55.マルホランド・ドライブ
デヴィッド・リンチ監督による2001年公開の米仏合作。
夜のマルホランド・ドライブ(ハリウッドに実在する道路)で事故が起きる。事故現場から一人生き延びた黒髪の女性は、助けを求めにハリウッドまでたどり着く。女性が偶然潜り込んだ家は、有名女優ルースのものだった。ルースの姪である女優志望のベティに見つかった黒髪の女性は、部屋に貼られていた女優リタのポスターを見て反射的に「リタ」と名乗った。彼女はベティに自分が事故で記憶喪失になっていると打ち明ける。リタのバッグには大金と青い鍵が入っている。ベティは、失った記憶を取り戻すことに協力する。
この映画はねえ、たいへんですよ。1回観ただけで理解できるような内容ではありませんでした。解説などを読むことでようやく合点がいきます。
要するに、ベティはルースによって活躍の場を奪われたダイアン・セルヴィンなわけですね。老夫婦は、我々一般の観客であり、アダム・ケシャー監督はダイアンにとってルースに活躍の場を渡した悪い人だから痛い目に遭えばいいということです。
ハリウッドの暗部を描いた作品なんですね。
こんな感じの理解でよろしいでしょうか。
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56.見知らぬ乗客
アルフレッド・ヒッチコック監督、1951年公開アメリカ映画。
アマチュアテニスプレイヤーのガイは列車内でブルーノと出会う。ブルーノはガイが浮気を繰り返す妻ミリアムと離婚したがっていることをなぜか知っている。ブルーノの父親を殺してくれるなら自分がミリアムを殺そうと交換殺人を持ちかける。ガイはそれを取り合わなかった。しかし、ブルーノはミリアムを殺してしまう。
サスペンスの教科書とでもいうような作品ですね。ブルーノのキチガイじみた演技が映えますし、お話もサクサク進んでいきますし、良い作品ではあると思いますが、面白いか面白くないかでいえば、いまいちかな。ヒッチコック作品はあまり好きになれません。
なら、なぜ観るのか。
それは、もしかしたら面白い作品かもしれないからです。
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57.エレファント・マン
デヴィッド・リンチ監督、1980年公開の英米合作。
19世紀のイギリスでエレファント・マンと呼ばれた青年ジョー・メリックの半生を描いている。アカデミー8部門ノミネート。
てっきりこの映画は大昔の古典映画だと思っていました。内容以外はまったく知らなかったのです。まさかデヴィッド・リンチ作品だったとは。
それにしても、結局は、メリックさんは病院でも医者の手によってセレブの見世物となっていますし、なんだかなあ。
ただ、院長があんなに良い人だったなんて、そこでは泣きましたよ。
悪い人は悪いまま、良い人は良いものとして、きれいさっぱりに分けられて描いているのは、デヴィッド・リンチの嫌なところでしょう。リンチはきっとそういう人なんです。感動できるような作品にしようとしたとは思えないです。我々観客がこれを観て感動しているのを嘲笑っているんじゃないかな。