やくもとうずしおをがっつりと

ほぼ毎日19時更新。「映画鑑賞感想」は配信やDVDなど自宅で見た映画、『映画「タイトル」感想』は映画館で観た映画の感想です。稀に旅日記をやっています。

映画「サウダーヂ」を観てきた感想


あらすじ:
 山梨県甲府市。変哲の無い街。人通りもまばらな中心街、シャッター通り。不況の土木建築業、その中に日系ブラジル人やタイ人をはじめとする様々な外国人労働者たちがいる。
 HIPHOPグループ「アーミービレッジ」のクルー猛は“派遣”で土方として働き始める。両親は自己破産しパチンコに逃避、家庭は崩壊している。弟は精神に異常をきたしていた。
 猛の働く建設現場には多くの移民達が働いていた。そんな中、猛は現場で土方ひとすじに生きて来た精司や、同じく派遣されてきた、タイ帰りだという保坂に出会う。仕事帰りにタイパブに連れて行かれる猛。楽しそうな精司とタイ人ホステスのミャオ。盛り上がる精司や保坂に違和感を覚え、外国人を敵視する猛。
 一方、精司の妻の恵子は、セレブな客由美に誘われ、怪しげな水を売る商売に手を染め始める。精司はタイ人ホステスのミャオにのめりこみ、いつしか全てを捨ててミャオとタイで暮らす事を夢想しはじめる。しかしミャオはタイに離れて暮らす家族を支えるために日本で働き続けなければならない。
 追い詰められ、廃業する下請け。この街に見切りをつけようとする保坂。
 “saudade”  一言では説明できないポルトガル語。郷愁、情景、憧れ。そして、追い求めても叶わぬもの。
 不況が深刻化し、真っ先に切られる外国人労働者たち。住み慣れた日本を離れ、遠い故国に帰るしかないのか?彼らは働き、子供を育て、この国で生きてきた。彼らの故郷はこの国、この街なのだ。無視される叫び。すれ違い、交差する思い。
 苦難を忘れる束の間の喜びのとき、彼らは集い、歌い踊る。その移民たちの交歓の輪の中に、猛のかつての恋人、まひるがいた。日系ブラジル人デニス率いるHIPHOPグループ「スモールパーク」の存在を知る猛。まひるは彼らとの共生を信じ、猛は否定することで自分で支えようとする。そして日本人と日系ブラジル人二つのHIPHOPグループが競い合うパーティーの夜が始まる。

 日本の都市は、どこへ行っても同じですよね。その都市独特の色がありません。どこに行ってもイオンがあって、スシローやローソンがあるのです。日本の地方都市は死んでいます。
 そんな死んだ地方都市のひとつ、甲府が今回の舞台です。
 私はこの映画をなぜかドキュメンタリーだと思っていたのですが、実は思いきりフィクションだったんですね、ごめんなさい。
 あまりにも濃いキャラばかりが出てきてだいぶ驚きました。
 土方の日常から始まって、それぞれのキャラが本性を現して、物語が速度を上げていきます。あらぬ方向へ転がっていきます。死んだ地方都市の混沌を見せつけられます。こんなことなんてありえないと思うのですが、きっと私が知らないだけなんでしょう。
 ただ、長い。この映画は長すぎます。だいぶ短くできるんじゃないかな、と思います。