やくもとうずしおをがっつりと

ほぼ毎日19時更新。「映画鑑賞感想」は配信やDVDなど自宅で見た映画、『映画「タイトル」感想』は映画館で観た映画の感想です。稀に旅日記をやっています。

映画「るろうに剣心」を観てきた感想


あらすじ:明治11年。東京では、人斬り抜刀斎を名乗る男が誰かれ構わず斬りつける事件が発生していた。亡父から継承した神谷道場を切り盛りする神谷薫(武井咲)が無謀にも男に立ち向かおうとしているところを、通りすがりの男が助ける。その人こそ、幕末には反幕府軍の暗殺者として活躍した人斬り抜刀斎本人(佐藤健)だった。今は緋村剣心と名乗り、斬れない刀を携え流浪の旅をしながら、どんな悪人でも決して命を奪わない不殺(ころさず)の誓いに従いながら人助けをしている。偽者の人斬り抜刀斎の正体は、実業家の武田観柳(香川照之)に用心棒として雇われた鵜堂刃衛(吉川晃司)だった。世界支配を目論む観柳は女医の高荷恵(蒼井優)に阿片を作らせ、それを元手に得た莫大な金で武器を買い漁っていた。元・新選組で今は警官を務める斎藤一江口洋介)が観柳の目論みに気付くものの、観柳が握る絶大な権力を前になかなか手出しができない。観柳は手始めに神谷道場一帯を手に入れるべく、市井の人々を殺そうとする。神谷道場に身を寄せる剣心は苦しむ人々を見て、打倒観柳を決意。250人もの護衛をつける観柳に、剣心は喧嘩屋の相楽左之助青木崇高)とともに立ち向かっていく。

 漫画やアニメの実写映画化なのでバカにしていました、ごめんなさい。
 予告を観る限り、意外と良いのではないかと思っていました。
 すると、やはりなかなかの良作に仕上がっています。
 ちなみに私は、漫画を読んでいないしアニメも観ていません。それでも、どんな話なのかはわかりました。登場人物それぞれがどういう人物なのかも理解できました。
 上映時間が2時間14分とやや長いのですが、けっこうな詰め込みです。長いとは感じませんでした。
 これだけの物語を映画の枠によく収めています。
 佐藤健に始まり、それぞれの役者も良い演技です。息の上がらない剣心と息の上がった薫がふたりいっしょにいる場面なんかうまいじゃないですか。
 何よりアクションが良いです。おそらく漫画原作だからこその派手なアクションなのでしょう。21世紀の新しい殺陣ですよ。日本特有の殺陣が生き生きしています。佐藤健がよく動いていますし。
 佐藤健といえば、仮面ライダー電王から知りましたが、うまい役者です。単なるイケメンではありませんね。ただ、戊辰戦争時の緋村と舞台となる明治11年の緋村の見た目に変化がありません。10年の経過を感じさせないのはマイナスかな。
 もちろん、悪いところはあります。
 人斬りをやめて人助けを始めた剣心ですが、10年の間におそらく大勢救っているはずです。その救ったという様子が斎藤一の一言で済ませられてしまうために、人を斬らずに人を助ける努力をしてきたことがよくわかりません。
 観柳の力ですが、大金持ちだということはわかります。それだけでは権力をどれほど持っているのかが伝わってきませんでした。明らかに悪事を働いているわけで、警察もそれに気付いていますが本格的な捜査に入れない。その捜査ができない理由も少しは説明してほしかったところです。原作だとそういう場面があったのでしょうかね。
 あとは、薫の父ですが。薫のセリフでしか出てこないので残念です。そこまでやると脚本がたいへんなことになりそうではありますが。各人物の掘り下げが足りないわけですが、でも、そんなことをしていたら映画にならないだろうし、やはり、よく映画の枠に収めたと思います。
 あともうひとつ。剣心や薫が握手をする場面があります。明治初期の日本人どうしがあいさつのときに握手ですか。それはダメですよ。
 セットの撮り方がよろしくなくて、小さなセットを細々と撮影しているようにしか見えないのはつらいところです。ただ、有名な漫画をうまいぐあいに映画にできていますし、かなりがんばった映画ではありませんか。