やくもとうずしおをがっつりと

ほぼ毎日19時更新。「映画鑑賞感想」は配信やDVDなど自宅で見た映画、『映画「タイトル」感想』は映画館で観た映画の感想です。稀に旅日記をやっています。

「WALL・E」をがっつりと

ウォーリー [DVD]

ウォーリー [DVD]

 デ○ズニーというものについて、これまでアメリカ合衆国の価値観その他諸々を押しつけてくる魔の結社というイメージを抱いていました。だからディズ○ーの作品は敬遠してきたのですが、『観なければ日本車の輸入を停止するぞ』という圧力を受けたので渋々観ました。ウソだけど。本当は、友達から勧められたり、宇多丸さんの「WALL・E」評を聞いたりして、食わず嫌いもよくないなということで観たのです。本当に面白いのかどうか判断してやるぜと上から目線でした。
 あと、PIXARのことを全然知らなくて、「WALL・E」などの『きれい』な絵面はたいがいディズニーだろ、という思い込みでしたが、PIXARのことも知りました。
 さて、感想です。話の進め方が洗練されていますね。余計な部分がまったくなくて、無駄な、遊びの部分がまったくなくて気が抜けない、ある意味疲れる脚本です。いや、これは私なりの褒め言葉です。脚本が洗練されています。正直、脱帽。すばらしいです。あと、作画がとんでもなくすばらしいです。登場人物がロボットでして人間のように表情を持てないですから動きだけで感情を表すのですが、その感情がはっきりと伝わってくるのです。その表情のないウォーリーと、少し表情のあるイヴの違いにも目を見張るものがあります。表情のあるキャラとないキャラの対比というか、描き方の違いかな。
 観る前に宇多丸さんの評を聞いていたから、ヒトの描き方の違いにも気付くことができました。何より船長が実写から少しずつCGへ移行していく船長室の肖像の存在が、ヒトが宇宙船「アクシオム」でどうなっていったかすべてを物語っているのです。ほんの少しの場面だけで、何がどうなっているのか知ることができる、脚本の妙です。WALL・E以外観てないけどPIXARすげえ! 個人的には、いいキャラばかり出てくる作品でして、そういうのには弱いのですが。
 ああ、褒めてばかりですんげえ癪だ。悪い点というか気に入らなかった点を挙げてやる! ひとつは宇宙で音がしていること。もうひとつは植物が宇宙で野ざらしになった瞬間があったけどさすがにあれは植物が無事ではすまないでしょうに。まあ、でも踏みつぶされても復活するごきぶりがいるんですから、そういう作品なのだろうと割り切るべきでしょうか。
 次に、どうということはないだろうけど気になる点を挙げていきます。イヴはツンデレぽいですが、アメリカもツンデレ好きなのでしょうか。最初だけツンでほとんどデレてましたけどねえ。次に、船長ね、いいキャラしてるし、成長する速度が速すぎです。ヒトも捨てたもんじゃないよ、ということでしょうか。船長以外にも序盤で成長するヒトが2人いましたけど。
 最後に、もうね、だいぶ泣きました。ウォーリーが壊れてイヴが直したあとなんて号泣。今さらでしょうけど、生き残りたいんじゃない、生きたいくらいにおすすめです。