やくもとうずしおをがっつりと

ほぼ毎日19時更新。「映画鑑賞感想」は配信やDVDなど自宅で見た映画、『映画「タイトル」感想』は映画館で観た映画の感想です。稀に旅日記をやっています。

青ヶ島に行ってきました 1/5

 皆さんは青ヶ島をご存じですか。

 伊豆諸島の最南端?に位置する有人島です。太平洋に浮かぶ小さな島です。新宿からほぼ南へ直線距離で360kmに位置しています。東北の小僧が学校で習ったから知っていると申しておりました。

 青ヶ島は東京都青ヶ島村という、島ひとつが単独の村になっています。面積は5.96平方キロメートルということで南北3.5キロ、東西2.5キロのとても小さな島です。人口は全国すべての市町村で最も少ない166人(2022年11月30日時点)です。この島の何がすごいって、世界的にも有名なんです。島全体がカルデラになっていまして、さらにカルデラの中にもうひとつの小さなカルデラがある二重カルデラになっている世界的にも珍しい地形なのです。死ぬまでに一度は訪れてみたい絶景地に選ばれているようです。

 そんな青ヶ島ですが、人口が国内最少、世界的にも珍しい地形、それともうひとつ、日本で最も到達困難な市町村でもあります。

 絶海の孤島ですから上陸する方法はもちろん船です。その船は1週間に3便から5便ありまして、毎日運航ではありません。そんなことは問題じゃないんですよ。欠航率が高すぎるのです。冬季は50%欠航します。5月は欠航率20%まで回復することもありますが、どの月もだいたい40%くらいは欠航します。どうにかこうにか船で上陸したけれど帰りの船が出なくなってしまって25日も滞在した揚句仕事をクビになった方がいたそうです。なぜ欠航率が高いのかというと、船が小さいというのもありますが、それよりも青ヶ島への接岸が難易度高くて出航したものの接岸できずに引き返すということもあるのです。青ヶ島は断崖絶壁で海面下も垂直に近いため防波堤を建設できず太平洋の高波を直接受けています。

 さて、そんな青ヶ島は船以外にヘリコプターも飛んでいます。旅客用の定期便です。こちらは毎日1便飛んでいます。欠航率は悪いときでも10%程度です。だったら上陸は簡単じゃん! って思うでしょう? ところがそのヘリコプターは9人乗り(操縦士と副操縦士も入れると11人)でして、9席のうちの1席を予約するのがめちゃくちゃ困難なのです。1ヶ月前の午前9時から電話で予約受付開始となりますが、10分も経たないうちに満席となります。その電話も殺到するためつながりません。電話がつながった頃にはすでに満席となっているわけです。ちなみに飛行時間20分、片道運賃11750円なので出せない金額ではありません。

 次に難しいのが青ヶ島の宿泊予約です。ヘリコプターと船を合わせて日帰りしようと思えば滞在時間2時間ほどで可能ですけどね。ホテルはありません。ビジネス民宿みたいなところはあるみたいですが、それも含めて7軒の民宿があります。2022年11月現在は1軒が休業中、もう1軒が改装中なので稼働しているのは5軒のみとなります。それらの民宿はほとんどが業者の宿泊で埋まります。なので、宿泊予約も困難となります。野宿は禁じられているので必ず宿を確保しましょう。民宿へ予約するときヘリコプターの予約が取れているかどうか確認されることがあります。来島目的は確実に尋ねられます。観光目的で船で行こうとすると宿泊拒否されるかもしれません。

uraomotenoraneko.hatenablog.com

 2022年1月、青ヶ島へ行こうとして失敗しました。このときは奇跡的に予約の電話がすぐつながってヘリコプターの予約に成功しました。当時の記事が上記のものです。

 青ヶ島へ行くためには、伊豆諸島の八丈島へ必ず行かなければならんのです。ヘリコプターも船も八丈島から出ています。その八丈島までは羽田空港から全日空ジェット機が飛んでいます。ところが、2022年1月は羽田を出たジェット機八丈島へ着陸できずに引き返してしまいました。まさかの八丈島すら上陸できないやつでした。詳しくは上の記事を読んでください。

 それで、また青ヶ島へ行こうとして、時を窺っていました。10月あたりから毎日朝9時に電話して、つながらず、予約の取れない日々が続いて11月末のヘリコプター予約に成功しました。

 出発前日がやってきて、眠れませんでした。前回の八丈島すら上陸できなかったのがトラウマになっていて、本当に今度こそ上陸できるのだろうかとドキドキしていました。今回もまた前回と同様の南岸低気圧発生です。さらに、ヘリコプターが故障して4日間運休していました。私の飛ぶ前日に修理が終わりました。

↑無事八丈島へ上陸できました。前回の旅程では、全日空ジェット機到着からすぐにヘリコプターへ乗り継ぎする形にしていましたが、今回は全日空ジェット機欠航に備えて前日から八丈島へ上陸しましたよ。

