2021年3月公開
監督:ドン・ホール、カルロス・ロペス・エストラーダ
脚本:クイ・グエン、アデル・リム
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あらすじ:500年前、龍シスーが龍の石を使ってドルーンを封じ込めた。ところが、人間たちが争ったために龍の石が砕けてドルーンが復活した。龍や大勢の人々が石にされ、生き残った人々はお互いに不信感を抱きながら暮らす。せめて父だけでも元に戻そうとラーヤが龍の石を集める旅に出た。
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同時上映のショート作品は「あの頃をもう一度」です。若い頃は自由にダンスできた男女が老いてしまってただ生きるのみでした。でも、不思議な雨が降って若い頃に戻ることができたというお話です。過ぎたものは戻りません。不思議な雨は降りません。老いたら老いるのみです。あの頃は戻りません。
あの頃を取り戻したいという部分は、「ラーヤと龍の王国」もそうですね。500年前は皆が幸せだったけど、そんなのは過去です。だけど、そんな状況は再び作り出すことができるのでした。
人々が信じ合えば、何だってできるのです。
お話もかなり良くできていまして、ラーヤが仲間を増やしながら石のかけらを集めるという王道の中の王道の物語です。しかも、お互いに信じることが大切だという普遍的な解決策を提示しています。だけど、信じることが難しいのでした。一度は裏切った相手を信じることができますか。そういったところもハラハラさせてくれます。
舞台となる王国も東南アジアを模した世界観です。こんな国ねえよと思わなくもないのですが、すぐにこんな世界がありそうだと想像できてしまいます。
絵が美しいのはいつもどおりでした。特に、水の表現がもはや天才的です。物語にとって重要なキャラが水にまつわるので、水の美しさは、あえて言うなら実写を超えています。CGだからできる美しさとでもいうのでしょうか。
ディズニーの続編を除くオリジナル作品は私としましてはしばらくの間駄作が続いていたので、久々に良い作品が来たのではありませんか。劇場公開できなくなったソウルフルワールドがどんな作品なのかはわかりませんが。
本作品に龍が出てきます。その造形もなかなか良い感じじゃないでしょうか。ちなみに、作中でこの龍は「龍らしいにおいがする」と遠回しで臭いと言われていました。所詮龍は爬虫類ですし、しかも水棲なので臭くてもしょうがないでしょう。
爬虫類は苦手なんです、ごめんなさい。