やくもとうずしおをがっつりと

ほぼ毎日19時更新。「映画鑑賞感想」は配信やDVDなど自宅で見た映画、『映画「タイトル」感想』は映画館で観た映画の感想です。稀に旅日記をやっています。

映画「スーパー!」の感想

 キックアスのパクリだろと思っていましたが、パクリというよりは対峙する、双璧のような感じです。妻に逃げられて、逃げた原因をつくった男と、社会の悪に対して怒りをぶちまける中年男性フランクの物語です。フランクが正義のヒーロー「クリムゾンボルト」になったつもりでがんばります。本人はつもりじゃないですけどね。
 フランクが狂気を炸裂させていました。本人は、彼の好きなヒーロー番組に触発されて正義を執行してるつもりなのですが、その方法が狂っているのです。「そうじゃないよ!」と突っ込まざるをえない事件の連続でした。狂った方法がえぐいので、ニュースでフランク扮するヒーローに対する批判があります。フランクはそれに対して「そうじゃないよ!」と思うわけですが。
 そのうち、フランクも引いてしまう相棒が現れます。バットマンのロビンみたいなものです。22歳女性。こいつが、さらに狂気を爆発させていました。しかもゲラゲラ笑うし。こいつの影響でフランクは正気に戻るのかなと思いきや、まあ、いろいろあって、フランクも行くところまでイッてしまいました。ええと、この「イッて」は2種類の意味を含みます。頭と下のほうが両方ですよ。
 敬虔なカトリック教徒のように見えるフランクですから、妻がいるにもかかわらず犯す羽目になった彼の心中やいかに。
 さて、結果は後味が悪いよと聞いていたのですが、まさかここまで悪いとは思わなかったです。観るには覚悟が必要だと思います。あと、血とか肉片とか飛ぶし、頭がパカアってなるので、本当に覚悟してくださいね。この後味の悪さは、フランクが最後にまるで幸せになったかのようになるため後味の悪さを無理やり薄めたように感じられます。ただ、後のフランクの幸せもますます後味が悪いですわ。まあ、無理やり薄めるようなフランクの幸せは伏線があるので、全然無理やりではないのですがね。
 正義のヒーロー:クリムゾンボルトは暴力で正義を執行します。だから、暴力を否定するラストかなって思うじゃないですか。最後は肯定しちゃいましたよ。フランクは、彼を取り巻く悪に対抗するのに暴力以外にどんな方法があるんですか、あるなら今すぐやってみせろよ、と我々にぶつけてきました。
 私は、映画を観るときいつも答えをほしがります。メッセージのある映画ってまず問題提起してきますよね。それに対してどんな答えを用意してくるのか私はいつもエンドロールまで待っています。今回は、ものすごくはっきりとした答えをぶつけてきました。
 答えをほしがってるくせに、申し訳ないけど後味の悪さと暴力という答えに引いてしまいました。この作品は宗教色が強いようにも見えますが、それは見方のひとつだと思います。ひたすら暴力だから、宗教なんて全然感じないです。感じている暇なんか、私にはなかったですよ。
 あまりの答えの強さに、私はつぶされてしまいました。悪役ケヴィンベーコンも、フランクの狂気をますますはっきりとさせるような悪役でしたし。どういう悪役かって、なんだろうなあ、仁義なき戦いに出てくるようなヤクザの一人という感じですかね。決して邪悪とか悪魔ではないです。小悪党でもないんですよ。
 というわけで、この映画、メッセージが強すぎて、受け流すしかありませんでした。ごめんなさい。途中まではクリムゾンボルトの活躍に「ヒャッホーイ!」だったのですが。あ、そうか、そういう「いいぞもっとやれ」とか「ヒャッホーイ」とか言ってるような馬鹿な私を冷静にさせる映画なんですね。うん、最後は冷静になりました。途中でフランクがテレビを見ているシーンがありますけど、その、なんというか、ええと、触手に襲われるおっぱい丸出しの女の子のアニメが・・・
 以上です。