やくもとうずしおをがっつりと

ほぼ毎日19時更新。「映画鑑賞感想」は配信やDVDなど自宅で見た映画、『映画「タイトル」感想』は映画館で観た映画の感想です。稀に旅日記をやっています。

映画『悪の教典』を観た感想(ネタバレ)


あらすじ:不良生徒やモンスターペアレント、集団カンニングに、淫行教師などの問題を抱える東京都町田市の私立高校につとめる蓮実聖司は、有能で人気者だが裏では自分に都合の悪い人間を次々と殺害していくサイコパスであり、一部の教師や生徒から疑われ始めていた。
 文化祭の前日、蓮実は邪魔になった女生徒を自殺にみせかけて始末しようとする。しかし、その場を生徒に目撃されてしまい、殺人の嫌疑がかかりそうになる。それを覆い隠すため出し物の準備のため校舎に泊り込んでいたクラスの生徒全員を同僚の教師の仕業に見せかけて散弾銃で皆殺しにしようとする。こうして一夜の血塗れの大惨劇が始まった。

 この映画、狂ってる・・・。こんなものを全国公開してしまうなんて・・・狂ってる・・・。
 たいへん面白かったです。
 あまりの丁寧な殺害っぷりに笑ってしまいました。
 淫行教師の一人である柴原(山田孝之)が死ぬ場面で一番笑いました。大惨劇の発端となるミヤを自殺に見せかけた蓮実は、柴原へのみやげのつもりなのかミヤのパンツを脱がせます。大惨劇の途中で、蓮実は柴原に遭遇しました。その柴原に向かってパンツを投げます。すると、柴原がさすまたの先でナイスキャッチです。その時点で笑ったのですが、そのあと柴原がパンツを嗅ぎます。
「ミヤ?」
 においでミヤのものだと判別してしまったのです。
 それから柴原は猟銃によって撃たれるのですが。
 これを笑わずにいられましょうか。

 物語は、前半がゆっくりと進んでいきます。
 不良生徒やモンスターペアレントを丁寧に殺害していき、蓮実の過去に気づきつつあった釣井先生(吹越満)を電車の中で自殺に見せかけてみたり。
 ただ、これらの殺害に至るまでの話もけっこう長くて、だるく感じるかもしれません。
 大惨劇になるまでの準備をひたすら丁寧にゆっくり積み重ねていくようでもあります。なので、大惨劇が始まると、怒涛の殺害ラッシュとなります。大惨劇となれば、もはやこっちの頭がおかしくなるしかありません。観客までやられてしまいます。
 生徒役の浅香航大二階堂ふみ染谷将太が良い演技を見せてくれます。
 早水演じる染谷ですが、蓮実に疑いを持つ生徒のひとりです。釣井といっしょに蓮実の過去を暴こうとします。演じているのが染谷ですし、殺されることなく生き残るのかなと思いきや、惨劇になる前に殺されてしまいましたね。
 釣井が殺されたことで焦った行動を取るからですよ。
 ちなみに、片桐役の二階堂ふみと夏越役の浅香航大、このふたりだけが生き残りました。かなりよくがんばりました。
 蓮実もこのふたりに最後、「誇りに思うよ」とおっしゃいましたし。
 蓮実の行為がバレてしまう原因についてですが、AEDでした。
 AEDは使用中、周りの音声を録音する機能があるのですね。知りませんでした。劇中でAEDの訓練があり、録音されることに触れられます。それがまさか、蓮実の凶行の証拠になるとは。
 AEDは面白い伏線でしたよ。
 片桐と夏越を救うものも、この訓練の中で出てきますし。良い伏線です。
 苦言もあります。
 生徒に東大を目指している子がいましたね。彼が嫌味な人間として描かれていたのはあまり気に入りません。
 頭の良い人間を嫌われ者として描くことはよくあることですが、私は最近そういうのを好まなくなりました。
 蓮実本人もそうです。京大入学後、ハーバード大にも行っていますが。めちゃくちゃ頭が良いわけですね。そういう人間が悪いことをするという描き方はもうやめたほうがいいのではないでしょうか。

 さて、「悪の教典」ですが、驚きのエンディングです。続編があるのですね。
 AEDが原因で警察に連行されていく蓮実は精神異常者の真似をしてみせます。真似ということを片桐が見抜いていましたが、罪の裁きを逃れてまた社会に出てくるのでしょう。
 しかも、「To Be Continued」と出たではありませんか。
 ううん、でも、本当に続編があるのでしょうか。三池監督は、遊びでこういうことをやるようですから。
 はたして、続編はあるのか。わかりません。