 ジェット機は引き返すこともなかったので予定どおり八丈島へ着きまして、さて、どうしようかというところです。

八丈島のバス乗り放題と温泉3軒入り放題のチケットがセットになっている超お得なチケットを購入しました。

↑バスを待つ間に青ヶ島行ヘリコプターを見送ります。

八丈島の南東にある末吉温泉みはらしの湯へやってきました。

↑温泉からの眺めは最高です。南岸低気圧のために天気は荒れていますが。温泉は塩辛くてなかなか良い泉質です。

↑温泉の近くで島の猫を発見。

八丈島の路線バス。前乗り後ろ降り。乗るときに行先を口頭で告げます。

八丈島の夜はこちらの居酒屋へやってきました。このとき大雨が降っています。

パッションフルーツ梅酒。

↑島のおじさんに絡まれながら食べる刺身はうまかったです。

↑くさやピザ。島のおじさんにらっきょなどをおごってもらいました。ありがとうございました。

八丈島の翌朝。晴れているけど強風です。宿から見える浜辺はハワイの海岸かな?っていうくらいの大波が繰り返し押し寄せていました。

 ヘリコプターは無事飛ぶのだろうか、不安で眠れない夜でした。

八丈島の宿近くで見つけた林? 森? 人工的に木が整列しています。民宿の方に尋ねたところ、これは畑だそうです。この植物は釣り具の素材になるのだそうです。八丈島の貴重な産業のひとつです。

 こちらの宿では他にも青ヶ島のことを教えてもらいました。青森から家族総出で知人まで連れて引っ越してきた方がいらっしゃるとか、ヘリコプターが運航されていなかった時代に青ヶ島へ行って船が25日間欠航して帰ることができずに仕事クビになった方がいるとか。

↑翌朝のヘリコプターです。こちらは青ヶ島行臨時便でございます。故障で長らく運休していたので乗り損ねた客を運ぶ臨時便のようです。このヘリコプターが青ヶ島へ行って、八丈島へ戻ってきたら私が乗る番となります。

青ヶ島行が飛ぶ直前の八丈富士。私が乗るヘリコプターは条件付運航となりました。強風なので青ヶ島へ着陸できずに引き返す可能性があるということです。

↑そして! こちらが青ヶ島へ着陸したヘリコプターです! やったぞ! ついに上陸したぞ! 上陸してしまえばこっちのもんよ! あとは野となれ山となれ。ちなみにこのヘリコプターはわずか5分で乗客を降ろして八丈島へ飛ぶ乗客を乗せてすぐに飛び去っていきます。

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↑機内からの眺めを動画で撮影したのでご覧ください。「ピー」という音はおそらく車輪を下ろしたことを示す音です。

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↑私を降ろして、すぐに飛び去っていくヘリコプターの動画もぜひご覧ください。

青ヶ島ヘリポートの前は墓場となっております。

青ヶ島村の都心です。青ヶ島のほぼすべての住民が住んでいる集落は標高200mに位置しています。青ヶ島村は断崖絶壁の上にあるわけです。

↑私が泊まる民宿あおがしま屋のお昼ごはん。めっちゃうまいです。日々の物資供給に不安のある離島とは思えないごはんですね。民宿に着いて、部屋に入って、お昼ごはんまで熟睡しました。

 ヘリポートから民宿あおがしま屋まで徒歩10分もかかりません。青ヶ島へ滞在するときは必ず朝昼夜の三食付きにしましょう。島にレストランなどはありませんからね。売店はあるけど、島に一軒だけある売店で売っている商品は島民のものですからよそ者が自由に買うと少し困ったことになると思います。

 さて、民宿の女将から「芋と玉子はどれだけ必要か」と聞かれました。何のことを言っているのかわからずにきょとんとしていると「さては何も調べずに来たね」と言われました。今回は帰りのヘリコプターを確保できなかったために3泊するので時間がいくらでもあります。島での予定は着いてからゆっくり決めたらいいかなと思って何も調べていません。芋と玉子については後ほど謎が判明します。

↑民宿の夜ごはん。うまいです。アオダイのお頭煮付けがいい感じです。しゃぶり尽くしました。さて、このごはんの四角くて白いお皿の左上にご注目ください。

↑左上を拡大しました。あんこ? 料理の説明を受けたとき餡子とは言ってなかったです。4文字の聞いたことない名前でした。でも、どう見ても餡子です。私は餡子が食べられないくらい嫌いです。数年前にどうにかこうにか克服しましたが、それでもやっぱり食べたくないものです。

↑完食しました。出されたものはすべて食べなければならんのです。

↑民宿の向かいに居酒屋があります。こんな小さな島に居酒屋があるなんて!

↑居酒屋に恐る恐る入店しました。まず聞かれたのは、「どこから来たのか」でした。人口166人ですからよそ者だということはバレバレです。とある事情で飲み物以外は出てきません。

 先客が4人くらいいまして、テレビの競艇ナイターにかぶりついていました。彼らはかぶりつきながら私に「何しに来たのか」などなどを質問してきました。

↑こちらが何も知らずに注文した焼酎のロックです。「おめえ、大丈夫か、そんなもん飲んで」と言われたけど、この焼酎の謎は後日判明します。

 このあと新手の客がやってきました。その方もよそ者でした。その新手が何者なのか、これまた後日判明します。

 翌日へつづく。