やくもとうずしおをがっつりと

ほぼ毎日19時更新。「映画鑑賞感想」は配信やDVDなど自宅で見た映画、『映画「タイトル」感想』は映画館で観た映画の感想です。稀に旅日記をやっています。

映画「そこのみにて光輝く」感想

2014年日本
監督:呉美和
脚本:高田亮
原作:佐藤泰志
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 仕事を辞めて貯金で生活していた達夫(綾野剛)は、パチンコ屋で気が荒いもののフレンドリーな青年、拓児(菅田将暉)と出会う。拓児の住むには、寝たきりの父親、世話をする母親、そして姉の千夏(池脇千鶴)がいた。達夫と千夏は互いに思い合うようになり、ついに二人は結ばれるのだが。
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 たいへん良かったです。
 何が良いって、特定の地域を舞台とした映画はその地域の美しい面を映そうとするものがありますが、これは函館の美しい面を見せようとはしなかったです。それが好印象でした。あえて汚い、貧しい、暗い函館を見せてくれました。本州に比べると北海道は貧しいですけど、それを「飢餓海峡」のように描いてくれたのは勇気あるとは思いませんか、みなさん。千夏の働いている場所がイカの塩辛工場だったのはやめてほしかったですけどね。あと、達夫たちがジンギスカンを食べていたのも。ちょっと無理やりすぎませんかね。それ以外は完璧ですよ!
 フィリップの演技がまた、フィリップのときとはまったく違うもので、しかもはまっていました。こんな菅田将暉は見たくなかったというか、見たかったというか。フィリップというのは、彼が仮面ライダーWで演じた役名です。
 あとはね、池脇千鶴なんですけどね、こういう重いものを背負った役をやらせたらはまってしまうのがなんか観ていて悲しいですよ。しかも、今回は肉体がややぽっちゃりじゃないですか。これはわざわざ映画のために肉体改造でもしたのでしょうか。風俗嬢らしい肉体の再現度がすさまじいと思います。とはいえ8000円は安すぎだよな……吉原の高級なところでも通用するんじゃね? いえ! なんでもありません!
 タイトルどおりの一筋の光を最後に見せてくれたので満足です。暗い終わり方をずっと覚悟していたのですが、最悪の場合を避けてくれたのがうれしかったです。セリフ無しで夕日を背にした達夫……惚れてまうやろー! あ、これは綾野剛の演技のうまさじゃなくて監督の手腕ですな。
 最後に、函館は本当は良いところですからね、誤解しないでくださいね。ラッキーピエロがおすすめです。2016年春北海道新幹線開業! 新函館北斗というアホみたいな駅名にしたのは許さん! 話が逸れましたが、「そこのみにて光輝く」をぜひご覧ください。