなとき彼女が在籍している高校野球チームに新しいコーチがやってきた。彼もまたチュ・スインにあきらめろというのだったが。

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 野球少女のwikipediaによると、韓国プロ野球で先発登板した女性選手:アン・ヒャンミ選手をモデルとしていると書かれています。しかし、調べてみるとアン・ヒャンミ選手が投げた試合は高校野球の大統領杯準決勝だったようです。ちょっと日本語の情報がほとんどないので何が本当なのかはわかりません。

 男女の体力差は埋めようがないものです。

 マラソンの男女記録は14分差がありますし、100mでも1秒近い差があります。

 その現実がありますので、いくら女の子が夢をあきらめずに努力してもプロ野球の世界に入ることは叶わないという雑念が私にはありました。

 それでも、男に比べると球速が遅い、今どき150キロが当たり前の世界で130キロしか出せないのはどうしようもないと思います。そんな状況で、最終的にはこの作品は彼女がプロ入りを果たすというのがわかっているのでどうやって、どんな技術でプロ入りを目指すのかが焦点でした。

 日本のプロ野球界では星野伸之投手の例があります。遅いからといってプロで通用しないわけではありません。大切なのは球速よりも打たせないことです。凡打でもいいわけです。そのための技術とは何か……。とはいえ、そんな選手はごくわずかでしょう。

 球速に頼らない技術については、ぜひとも野球に詳しい方がこの作品をご覧になって解説してほしいと強く願うところです。

 プロ入りしたら、そのあとがもっとたいへんですよね。プロの世界で生き残ることができるでしょうか。そちらのほうが心配です。いくら活躍したとしても選手生命が短いのではないかなあと思うところでございます。

 あともうひとつ、作中で気になったのは、チュ・スインのお母さんの扱いです。ちょっとひどくないですか。親だから娘のことが心配です。育てていかなければなりません。その娘が母を否定する場面がありました。これはあとで娘が母に謝る場面がほしかったです。お母さんが報われる場面がなくはないのですが、最後のあれで納得しろと言われるとちょっと疑問です。

 それにしても、夢をあきらめた大人たちが大勢出てきます。夢を叶えられる人々はごくわずかです。夢をあきらめない人々を応援したい、そういう作品だと思います。