やくもとうずしおをがっつりと

ほぼ毎日19時更新。「映画鑑賞感想」は配信やDVDなど自宅で見た映画、『映画「タイトル」感想』は映画館で観た映画の感想です。稀に旅日記をやっています。

映画「超高速!参勤交代」感想(ネタバレあり)

2014年公開
監督:本木克英
脚本:土橋章宏(原作)
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 1735年、8代将軍徳川吉宗の治世。湯長谷藩大名内藤政醇と一行は参勤交代を終えて帰ってきたばかりだった。そこへ、突然5日以内に参勤せよとのお達しが下った。本来であれば10日かかる道のりを半分の日数で参勤するのは不可能だと思われたが、参勤しなければ藩がなくなるかもしれない。
 彼らは知恵を絞り、すぐに参勤することとなった。
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 この作品はおすすめです。ぜひご覧ください。
 湯長谷藩とは、現在の福島県いわき市にありました。湯本と泉の間あたりです。参勤を命じられた原因というのが、藩にある鉱山で金が産出したことを隠した嫌疑をかけられたためです。たしかに、このあたりには鉱山がありました。現在は、スパリゾートハワイアンズという鉱山閉山後の町を支えるためのテーマパークがあります。
 ただ、鉱山からの収入はほとんどなく、わずか1万5千石の小さな藩でした。参勤から戻ったばかりで資金を使い果たした直後にわずか5日で江戸へ再び参勤するという状況になるわけです。
 主要な登場人物は実在すると思われますが、無理難題の参勤を命じられた事実はなさそうです。
 知恵を絞るとはいえ、結局は走っていました。しかし、途中で数多くの障害が待ち受けていたのです。
 藩随一の知恵者、家老の相馬を演じた西村雅彦や悪い老中を演じた陣内孝則がええ感じです。陣内孝則は現在放送中の軍師官兵衛でも宇喜多直家を演じていたところですし、ちょっと笑ってしまいます。
 今回、どうやって参勤するのかということ以上に目を引くところがありました。殺陣です。
 佐々木蔵之介が演じる大名内藤政醇は居合の抜刀術を使います。必見です、めちゃくちゃかっこいいです。また、殿様以外の家臣も皆腕が立つ者ばかりです。陣内孝則が放つ忍者と大乱闘を繰り広げますのでぜひご覧ください。
 とはいえ、あまりよろしくないところもありました。老中の罪を暴くために将軍吉宗がこの参勤を仕組んだというのが真相だったのですが、無理な参勤をさせておいてフォローはありません。内藤が吉宗を諌める、民のことを考えていないのではないかというセリフもあったものの、吉宗は「そのとおり」と笑ってごまかして「湯長谷藩はこれからずっと民を大切にしろ」と言っただけです。何様ですか。将軍様ですか。
 参勤の道中も細かいところはツッコミどころがあります。後出しじゃんけんみたいな急な設定の登場もいくつかありました。しかし、私としては高萩から牛久まで山中をショートカットしたというのが納得いきません。彼らの持っている地図によれば高萩から牛久まで街道を行けば遠回りだから山中をショートカットするのが一番良いように思われます。しかし、高萩から牛久までの現代の地図を見ると山中を行くほうがむしろ遠回りです。当時の街道と現在の国道6号線はほぼ沿っているはずですが、その街道をまっすぐ行ったほうが絶対早いし、山中を行くより安全で歩きやすいし走りやすいはずです。
 それと、スタッフロールで流れた歌もオトナの事情とはいえ作品と合ってないから許しません。
 秋山もどう考えても死んだのに、生きていましたし。鉄板の死亡フラグを立てておいてまさか何食わぬ顔でへし折るとは思いも寄りませんでした。
 それにしても、かずら橋を渡る場面がありましたけど、もしやこれは祖谷のかずら橋か!とテンション上がりました。福井県のかずら橋だそうで、がっかりです。
 というわけで、舞台の湯長谷藩いわき市ですし、映画を観て、できれば観光もしたいですね。福島のために。
 飛んで火に入る夏の虫とはこのことよ!